「言っちゃあなんだが奥さんがこんな事になって、やっとお前は自分の人生に向き合うようになったんじゃないのか?息子さんはあれだけ嫌っていた母親の介護をかってでた。娘さんは家族を作り新しい命を芽吹かせ自分の幸せを追求した。それぞれに以前よりも数段、上の魂の営みを送っている。何も言わない妻を、母を、それぞれがそれぞれの捉え方で自分の人生に反映させているんじゃないか?そのために彼女が自らの人生をそうさせたとしたら、彼女が生きているからこそ考えなければならないんじゃないか?お前も彼女にまだしてやれる事があるだろう?」


「俺が妻にしてやる事...。」


「ありのままの彼女を愛してやる事だろう。受け止めて、許して、今度は尽くしてやる。『ありがとう』なんて言ってもらえない。見返りを期待しない無償の愛だ。お前に出来るか?お前にできてない事をお前の息子は、今やっている。頼りない息子じゃあなくて、今やお前を超えて、もっと高い頂を越えようとしているんじゃないか?」


「妻と向き合うのかぁ。それは難しいなぁ、感情的に。全ての出来事は天からの試練か?自分が招いた結果か?」


「それはお前の捉え方による。試練と思って立ち向かえば乗り越えた後に結果がついてくる。招いた結果がそれだとしたら、その後どうするかは自分次第だな。」


「ゼロからやり直すとして、どうすればいいんだ?何をすればいいんだろ。」