-発症から2ヶ月後-
妻の入院から2週間が経ったころ、
病院から電話が来ました。
担当の看護師さんでした。
「公衆電話の使用を許可したので、
かかってきたら出てください」
と言われました。
数分後、
「もしもし、今どこ?危険だよ!逃げて!」
「家にいるし、何も起きてないけど、ご飯食べてる?」
「とにかく危ないから逃げて!」
「どこに逃げればいい?」
「どこでもいいから逃げて!」
「分かった、そうするよ」
10円をかちゃかちゃ入れる音が聞こえていました。
「この世界は間違ってる!」
ツー…ツー…ツー…
全く会話にならずに終了しました。
症状は何も改善されていない様子で、
逆にモヤモヤしました。
間違いなく幻聴からの妄想ですが。
確かにこの世界は間違ってるかもしれない…
妻だけが真実を見れていて、
私含めて他の人が異常なのでは…
なんて変な空想をしてしまう時もありました。
公衆電話からの電話は頻繁に来るようになり、
内容は、逃げて!がほとんどでした。
消灯は21時らしく、
それ以降は電話ができないようでしたが、
ある日、
夜中の2時に電話が…
「大丈夫?生きてるよね?」
「うん、生きてるけど電話大丈夫なん?」
「うん、気をつけてね!」
「あっ!もうやりません、すみま」
ツー…ツー…ツー…
完全にやらかしたなと、
何故か本人らしさを感じて微笑ましくなりました。
必死に隙を見て電話をしてきたと思われます。
そして、
しばらく電話が来なくなりました。
-現在- (発症から2年半後) -回復期-
妻はいつも全力です。
ただ、不器用です
今も必死に洗濯機の清掃をしています。
「おいおい
教えるたるからな、ちょっと来たまえ
私が入院したら困るからな」
といい、概要は聞きましたが、
「一生よろしく頼んだぞ」
と言って今逃げてきました。