仕事での精神力を鍛えるメンタルトレーニング
仕事において、あるレベルの仕事量やプレッシャーが続くと、ある日突然、やる気がなくなったり、集中力の低下がおこります。
こういう場合、精神力が強い人は、それに耐えて、はねのける力があり継続して力が出せるので、自分も精神力を鍛えたい! という相談をよく受けます。
しかし、これは間違った考え方です。
一般的に「精神力が強い」と思われている人は、実は、外部のプレッシャーや仕事量に対して、耐えたり、戦ったりしていません。
表向き、そういう振りをしている人がほとんどですし、その方が、ストーリー的に面白いので、そういう風に見せているだけです。
そもそも、人間の脳は、長期的なプレッシャーに対し、戦って勝てるようには、できていないので、そのアプローチは、間違っているのです。
実際は、目標を定め、状況を受け入れ、心を無駄に反応させないようにして、淡々と仕事をこなすことをベースにし、その上で、なるべく楽しみながら業務をこなしています。
このような正しいメンタルの使い方に自然と気づけたり、過去の経験の中から試行錯誤しながら身に着けた人、周りのいい上司に恵まれ身についた人は、たまたまそれができているだけなのです。
しかし、ほとんどの人は、このメンタルのノウハウをメンタルトレーニングによって、身に着けていかなければ、いけません。
なぜプレッシャーにより、やる気がなくなっていくのか?
まず、人間の脳は、「安全に生きる」・「エネルギーをなるべく消費せずに蓄える」・「危険なものとは、戦うか逃げる」という3つの基本目標を持っています。
これよりも強い目標がない場合や、目標がうすれてきたり、疑問が出てきたりすると、この基本的な目標が優先されます。
外部からのプレッシャーが強くなったり、仕事量が多くなり疲労がたまってきたりすると、この基本的な目標が優先されるので、そのために、やる気がなくなってきたり、集中力が落ちて来るのは、当たり前のことなのです。
そのため、精神力強化のためのメンタルトレーニングは、この基本目標よりも、自分で決めた自己目標の優先度を上げるためのトレーニングメニュー構成になっています。
正しい精神力強化トレーニングの3つのステップ
1.ポジティブ感情の強化トレーニング
人間の脳は、ポジティブな感情の強いものを実行する習性があります。自己目標に対するポジティブな感情と基本目標への感情を比較し、やる気をなくす方が、楽で、気持ちよければ、そっちを優先してしまいます。しかも、日々ストレスが強いと、ポジティブな感情が発生する頻度が落ちるため、そのために必要な脳の神経やシナプスに電気が流れにくくなり、ポジティブな感情がわきにくくなります。このトレーニングは、意図的に、その神経部分に電気を流すトレーニングをおこなうことで、電気抵抗を減らしていくトレーニングです。
2.自己目標鮮明化のイメージトレーニング
頭の中に、映像を映し出す能力は、繰り返しトレーニングすることと、そのための情報を増やしていくことで、強化できます。頭の中に鮮明な目標イメージを映し出し、そこにポジティブな感情をのせることで、脳が、基本目標よりも自己目標を優先するようになり、その実現のための計算をスタートします。
3.ネガティブ感情への反応をおさえるトレーニング
脳は、基本目標を優先させるために、様々なネガティブ感情を引き起こします。その手法として、過去の経験などの映像を持って来たり、未来の不安そうな映像を映し出します。そのような映像が見えてきた場合に、それに気づき、現在目の前で起こっている現実に思考を戻すことで、ネガティブ感情への反応をおさえるトレーニングをおこないます。また、そのようなネガティブな映像に対して、そもそも心が反応しないようにするトレーニングもおこなっていきます。
このように、脳の基本的な目標と戦っても勝ち目がないので、それよりも優先する目標を作ってあげて、そのために必要な日々の仕事を受け入れて、たんたんとこなしていけるメンタル力を身につけましょう!
(野球のイチロー選手などをイメージするとわかりやすいかもしれません)