児童養護施設では普通の家庭の子どもが体験できることを
体験できないことが多い。
(どうしてできないのかというと、施設は組織であるため規制が多い)
子どもたちは何年も施設で過ごし、家庭に帰ったり自立していったりする。
なにもしてやれないことに、いつも無力を感じる。
それでもここは、子どもたちにとって大切な人生なのだと感じることがあった。
子どもがボソッと親に会う事、家に帰るかもしれない話をしてくる。
「そっかーよかったね。」と答えた。
「それって、早く家に帰らせて、ここから早く出て行って欲しいっていう事?」
と聞いてきた。
「何、言っとるんね。幸せになってほしいっていう事よ。」
「おらんくなったら、さみしいに決まっとるじゃない」
と慌てて答えた。そんなことを感じることがあるのだろうかと心配になる。
「そっか、うんうん。いっつも遊びに来るし」
と笑顔で言ってくれた。
不安であったり、楽しみであったり、さみしさもあるんだね。
児童養護施設は子どもにとっての家庭、人生の大きな大きな
一部である。
さよならも言えずに、突然違う場所に行ってしまうこともある。
繊細な感情を大切にしたい。
たまたま出会った子どもたちとの縁を大切にしていきたい。
1つ1つが子どもの人生だという重みを忘れてはならない。