3.仕事


俺は仕事に真剣に向き合っていた。検挙するためなら早朝もいとわない。早朝なら犯人も自宅に戻っている可能性が高い。令状を取って家宅捜査するのも早朝になる。


コンコン!とドアをノックする。


「はぁい。」

「おはようございます。ご主人に逮捕状が出ています。こちらは家宅捜査令状です。そのまま動かず何も触らないでください。」

そのまま捜査員が何人も家に入って、あちこち調べてブツを確認して現行犯逮捕する。


家族が見守る中での被疑者逮捕は時として切なくなる。犯罪を犯しているとはいえ家族の前では被疑者もただの夫だったり父親だったりする。


幼子が目にいっぱい涙を溜めて、

「とうたん。」

と慕い、それを母親がぎゅっと抱きながら制止して堪えている。

「ごめんな。ちょっと行ってくる。いい子にしてろよ。」

「とおたん。」