こんにちは。

この夏休み、南東北へ旅行に出かけました。列車で少しずつ北上したのち、宮城県へと向かう旅行を画策しました。

とても面白い旅行になったと思うので、ぜひご覧ください。

 

・まずはじめに

今回この旅行では、新宿駅前にある撮像機器のレンタルショップ「マップレンタル」さんから、自費でCanonの最高級標準ズームレンズ「EF24-70mm F2.8L Ⅱ USM」をお借りしました。(そして実は、まだレビュー記事出してませんがEOS 7D Mark Ⅱも買ってました!)

なかなか扱いの難しいレンズでしたが、おかげでとても良い写真が撮れましたし、写真の腕を上げられました。ありがとうございました。

先にこのレンズのコツを記しておくと、手ブレ補正がないので明るいF値を活かしてシャッタースピードをできるだけ上げて使うレンズです。

使ってみるうちで探ったわりと簡単な使い道は、

・露出設定はマニュアルで(ただしISO感度は自動でOK)

・SSは1/320くらいにしておけばだいたいどうにかなる(したがって昼間は「シャッター速度優先」モードにしておけばいい)

・基本はF値を操作してボカシ量を調節する。万が一明るくなりすぎる場合はF値を好みの値にしたうえで、ISO125にならない限界までシャッタースピードを上げる(それでも暗い場合はSSを1/200くらいまで落とし、ISO感度を自動で上げて対応)

とりあえず初心者的にはこうしておけばだいたいどうにかなりますし、手ブレすることはほとんど無かったです。鉄道の方向幕を撮るときは殆ど必然的にシャッタースピードを下げることになるので、その場合はこのレンズではなくEF24-105mm F4L IS USMとかの手ブレ補正がついたレンズ、またボディ内手ブレ補正のついたEOS R7とかEOS R5/R6 Mark Ⅱとかの方が有利だと思います。それでもどうしても手ブレ補正ないと嫌だ・・・という方には朗報。RF24-70mm F2.8L IS USMという、「手ブレ補正つきF2.8標準ズーム」がミラーレス専用で誕生しています。

 

・言っとくが、最初からクライマックスだぜ!

(1)北千住8:03→下今市9:30 特急スペーシアX1号 東武日光行

今回の旅のスタートは、東武北千住駅。最初に乗車する列車は、2023年7月15日にデビューしたばかりの新型特急「スペーシアX」です。

今回はスタンダードシートで取りましたが、大好評の新型特急ということと、お盆休み前日ということもあってスタンダードシート以外は文字通り1ヶ月前の朝9時で瞬殺。先頭車両にはコックピットラウンジと、併設のカフェがあり、コックピットラウンジの乗客以外はカフェの利用に整理券が必要になるのですが、会員登録に手間取った結果こちらも瞬殺でした。

列車は北千住を出るとひたすら北へ進みます。急行とかよりも圧倒的に速く、「えっ、もう南栗橋を通過したの!?」というくらい、素晴らしいスピードで関東平野を北へ向かって駆け抜けていきます。その南栗橋では、乗務員さんたちによるお見送りがありました。こういうの、なんとなくほっこりしますし、だから東武は好感が持てるんです。

栃木を出ると、車掌さんが日光・鬼怒川温泉の観光案内をしてくれます。予約時点では全く知らなかったのでただの偶然ですが、この8月10日はSL大樹の運行開始6周年記念日といいます。スペーシアXといいSL大樹といい、今日は東武鉄道にとっての第二のメモリアル・デー。7月15日のスペーシアX運行初日に次ぐ大イベント。その旨ももちろんアナウンスされていました。

 

・夏だ!SLだ!6周年だ!

(2)下今市9:33→鬼怒川温泉 普通SL大樹1号 鬼怒川温泉行

鬼怒川温泉への接続列車としてですが、ここからはこの日ちょうど6周年を迎えた「SL大樹」の旅です。今日の編成は前からC11 207+ヨ8709+スハフ14 501+オハテ12 1+スハフ14 5の編成です。座席はスハフ14 5が指定。個人的にも初の機関車牽引(しかもSL)の客車列車、とても楽しみです。

下今市駅では乗務員の皆さんがお見送り。沿線各所でたくさんの人が手を振ってくれます。途中駅では対向の普通列車の運転士さんも手を振ってくれました。

ちなみに今回、北千住→鬼怒川温泉は東武鉄道の株主優待券を金券ショップで買いました。どこまででも使えるため、今回のように鬼怒川温泉まで長距離乗車するときには特に有利です。

