「これ!」
乱暴に描き殴られた離婚届けを彼に見せました。
「すごい、本当に書いてある。」
「出してくる!」
「えっ?今?」
「今!」
私の真剣な顔つきに彼は
「僕も行く。」
と言いました。
「僕には見届ける義務がある。」
夜中でした。でも、出せることを知っていました。
「僕の車に乗って!」
私は冷静ではなかったし、震えていたので助かりました。彼の車に乗ってそのまま2人で市役所に行って、私は離婚届けを出してきたのでした。
車の中で彼は聞いてきました。
「本当にいいの?後悔しない?」
「しない!むしろ今出さなきゃ後悔する。今しか出せないから。」
「僕のために無理してるならいいんだよ。一応離婚届けは書いてもらったんだし、ゆっくりもう一度考えて後日出すんでも。」
「旦那に離婚届けを書かせた時に私は(すぐには出さないから)って言っていたの。なのに離婚届けを書き終えたら(これは俺が持ってる)とか言い出したの。(出さないから!)って言ったのに今度は(俺が知らないうちに出すんだろー)ってしつこく言ってきたから(あ!これはチャンスかも)って思って興奮してるふりをして(あー、どうせ信用できないだろ!出してきてやるよ!)って怒鳴ったら案の定乗ってきて(あー、出せ出せ!)って。(言われた通り出してきました!)って言えるのは今しかないの。」
「マコ!」
市役所の駐車場に着いて彼はもう一度ぎゅーと抱きしめてくれました。そして頭をポンポンと撫でて、いい子いい子してくれました。
「マコは本当に俺の不安を一つ一つ取り除いてくれる。どれほど大変な戦いだったのかわからないけど、頑張って頑張って俺との未来のために大きな障害を取り除いてくれる。だからいつも安心できるよ。愛してる。ありがとう!」
2人で市役所の中に入り離婚届けを提出してきました。
彼のためという大義名分が無ければ成し遂げることはできなかったと思いました。
でも、彼のしてくれてきたことや今してくれていることを考えると私も真摯に受け止めて誠実な対応をする必要がありました。
彼の前で私は自分の精一杯の愛情を示す必要がありました。
その熱い情熱が私を突き動かしていました。
こうして私は、やっと旦那という呪縛から身も心も開放されたのでした。