映画|僕と妻の1778の物語
作家は、衰えゆく妻のために物語を紡いだ
【解説&ストーリー】
「ねらわれた学園」で知られるSF作家、眉村卓ががんを患った夫人のため、毎日短編を書きつづけたという実話をベースにした人間ドラマ。草なぎ剛が一途に妻の回復を信じる主人公サクを、少年のような純粋さで演じる。監督は、TVドラマ「僕の生きる道」などで草なぎと組んだ星護。サクの書くノスタルジックで幻想的な短編の世界も映像化され、せつない物語に一服のユーモアを与えている。
サクと節子は仲睦まじい夫婦。ある日、腹痛を感じ、妊娠の兆候だと考えた節子は病院へ。手術後、サクは医師に節子が大腸がんだと宣告される。
[劇場公開日/2011.1.15][劇場鑑賞日/2011.1.15]
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【感想】
だいたいタイトルを見ただけであらすじが見えてきそうな作品で、観る前からストーリーがほぼ分かっていて、何を観るのか?という映画は、結構作り手も観る方も観賞姿勢が難しいです。それを分かっているから、あまりお涙モノにしなかった星護監督はエライと思います。観ているうちに、人の死とそれぞれの歳月、というものに人は涙を流さずにはいられません。こういう映画を作る際に一番難しいのはどういう構成で映画を撮ろうかということではないでしょうか。
で、本作の場合は1778個のエピソードがあるわけです。本作はこのエピソードを傍系にロボットからSF作家らしく奇想天外なものが登場しますが、本線は愛妻との闘病光景です。
子供のいない夫婦に押し寄せる不幸。草なぎ剛さんと竹内結子さん演じる夫婦だから、それは美しい無垢な愛の日々が繰り広げられます。妻のために毎日小説を執筆する夫。読者は今までも彼女が最初だったが、今回は彼女のためだけの小説を一日一編紡いでゆく。もうそれだけで胸を打つ素晴らしい夫婦愛です

肝心のエピソード挿話がちょっとすべってる感じかしましたが、それは恐らく原作がそうだったからでしょうし、文句は言えません。でも知識屋のロボットの話は感じるものがありました。「空が青いのは、空は海だから」なんて、素敵で、新発見です。あの、北海道の澄み切った青空の下に一本の大きな大木。これだけでこの映画を見た甲斐がありました

この作品で驚いたのは、草なぎさんと竹内さんの演技です。竹内さんは、もう今さら何を言うべきか、でしょうが、草なぎさんは朔太郎になりきっていましたね。彼がそのまま生身で病妻に寄り添う夫になっていた気がしました


