オカクンは気持ち良さそうにうたた寝をしている。その時間を利用して、リビングから徒歩5秒未満の圏内に併設されている事実上洗濯物干し部屋と化している我が家のガーデンルームで、熱々のインスタントコーヒーをフウフウと口で冷ましながら外を眺めた。折からの北風に乗って、大小の雲が形を変えながらゆっくりと南の空へ流れていくのが見えた。遙か上空は風が強いことを示している。

 左眼を患って以降、サンダルによる散歩の機会が増えたことは否めない。心身ともに健康で仕事に情熱を燃やしていたアノ頃は、散歩に出かけられるのはせいぜい月に2~3回で、それも休日の黄昏時に概ね家の周りを1時間も歩けば終わりだった。しかし、現在のように長期療養に伴う休暇により時間が持て余す程ある状況下では、今は暇さえあれば積極的に散歩へ出ている。余計な支出を抑制できる利点もある。眼科で扱う部位以外はどこもなんともないので、家の中でスマホをいじっているよりは、少なくとも精神的には健全だろう。

 そんな訳で、滅多にできない午前中のサンダルによる散歩を先ほど済ませ、午後の散歩では味わうことが出来ない様々な見聞をこの場に淡々と記録するところだったのだが、想定の範囲内で突如としてワガコが昼前に当学年最後の登校から帰宅した理由により、これから家族総出で昼食会へ出かけることとなった。従って、当投稿は予定を急きょ強制的に変更して、ここで打ち切りたい。


〈注 既に極度の空腹状態だったのだ〉