以前書いた、納め札関係の記事で
書いてないことあるなぁ
こんなのもあるんだなぁ
というわけで、第二弾。




【納め札】

「どこの御札?」
と言われる方もおられるそうですが、四国八十八ヶ所用で市販されてる納め札です。


販売しているのは
『四国八十八ヶ所 第7番札所 光明山 蓮華院 十楽寺』
の納経所のみ。

なんで?と言われたら
十楽寺の御住職がオリジナルで作ったものだから
としか言いようがないです、はい(´-ω-`)

一般的な納め札が
155mm ×50mm
であるのに対して、十楽寺オリジナルは
177mm×65mm
と大きめサイズ。

並べてみると結構大きいのがわかります(・ω・`)


御住職の真筆の複製だそうなので、文字は筆文字です。
そのため、ボールペンなどで書くと文字の太さや書体などの影響もあって、結構違和感があるかも?

機械的な明朝体の御札と違って完全に筆文字のため、ゴム印などを使うと違和感が…
まぁ、好みの問題かもしれませんけれども_(:3 」∠)_

紙もコピー用紙的な近代的なものではなく、もっと薄い和紙に近い質感です。
破れそうなほど薄くはありませんが…。

それでも向こう側が透けて見る程度には薄いです。
触るとサラサラとしていて、見た目よりかなり丈夫な印象( ´ ▽ ` )

結構、良い紙を使っているんじゃないでしょうか。
※紙は薄い方が高級な傾向があります。

厚手のしっかりした紙が好みの方には合わないかもしれませんが…



この納め札の販売場所は七番札所の納経所。
1巡目のお遍路さんが早朝に1番札所スタートなら、徒歩でも初日の最終〜2日目の最初の札所です。
タイミング的に納め札を買い足すとは考え難く、この納め札自体が特に宣伝されているわけではないので…
※宣伝のPOPなどもなく、納経所の片隅に陳列されてます。


持ってる方は2巡目以降か、身近にお遍路経験者がいて助言をもらった、とかでしょうか(・ω・`)
「納め札は使いません!」って人が、初日の宿で他のお遍路さんと話して「やっぱり納め札を用意しよう!」ってなって…というパターンもあるかもしれません。


カラーバリエーションは『白』『緑』『赤』の3色。



〜オリジナル納め札1〜

29番国分寺門前にある 遍路用品店扇屋(高知県南国市国分190-2)

こちらのお店オリジナルの納め札が
『修行大師様納札』
というもの。


特徴は
・弘法大師様が立像(立った御姿)
・弘法大師様がフルカラー
・裏に般若心経(筆文字)

この納め札は
・『29番札所の門前の店』という立地
・店の外に『当店オリジナルの納め札』と大きく看板を出している
ということもあり、有名で、ユーザー数も多いものです。
※納め札の宣伝看板はGoogleストリートビューでも確認可能。


〜オリジナル納め札2〜

四国八十八ヶ所第22番札所 白水山 医王院 平等寺

こちらのお寺にもオリジナルの納め札があります。


表面は
・納め札の上部&下部に五色幕
・五色幕の下に光明真言曼荼羅
・光明真言曼荼羅の下に弘法大師坐像(フルカラー)
・通常の納め札の『家内安全 天下泰平』の部分に『卜居高野樹下 遊神於兜率雲上 不闕日日之影向 検知処処之遺跡』とあり

裏面は
・普禮真言
・開経偈
・懺悔文
・御宝号
・三帰
・三竟
・三昧耶戒真言
・般若心経
・光明真言
・回向文
という次第が丸ごと印刷されている
という仕様。


使用者が少ないのは
十楽寺のような
「やっぱり納め札は必要だよね」
的な感じで購入するタイミングではなく。
扇屋さんのように
「オリジナル納め札」
って宣伝しているわけでもない。
などの理由かな、と。