煙をモクモク吐きながら、のんびり山登り。当初は後ろにDLを連結して後押しをしてもらっていましたが、勾配がDLに押してもらうほどでもなかったため現在ではSLの単独牽引になっています。茶色客車も相まって、絵面が完全に昔ながらの旧型客車での鈍行旅です。改造展望車もあって、石炭の香りを楽しみながら旅を楽しめます。

ちなみに満席ではなく、これでもそこそこの数の空席がありました。この日であれば最大頻度での運転だったため下今市〜鬼怒川温泉の便のみ1日4往復の超高頻度運転をしており、そのためか1号では空席もちらほら。普段から1日2往復くらいは動かしているので、もはや定期列車です。そりゃこんな素晴らしい観光列車なのに満席にならないわけで・・・

なお、6周年記念キャンペーンとしてSLの乗客の先着1400人にヘッドマークデザインの缶バッジが配布されました。一番列車ですから当然もらえました。こういった期間限定モノのグッズとかは高額転売されやすいものですが、超大量生産したうえSLを1日4往復も運転し、しかも毎日運転して満席を作らない、という中々にぶっ飛んだ対策をしているのは驚きました。しかしだからと言って乗車体験そのものからはプレミア性を損なっていないのは中々です。まぁ、元地下鉄直通用の20400系からしてみれば、転属先で石炭の煙にまみれて仕事することになるとは思っていなかったでしょうね。

SL大樹に乗ったら見ておきたいのが「日光自動車学校」。

「Youは何しに日光へ?」とか、「列車の運転は教えられません」とか、とにかくノリノリです。

のーんびり走っていると、列車はいつの間に終点の鬼怒川温泉に到着。本当にあっという間の旅でした。

到着後、SLが転車台で回ります。今日のC11 207号機は特別に赤いプレートが装備されています。

この赤いプレートは、ボイラーの状態がとても良い機体に取り付けられていたもののようで、「もしC11 207のプレートが赤だったら」みたいなコラージュ画像が出回った可能性はありましたが、赤プレートで本線を走ったのは初めてです。3機あるC11の中で、運行開始当初から走っているのは207号機が唯一、だからかもしれません。

これに加えて、この日は6周年記念のヘッドマークが取り付けられていました。金色のフチが入ってるのカッコいいですね。翌11日は祝日であったため、この状態からさらに日章旗が追加で取り付けられたそう。

また、この日の鬼怒川温泉駅はSL大樹6周年イベントで盛り上がっていました。「駅長たちによるおもてなし」と称して特製手ぬぐいのプレゼントや、グッズ販売などが行われていました。

しばらくすると、後続の「SL大樹3号」も到着。こちらは真岡鐵道からやってきたC11 325の牽引です。こちらの方が見た目は身軽。一応、このあと乗る列車にはスペーシアX3号→SL大樹3号の乗り継ぎで出発を遅くするのでも間に合いましたが、それでは乗り継ぎの都合で転車台で回るのを見ることはできませんでした。

ちなみに、駅前には足湯が。ここまで歩き回るのが続いたので、本当に助かります。乗り換えのためにのみ降りたとはいえ、少しでも温泉を堪能できるのはいいことです。

そうこうしていると1号の折り返しの2号が出発していきます。やはり「カニ目」の207号機は他にはない風格がありますね。

しばらくしたら、325号機の方も入れ換え作業を始めました。こちらもまたこの後転車台で回ることになりますが、そっちを見ていると次の列車には間に合わないので、こちらはスルーすることにしました。この転車台回るのに間に合わないのも、1号に乗った理由のひとつです。

 

・特に急がない特急?

(3)鬼怒川温泉11:36→会津田島 特急リバティ会津113号 会津田島行

次の列車は特急「リバティ会津」。都心から福島県へ乗り換え無しで直通する、数少ない列車です。わざわざSL大樹に乗った狙いはこれで、鬼怒川温泉から先の区間だけ乗車する分には乗車券のみで乗車できます(ただし、着席保証はない)。さらに、北千住→会津田島を通しで「リバティ会津」に乗るのと、「スペーシアX」→「SL大樹」→「リバティ会津」を乗り継ぐのとで特別料金は大して変わらないので、実質スペーシアXとSL大樹のプレミア分をタダ同然にすることができました。

特急型車両をちゃんと使った都心発の立派な特急とは言いつつ、ひとつ手前の東武ワールドスクウェアから野岩鉄道の上三依塩原温泉口までは各駅に停車します(以降は会津高原尾瀬口・会津田島に停車)。文字通り「特に急がない」特急です。途中の男鹿高原駅は周辺にほぼ何もない秘境駅のためリバティは全列車通過し、会津線内はノンストップです。

