こんにちは。アイビーおじさんです。

前回はコンパクトミニバンの「フリード」を特集しましたが、今回は最近爆発的に数を増やしている「ヤリス」をご紹介。それなりに人気がある、カーシェアの定番車種です。

 

・ヤリスってどんな車?

「ヴィッツ」と言えば分かるでしょうか。かつてネッツ店専売だった、トヨタのコンパクトカーです。が、車種名をフルモデルチェンジに合わせて「ヤリス」に変えています。派生車種として「ヤリスクロス」「GRヤリス」がありますが、前者は別の記事で紹介します。

「ヤリス」という名は今に始まったわけではなく、「ヴィッツ」の海外名という形で既に世界中に浸透していますが、近年「ヤリス」名義でWRC(世界ラリー選手権)に出場して好成績を残すなど、国内でも次第に「ヤリス」の名前が徐々に浸透してきたので、市販モデルの名前を「ヤリス」にした、というのが登場の経緯です。ヴィッツ時代から通算して4代目となるヤリスの登場は2020年2月と、かなり新しい車になります。

ここで、ヤリスの主要スペックを見てみます。

 

ボディサイズ:3940×1695(欧州は1745)×1500

定員:5名

排気量:1.0Lまたは1.5L

エンジン:1KR-FE型 直列3気筒DOHC/M15A-FKS型 直列3気筒直噴DOHC/M15A-FXE型 直列3気筒DOHC(ハイブリッド)

トランクサイズ:630×1000×692

 

この「ヤリス」には、「GRヤリス」を除くと、大きく分けて3種類のバリエーションがあります。

 

・1.0Lガソリン

→先代「ヴィッツ」から継続で採用されたダイハツ製の1KR-FE型エンジンを採用したエントリーモデルです。ちょっとしたお買い物にはちょうどいい小排気量のお手軽モデル。レンタカーの場合はだいたい排気量1Lのこのモデルが主流です。

・1.5Lガソリン

→新開発のダイナミックフォース(高速燃焼)エンジンを採用した、メインとなるグレード。実質的なスポーツモデルで、このモデルのみMTの設定があります。ボディが軽量であることや直噴化されていることも相まって、都合120PS/145N·mのハイパワーを発揮。全日本ラリー選手権の下位クラスでたびたび見られるほか、ヤリスだけのワンメイクレース「Yaris Cap」専用車もあります。

・1.5Lハイブリッド

→同じくダイナミックフォースエンジンを採用したハイブリッドモデルです。FF車のほかにコンパクトカーでは初採用の電気式4WD「E-four」の設定が注目を集めています。

 

また、ヤリスのスポーツモデル「GRヤリス」には上記のグレードのうち1.5Lガソリンのモデルがエントリーモデル「RS」(FF・CVT車のみ)として設定されていますが、本命として以下のようなものが設定がされています。

 

・1.6Lガソリンターボ

専用のG16E-GTS型エンジンを搭載した、ラリー特化のモデル。WRC(世界ラリー選手権)への出場を最大の目的として作られた車で、4WD・MTモデルのみの設定です。

 

因みにですが、レンタカーで借りられるGRヤリスはほとんどがRSグレードですが、トヨタシェアの1個体がなぜかMTのRZ High Performance。当初はヤリスのXグレード(しかも1KR搭載車)、下手をかけばミライースあたりと同じ値段でリアルガチラリーカーが借りられるという信じがたい状況が発生していましたが、流石に料金水準がおかしいとトヨタも認識していたためか2023年2月1日のトヨタシェアのリニューアル(及び「チョクノリ!」との統合)の際に15分440円に改められました。

さて、本題をヤリスに戻します。

このヤリスは、大手3社のうちタイムズとカレコの2社が導入していて、タイムズのものはすべて1.5Lハイブリッド、カレコのものはすべて1.0Lガソリン車となっています。ただ、ヤリスが配置されているステーションの数がカレコでは284箇所なのに対し、タイムズは少なくとも3381箇所(いずれも2022年8月12日現在。これに加えてオプションステーションもあるので、推定3500箇所以上にヤリスが配備されていそう)で、台数ベースなら当然ですがタイムズの方が15倍以上もの台数を用意しています。上の写真のようにヤリスが3台も集まったステーションなんてまだ序の口で、5台以上集まっているところも普通にあります。

 