【ブロッター】

簡単にいうと『吸い取り紙用の当て木』


納め札などを記入、押印した際に発生する作業。
それが『筆記・押印後の乾燥』

ボールペンとかシヤチハタ印などでは筆記・押印後の乾燥は問題になりませんが
・毛筆
・筆ペン
・ガラスペン
・万年筆
などを使用して記入したり
・スタンプ台
・朱肉
などを使うと、ほぼ必須の作業です。

その際に使用するのがブロッター。


よく間違われますがロッターです。
ロッターではありません。
※プロッターは別の道具なので注意。



[コレクト ブロッター 木製 生地塗 P-205]


[コレクト ブロッター P-209]


木製の方は1500円くらい。
P-209の方はプラスチック製で、1,000円くらい。


事務用品店や雑貨店などで見かけるブロッターはこの2つのシリーズじゃないかなぁ、と。
他に見かけるのはアンティーク系とか、アート系のアイテムなので
新品の実用品はコレクト社製一択
みたいな、独占状態ですね。
※アンティーク系やアート系は数千円〜一万円超もザラにあるので注意。



この2種類のモデルだと木製の方をオススメします。

理由は簡単で
木製の方は『吸い取り紙の全面(約14cm)が使用可能』だから。


一方、P-209は

この赤く示した部分が撓みます。
なんというか、半円の真ん中の部分と端の部分で硬度というか、張力が違うのです。

その為、ブロッターの端から端まで(P-209は約13.5cm)を活用して広範囲を一気に!というようなことをしようとすると
・途中で撓んでしまい、うまく吸い取り紙を当てられない
・構造上、撓みを利用して吸い取り紙を固定しているので、紙の取り付けが弛む場合がある
などのトラブルが…

実際に吸い取り紙として安定して使用できるのは
半円の真ん中の4〜6cm程度
という狭い範囲になってしまい、吸い取り紙に無駄が多く、コストパフォーマンスが悪いです。

ガッツリと使うつもりで買うなら
絶対に木製の方を買いましょう!!!
と力説します(`・ω・´)

P-209には
・非常に軽い
・プラスチック製で洗浄や消毒し易い
・安価
というメリットがあるので、扱い易さ優先ならP-209の方がオススメ。



【佛歓喜日】


お寺からの手紙は発行日が
「◯年◯月 佛歓喜日」
となっているものがあります。

ビジネス用語的な側面でいうと
「日付をぼかしたい」
というニュアンスで用いられるものに
『吉日』
というのがありますが、それのお寺版ですね(´-ω-`)


歓喜日を正確にいうと
90日間の夏安居が満了する日=旧暦7月15日(いわゆる旧盆)
を指します。

これに基づき、月を問わず
『旧暦15日』
を指す、という用法もあります。

ただ、歓喜日の本来の意味は
仏様が喜ぶ日→仏様とご縁があった日
というものなので
『吉日』をもっと具体的に言っている
みたいな解釈ですね(`・ω・´)

位置付けとしては、お寺界隈で使う業界専用ビジネス用語って感じでしょうか。



密教寺院の書類ではあまり見掛けない表現なので、お遍路の納め札に書いて、受け取った方に伝わるかはわかりませんが…。
浄土教(特に浄土宗)ではちょくちょく見かけるので、浄土教で好まれる表現なのかもしれません。


記入スペースの都合で市販品に書くのは難しいので、納め札を自作するという場合くらいしか使えない表記かもしれません…(・ω・`)

ゴム印を作るとしたら、小さい文字でお寺の扁額と同じく1字改行スタイル、でならなんとか…かな(⌒-⌒; )



〜余談〜

『吉日』と同じ意味合いで使われる単語に
『佳日』
『嘉日』
というものがあります。

意味は吉日と同じですが、どちらも日付としてよりは文学で使われる事が多い表現。
ただ、日付で使ってはいけないということはないので
「ちょっと個性的に!」
みたいな方は、使ってみるのもアリかな、と思ったり( ´ ▽ ` )