走るところは完全に森の中。でありながら、(速度的にも)のんびりと各駅に停まりながら走る「特急」。このギャップがなかなか面白いところです。京急にも通過駅が全くない通勤型車両の特急はありますが、こっちは正真正銘の特急列車です。

停車駅が多すぎるため、特急列車ですが地域輸送も担います。ボーイスカウトの集団が乗ってきてデッキに立ちっぱなし、という普通列車でよくある光景も。

途中の新藤原から野岩鉄道の乗務員に交代しますが、会津鉄道の乗務員は電車を運転できないため、野岩鉄道の乗務員が引き続き会津鉄道の会津田島まで乗務します。気動車で運転する快速「AIZUマウントエクスプレス」はこの逆で、野岩鉄道と東武鉄道に気動車を運転できる乗務員がいないため、会津鉄道の乗務員が東武日光まで運転するのです。

野岩鉄道は山の中ばかりでしたが、会津鉄道に入ると少し開けたところも走るようになります。昔の多層建ての気動車急行ではこれと同じように「自然豊かな地方交通線を走ってくる優等列車がそのまま都心へ直通」をやっていて、当時を思わせる列車です。のんびりと走ってきて、終点の会津田島に到着です。

 

(4)会津田島→会津若松 普通リレー113号 会津若松行

 

会津田島から引き続き、会津鉄道の非電化区間へと入ります。非電化の三セクローカル線ならどこでも見かけるNDCタイプの気動車、AT-500形とAT-550形が連結した2両編成の普通列車です。両形式の差はトイレがあるかないかだけ。この日の編成は前寄りからAT-502+AT-552の2両編成で、AT-502はピンク色のラッピング車両、AT-552は会津鉄道開業時の塗装を模したリバイバルカラーです。

「リレー号」というのは、特急「リバティ会津」と同じ番号を名乗ることで、会津田島で「リバティ会津」と接続する列車であることを示しています。号数もそのままリバティの号数を引き継ぎます。

会津鉄道はこのほかにもNDCベースの気動車を複数形式持っていますが、この車両は固定式ボックスシート。旅情をかき立ててくれます。他にはJR西日本でよく見かける転換クロスシートや、快速「AIZUマウントエクスプレス」用のリクライニングシートと、日本中のクロスシートをかき集めた珍しい会社です。

列車は比較的のんびりと会津の大地を駆け抜けていきます。こののんびり具合がたまりません。

会津鉄道では以前、会津田島より南側の電化区間は6050系の普通・快速列車が担っていました。しかし、6050系が老朽化で野岩鉄道の2編成を残してすべて廃車となったため、現在は電化区間の会津高原尾瀬口まで気動車が直通運転し、野岩鉄道線内の各駅への連絡は先述の通り「特急リバティ」が各駅に停車することで遠近分離を図るようになっています。

ここで、今回もやっている乗車券の妙技をご紹介。ここで用意した切符は「鬼怒川温泉→西若松」と、「西若松→仙台」の2枚です。

東武の株主優待券は鬼怒川温泉で下車前途無効となりますので、鬼怒川温泉で再び買い直すことになります。ただ、この旅行の最終目的地は2日目の仙台。途中は会津若松で観光と、郡山で宿泊します。

それぞれ別々にきっぷを買うのは非効率なことと、「会津若松→仙台」のきっぷを買ったとしても有効期間1日(仙台近郊区間内)なので、仙台近郊区間から2駅分外れたところにある西若松できっぷを分割し、JRのきっぷの有効期間を延長+途中下車可能にしました。そのためきっぷとしては西若松まででも、引き続き会津若松まで乗車し、前者は無効(使用済み)、後者は会津若松途中下車扱いで精算してもらいました。似たようなテクニックは東海道線で熱海に行く際「東京→函南」の乗車券を発行して小田原で途中下車して観光する、みたいな感じになります。

さて、2駅手前の西若松からJR只見線に入って、会津若松へ到着。今日のメインディッシュ・・・の前に、また移動です。

 

(5)会津若松駅→鶴ヶ城入口 まちなか周遊バス「ハイカラさん」

本日のメインディッシュは鶴ヶ城。ですが会津若松駅からは遠く離れているため、市内を周るバス「ハイカラさん」で移動します。見た目はレトロな感じがしますが、実は運転席よりも前を切り取ってボンネット風にした改造マイクロバス(三菱ふそう・ローザ)。運賃は210円均一で、意外なことにバーコード決済の利用が可能です。またこのほかにも赤べこをイメージした「あかべぇ」という逆回りの周遊バスもあります。

