宗は辛抱強く待っていました。紳士的な態度で2人は長い期間プラトニックな関係を続けていました。心では求め合い互いの揺るぎない愛を感じながらも、モラルを守り清い関係でいたのでした。
「宗、私頑張ったのよ。なんとか家族に戻ろうと努力したの。でも、ダメだった。無駄だった。健斗には伝わらなかった。」
「リオン、もう充分頑張った。次のステージに昇ってもいいんじゃないか。お前が苦しむのはもう見てられないよ。」
「宗がいてくれたから、我慢できた。宗が待っていてくれると思ったから安心して戦えた。も、いいよね。この試合終えても。」
「そうだよ。お前の大事な人生の時間を1分でも長く幸せを感じて欲しいんだ。悲しい時間を過ごして欲しくない。」
「宗。そっちに行ってもいい?」
「いつでも来てくれ。いつでも迎える準備はしてある。」
「ありがとう。」
リオンは健斗の浮気と借金の代償に沖縄への一人旅に向かったのでした。
リオンは思い出していました。健斗と結婚を決めた時に話した事を。
「健ちゃん、浮気してもいいけど家庭を壊すような事はしないでね。私に絶対にバレないようにしてね。私が悲しいから。知らなからば悲しまなくて済むから、最後まで騙してね。浮気をするならそのくらいの覚悟でしてね。」
「それくらいの覚悟で…。」
騙せないようなら浮気なんてするな。するからには最後まで騙せ。その覚悟で。