9.退院


週末に退院を控えていろいろな問題をどう解決したらいいのかベッドの上で考えていました。


かず:おはよう!今日は退院したら一緒に行ってもらいたいところがあるんだけどいいかな?


マコ:いいけど、どこに?


かず:それは内緒!


マコ:ところで、奥様とはその後どんな感じ?


かず:僕は、1日も早く出て行ってもらいたいから新しいアパート代も出すことにしたんだ。今探してもらってるよ。


マコ:気が変わったりしない?


かず:僕?


マコ:違う!奥様...。


とし:顔を合わせてないし、そんな話はしてないよ。


マコ:でも…今までも、うやむやになってきたって言ってたから。


かず:今回は心を鬼にして、優しくしないって決めてるんだ。引っ越しも手伝ったりしないし冷たくしてるんだよ。


マコ:それってつらいよね。本当のあなたはとても優しい人だから、そんな風な態度をする事もストレスになるんじゃない?


かず:人としてどうなのかなって考えるよ。こんな冷たい事ができるなんて僕は本当はいい人では無いんじゃないかなって。でも、先の無い優しさはかえって良くないと思って、早く僕を嫌いになって、忘れてもらいたいんだ。嫌われるように嫌われるように行動してるんだ。


マコ:ごめんね。大変な思いさせてるね。


かず:今は僕が頑張る時だから、大丈夫。でも、君にも同じ事ができるのかな。今後、退院して戻ったら。


マコ:そうだね。戻ったら今度は私が頑張る番ね。


かず:今僕が頑張れているのは君がいるからなんだ。だから僕の離婚のために君が現れてくれたと思っているんだ。だから、君は無理してそうしなくてもいいんだよ。

もし、そうでも僕は君の幸せを応援するから。


マコ:そんな事言わないで。私にとっても人生を変える大切な場面にきているって思っているのよ。あなたに出会わなければ病気にも向き合えなかった。未来も思い描けなかった。私の未来はあなたと共にあるの。そのために今の問題を早く解決しなきゃね。


かず:君は本当に僕の思っている答えを出してくれる人だね。とても安心できるよ。


マコ:なんだか毎日重要事項を話し合っているね。でも、人生を共に歩きたいと思っているの。不思議ね。こんな短期間でこんなにも信頼できるなんて。どの出来事ひとつでも無ければこんなに早く信頼も愛情も持てなかったわ。全てのことが私たちを未来に向かわせてくれているように感じるの。本当に不思議なんだけど。


かず:僕も今まで、運命なんて信じたことはなかったけど君との事はそれ以外では説明がつかない。運命の人なんだって初めから感じでいたよ。愛してる。


マコ:私も、愛してる。




こんな甘やかな時間を過ごすことができるこの入院が私たち二人を次のステージに押し上げてくれるのでした。