翌朝、夫は私に聞いてきました。
「おい!アレ出してきたのかよ。」
「出してきたよ。」
「馬鹿じゃねーの?出さねーって言ってただろ?」
「出してこいって言ったのはアンタよ!」
「はっ?」
私はそのまま元夫を残し家を出たのでした。
11.再入院
その後も目の治療が続いていました。でも必ず彼がついてきてくれていました。その日も一緒に診察室に入っていました。
「やはり、もう片方の眼も網膜剥離が進行していますね。手術した方がいいので来週入院しましょう。」
「わかりました。」
彼はいくつかの質問をしていました。
でも、またの入院に複雑な思いでした。
「マコ、この入院で最後だって。しばらくは大丈夫になるみたいだから頑張ろ!」
「うん。でも、離婚しちゃったから保険の手続きしなくちゃ。」
「あー、そっか。」
「いろいろしなきゃならないことが多くなるわ。」
「でも、安心して!僕は毎日いくよ!」
「お願いします。」
あの幸せな日々が戻ってくると思うとむしろ楽しみなくらいでした。彼はあの家から出せることに喜んでいました。こうしてまた入院の日々が始まったのでした。