秋も深まり冬支度する頃には、彼のお母さんとカラオケ喫茶に二人で行くくらい仲良くなりました。
そして来年みんなで暮らす新しい家の準備をするようになりました。
年が明ける頃には彼が私の母に話をしに来てくれました。
「いえ、ご挨拶なんて結構です。来ていただかなくていいですから。」
意固地になって反対していた母も3回を過ぎた頃になると
「じゃぁ玄関で話だけ。」
5回を過ぎると
「寒いからコタツに入りなさい。」
7回目には
「この子をよろしくお願いします。」
と、頭を下げてくれたのでした。
こうして春、桜満開の下で私たちはささやかな披露宴を開いたのでした。
彼の親族と私の親族と大切な人たちを呼んでのお披露目会でした。
私はこうして去年見れなかった桜を今度は愛する人と大切な人たちと共に幸せな気持ちで見ることが出来たのでした。
全てを諦めなかった私たちはこうしてやっと正々堂々晴れて夫婦になったのでした
考えてみたら、たったこの一年でジェットコースターのような人生をすごしました。
不倫はしないと決めていた二人が、不倫を乗り越えて真実の愛にしていったのでした。
むしろ真実の愛を求めて、偽りの夫婦生活を打破したと言っても過言ではなく、あくまで自分たちの幸せを追求した結果だったのでしょう。
このあとは観覧車かメリーゴーランドのような同じ時間をくるくると同じ速さでゆっくりと二人仲良く過ごす人生にしていこうと思っていました。
ずっとずっと二人手を繋いで同じ道を歩き続けていくのでした。
彼が私の手を引いて、私が彼の手を引いて。
完