その1
ヘビの神様を祀る神社で頭は人の顔のヘビ神様がいます。◯ツ岩様と呼ばれていて地元の神様として信仰されていました。
病気を治してくれるとか、願いを叶えてくれるとされていて信じる人には厚く慕われている神様でした。
田舎に帰ったときには墓参りとともに◯ツ岩様参りは必ず行ったものでした。
先祖の言い伝えですが、ある時近所の人が占い師から
「隣から家事が出るからもらい火をしないようにきいつけーや」
と言われたそうで
「隣といえばあんたんちしかないからきいつけーや」
と言われたそうです。
でも、かーちゃんはそんなこと忘れて寝てしまったそうです。
翌朝、カマドのフタが燃えて中に落ちていたそうです。ちゃんと消えたのを確認せずにフタを乗せたせいで予熱で火がついてしまったようでした。これが外に落ちたら、出火していたでしょう。入口の横のかまどだったので、ここから火が出たらみんな寝静まったあとですから、逃場はなくて一家全員死んでしまってただろうと推測できました。
朝、起きてかまどの中にフタが燃えカスとして見えた時かーちゃんは
「◯ツ岩様が護ってくれた」
とすぐに思いました。もともと火を取り扱うところにあの「頭は人の顔で体はヘビの神様を描いたお守り」を貼り付けておくと火の用心をしてくれるという神様でしたから。
かーちゃんは娘を起こすとすぐに◯ツ岩様にお揚げとお神酒を持ってお礼を行って来いとお使いに出しました。
これが助けられた一度目でした。