車内では会津若松市街の観光地や歴史をアナウンスで解説してくれます。このためあまり時間がないときでも様々な観光地の紹介を聴くことができ、楽しい旅になります。

そういうわけでメインディッシュ、鶴ヶ城。10年ほど前に放送されていたNHK大河ドラマ「八重の桜」(主演:綾瀬はるか)でも登場しました。寒さに強い赤瓦のため、ひと目見るだけで鶴ヶ城とわかりますが、それにしてもなかなか立派な天守閣です。

中にはこんな展示も。先述の大河ドラマ「八重の桜」で使われた衣装が展示されていました。

こちらも「八重の桜」ネタです。鉄砲を持った美しい女性の絵を飾っているなぁ、これが新島八重か、と思ってよく見たら綾瀬はるかじゃねぇか!と。

 

(6)鶴ヶ城入口→会津若松駅 まちなか周遊バス「ハイカラさん」

先ほどの「ハイカラさん」で会津若松駅へ戻ります。行きとは異なるルートで走り、武家屋敷や飯盛山を経由して会津若松駅へ戻っていきます。

実はこの時、5分差で「あかべぇ」が先発し、「ハイカラさん」より15分ほど早く会津若松駅に到着することになっていましたが、それでは単にここまで来た道を戻るだけになってつまらないので、ここまで通っていない道を走る「ハイカラさん」を選択して路線一周にしました。

しかしこのバス、マイクロバスなので普通の路線バスよりも揺れやすいですが、小さい車両のため細い街路も楽々走っていけます。車体幅に至ってはアルファードと同じくらいしかないとのこと。

途中に「東山温泉駅」というバス停がありました。駅、とは言いますがそもそも鉄道の駅ですらなく、国鉄時代にバスで連絡輸送を行っていて国鉄線と通しのきっぷを発券していたことの名残のようです。要はバスセンター。ついついYahoo!路線情報で列車の時間を調べてしまったほどです。

で、実はこのバスは時刻通りなら会津若松駅17:25着で、定刻ならここで17:30発の磐越西線快速「あいづ6号」にギリギリ接続できるかできないか、という予定でした(「あかべぇ」でも17:10着だがあまり余裕がない)。なので後続の普通列車で行く心積りだったのですが・・・

 

(7)会津若松17:38(遅れ 8分)→郡山18:46(遅れ 8分) 快速あいづ6号 郡山行き

なぜか間に合いました。この列車で本日の最終目的地である郡山を目指すことになりました。

実はこの日、柳津の方で花火大会があるらしく、その臨時列車運転のどさくさor混雑で接続列車が遅延したため「あいづ6号」が始発駅の会津若松で接続待ちをすることになり、その間に運良く乗り込めたのでした。

車両はE721系0番台の2両編成を2本つないだ4両編成で、前から1両目の後方が指定席になっています(それゆえ列車名を設ける必要があり、定期列車では珍しい「名のある快速」となっています)。先ほどまで乗っていたSLや会津鉄道ののんびりっぷりがまるで嘘のように、勢いよく会津若松駅を出発。結構揺れますが、やはりそこは幹線用の高性能な電車。概ね80km/h前後のスピードを保ちながら東へ向かって走っていきます。この磐越西線の会津若松〜郡山間の普通列車は、ワンマン運転とかの関係でE721系0番台の専属運用となっています。4両編成の場合でも2+2の編成。1000番台は入りません。

快速なので停車駅も少なく、ビュンビュン駅を飛ばしていきます。しかし遅延を取り戻すことはできず、猪苗代駅の1つ手前・翁島駅で交換待ちのため運転停車したりとかで、結局8分遅れのまま郡山に到着することになりました。

特に良い景色があったわけではないですが、チラッと見える猪苗代湖はそこそこ綺麗でした。本当にチラッとしか見えませんが、また日を改めて訪れたいですね。

夕食は郡山名物「郡山ブラックラーメン」の本家、ますや本店のラーメンをいただきます。メニューは「伝」と「新」の2つで、少しずつ味が違うとのことですが今回は「新」を選択しました。濃厚な醤油を使った黒いスープで、比較的あっさりとした仕上げ。とても美味しかったですが、冷房が全然効いておらず凄まじい量の汗をかいてしまいました。

ラーメン屋って、冷房ガンガンに効いてるものじゃなかったの・・・?

 

というわけで、初日の会津の旅、これにて終了です。翌日はまた北上して仙台を目指します。