あの時、リオンは人生に試されていました。
この悲しみの意味を知るために。
迷い、求めて、探し当てたものが何なのか、リオンは見極める必要があったのでした。
そして、悲しみの中で宗と出会いました。
宗は悲しみを抱えたリオンを丸ごと包み込み、愛してくれました。素性も明かさないリオンをそのまま受け止めて、愛してくれました。それはまるで、決まっていた運命がなるべくしてそうなったように。二人はお互いを求めていました。
「私が幸せになる事って、どうしたらいいの。」
「必要な出来事が起こってくるよ。自分を抑えずに心の思うまま行動しなさい。あんたが我慢することは誰かを幸せになどしない。あんたが幸せになるんだよ。それがみんなの幸せになるんだ。分からなくなったら自分の笑顔に聞きなさい。」
「自分の笑顔…。」
リオンはゆっくりと家に戻りました。そしてやっぱり赤い門の前で立ち止まりその顔から笑顔が消えてゆくのを感じたのでした。