「俺は自信が無かったんだ。彼女を幸せにする自信が。でも、好きな気持ちのままで、別れちゃったからずっとそれが消えなくて今も昔のアルバムを持っている。捨てられなくてね。」
「思い出は捨てられないよね。」
「マーちゃんも持ってる?」
「最初の彼の写真はどっかに封印してあると思う。私も大好きで一緒になれなかったから。」
「やっぱあるよね。この歳にもなると、いろいろね。」
「そうね。」
この人とはなんでも話せる!直感的に思いました。同じ価値観、感性がこれほどにマッチする人はいないと感じました。
「その人とはそれきり?」
「いや、三年くらいしてやっぱり彼女がいいと思って電話をかけたんだ。そしたら『明日結婚式なの。』って。お幸せに、としか言えなかった。」
「そっかぁ。それは残るね。」
「それからの恋愛は、背伸びせずに付き合える自分より格下の娘を選んでいた。自分がそれほど夢中にならずに冷静にコントロールできるものだった。むしろ気持ちが入ってなかったのかな。」
「そうなるよね。私も最初の人が大好きで一緒になれなかったから、あとはどーでもいいやって感じだった。早く最初の人を忘れたいって思いながら無理やり恋愛してた。」
「俺たち似てるね。考え方もしてきた事も。不思議と分かる気がする。」
「そうね。私もそれは感じてた。すごく共感できるし同じことを思ってる。感性が一緒みたい。」
「なんかいいね。こういうの。」
私達は微笑みあいました。すごく幸せな時間を過ごしていました。