【施財偈】


受嚫偈・達嚫偈・施財偈
などなど、名称はいろいろありますが
「ありがとう」の言葉の代わりに唱えるお経
という感じ。


お経は、宗派や法脈によって多少異なっていて、大きく分けると

財法二施 功徳無量 檀波羅蜜 具足圓満

財法二施 功徳無量 檀波羅蜜 具足圓満 乃至法界 平等利益

財法二施、等無差別、檀波羅蜜、具足圓満

という3パターンあります。
もしかしたら他にもあるかもしれませんが…。



お礼の言葉として用いられる「ありがとう」は「ありがたい」という意味で、漢字で書くと『有り難い』

本来の意味は
『滅多にない』『珍しい』『貴重』『この世のこととは思えない』
などで、基本的に「私は喜んでます!」というニュアンスなんですよね(・ω・`)

そのため、宗教上の意味の正確性を確保するというか、誤解を回避するために使われるのがこのお経。

詳しい意味は僧侶の方々がブログなどで解説されているので、ググっていただければ〜と( ̄▽ ̄)


密教や浄土教に比べると、托鉢する頻度が高いためか『禅宗のお経』というイメージはありますが…。

あくまで「禅宗で用いられる事が多い」というだけで密教や浄土教でも用いられるので、禅宗専用のお経というわけではありませんが…。
まぁ、禅宗のイメージにはなりますね_(:3 」∠)_



昔『歩き遍路に行く!』という際に、お接待の返礼専用で納め札を作ろう!と思って作りましたが…
結論としては
『お接待を受ける機会、あまりないよね』
という感じで、あまり使わないハンコです_(:3 」∠)_


納め札用にこのハンコを作った理由は「お経は長い(約4〜6秒)かかる」というもの。

わかりやすく「ありがとうございます」と口に出して、補足説明的な感じで御札自体に記載しておけば良いかな、と。
人様のお時間をいただくのも、場合によっては不偸盗戒に抵触しますから…。



〜注意〜

これは『お布施を受ける側』が唱えるお経。
つまり、托鉢などで唱えるお経です。

そのため『お布施を行う側』=参拝者 としてお寺に納める御札に書くのはやめましょう(´-ω-`)

意味がおかしくなる、というか…コンピュータプログラムで例えると
『定義に矛盾がある』
『構文がおかしい』
などで「error‼︎」って出力されるレベルです(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`)



【QRコードのゴム印】

スマホなどで読み込むとURLが出るもの。

今は1,000円くらいから発注できるようですね。
Wordなどのワープロソフトで、プリンタ設定を頑張って、直接印刷する手もありますし。



QRコードの内容の多くは、ブログ,SNS(Twitter,Facebook,Instagramなど),YouTubeチャンネルなどへのリンク。

最近は納め札が
お遍路さんの交流アイテム=名刺
になってきているそうなので、その延長線上かな? という印象。

今はビジネス用の名刺もQRコードが入ってますから
納め札=名刺
と捉えればアリでしょう(°▽°)


『SNSなんてアカウント変える可能性もあるじゃないか』
みたいな見方もありますけど、それを言い出したら一人暮らしの学生とか
『2〜4年しか住まない住所』
ってことになりかねませんからねぇ(´-ω-`)

お遍路から帰ったらすぐに遠方へ異動辞令が出て転居、というのもあり得ますし。
転勤族と呼ばれる生活をしていて『2年=長く住む』みたいな時間感覚の方もおられます。
私の知る範囲にも『10年以上の間、毎年異動&転居している』という方も…

そのあたりを考えると
SNSのURL=使える期間が短い
というのは偏見なのではなかろうか、と。


ただ、お遍路の納め札は、場合によっては
『何十年,何百年も保管される可能性がある』
ということを考えると
『URLの寿命は短い』
と言えるかもしれません。

しかし、神社やお寺でも
御朱印にURLのQRコードスタンプを押している
というところがあるので
『この時代は、こうだった』
という感じで残っていくのも、それはそれでありなのではないかと。




第二弾を書いてみたものの、なんというか『第一弾のプラスα』感が拭えない_(:3 」∠)_

第二弾は情報密度的に豆知識程度…かもしれません(・ω・`)