・ヤリス最大の持ち味、ディスプレイオーディオ

この「ヤリス」ですが、後付けのカーナビではなく、トヨタ純正のディスプレイオーディオが入っています。まぁ普通の人にはカーナビと言った方が早いですが、最近誰でもスマートフォンを持ってるじゃないですか。スマホには、地図アプリって入ってますよね。じゃあそれをカーナビにすればいいじゃん、という考えから生まれたものです。よって、デフォルト状態では「タッチパネル付き・Bluetooth対応のラジカセ」に近いです。それに、データが入ったSDカードを入れてやる(メーカーオプション)ことによって、通常のカーナビとして機能させることができます。もちろん、カーシェアの車にはカーナビ機能はちゃんと付いていますのでご安心ください。Apple CarPlayとAndroid Autoに両対応しており、エアコンの操作スイッチ付近にあるUSBポートに携帯を接続するとディスプレイオーディオでスマートフォンのマップ機能が使えるようになります。

 

・運転席を見てみよう

早い話がこの車、フル装備です。

ステアリングに無数のスイッチがまとまって配置されています。これらは車のインフォメーションシステムやアダプティブクルーズコントロールの操作、あとはオーディオ操作に使うものです。これらスイッチがハンドル内にほぼすべて収まっているだけでも凄いことですが、それだけでなく最近の車に付いている先進安全装備はほぼ全部乗せ。最先端のコックピットなのです(カレコの1.0L車はアダプティブクルーズコントロール非装備)。唯一残念なのはサイドブレーキが手で引くタイプのものになっているくらいのもので(ヤリスクロスは電動パーキングブレーキ)、それ以外は最新設備がありったけ備えられています。

後部座席はこんな感じ。正直狭いと思います。足元空間にも余裕はありません。そして何より、運転席と助手席のシートの存在感が大きく、圧迫感があります。

運転席全体を見てみます。全体的にコンパクトにまとめられています。なんとなくMAZDA2に似た印象を受けます。

 

・ヤリスの走りを見る

・・・とその前に余談ですが、ヤリスのスピードメーターはグレードにより異なっており、タイムズ・カレコとも一番下のグレードなので上の写真のようなアナログメーターになります。これはこれでシンプルで見やすいもので、中央の小さなディスプレイに各種情報が表示されます。なおこれもディスプレイオーディオと連動しているので、そちら側でカーナビの設定をすると、曲がり角が近付いてきたときの案内がこの画面内にも表示されます(Apple CarPlayおよびAndroid Auto使用時は除く)。

 

まぁ、早い話、速いです。

まず、このヤリスは他車に比べてハンドリング性能が明らかに良いです。パワステの補助がかなり強いようで、とっても簡単にハンドルが回ります。そのため全然腕が疲れませんし、ワインディングでも余裕です。急ハンドルでも余裕。

次に、その駆動系。ほぼお買い物カーの1Lは別ですが、軽い上に車体もしっかりとしており、さらにエンジンもハイパワーなので、少し踏んだだけで恐ろしく軽く加速していきます。コンパクトカーの走りではない、もはやスポーツカーだとでも言うべき走りです。そのため、このヤリスは空力性能を優先したボディとなっており、それゆえ後部座席のシートピッチが狭すぎるという欠点を抱えています。3~4人で乗るのであれば「アクア」「フィット」の方が後席が広いので有利です。しかし2人以下なら話は別。あれほど小さなボディを持ちながら、スポーティーな走りを楽しむことができるのです。まぁハイブリッドなので、ガソリンエンジンのパワーを感じながら走るのが好きな人の場合は「MAZDA2」の方が楽しめるかも。

最後に、燃費の良さ。このヤリスはカタログ上の燃費性能が日本一優れている車とされており、ハイブリッド車で36.0km/Lという信じられない低燃費を実現しています。今のところ、市販車では世界トップクラス(当然ですが日本一)の低燃費を誇ります。別に冗談なんかじゃないですよ。「普通に走って30km/L出せる」とも言われており、エアコンをつけっぱなしのままゆったりと走っても31.8km/Lを記録するほどでしたから、「如何に燃費のいい走りができるか」のチャレンジにはもってこいですよ。

というわけで今回は、カーシェアリングの新定番、トヨタ「ヤリス」をご紹介いたしました。急速に数を増やし続け、その勢いは止まりません。皆さんも一度、ヤリスでドライブしてみませんか?