地方からの上場 | Good Life Company 社長ブログ

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2018年に福岡の企業として東証ジャスダックへ上場し2年が経過していますが、今回は地方から上場することについて私なりに考えてみました。

 

2020年の振り返り
 
まずは客観的なデータをみてみましょう。2020年は103社が上場(プロマーケット含む)。その中で本社所在地別では、全体の66.0%にあたる68社の本店所在地が東京都であり、依然として東京都が中心です。次いで大阪府15社、神奈川県4社、他にも12県の企業が上場していますが九州からは2社のみとなっており、地方からの上場はまだまだ少ない状況のようです。
 

地方からの上場は難しいのか?

 

地方企業として上場した立場から、主観の入った意見にはなりますが、結論から言うと形式的な条件が達成されているという前提で『人』の問題さえクリアできればむしろ上場しやすいと考えています。まぁ人の問題が一番大変ではあるのですが。

(今回は便宜上、東京と地方の対比という建付けにしております。)

 

理由は大きく2つです。ここからは主観が大きく入ってきます。

 

1つ目は、事業における競合他社が少ないこと。

地方は東京に比べると人口が少ないですが、しかしその分競合他社も少ないです。これはより地方になればなるほどそのような傾向にあるといえます。

結果的ではありますが、我々は熊本で事業をスタートしたことにより、東京に比べるとプレーヤーの数も少なく、競争環境が相対的に穏やかであったことから比較的早期に結果を出し、予定通りのスケジュールで進むことができました。業種にもよりますがこれが東京の地で創業していたとなると、このスピード感での成長は難しかった可能性があります。

 

 

2つ目は、証券会社、監査法人などの関係者が協力的

東京と比べると地方は企業の絶対数が圧倒的に少ないです。そのため、上場を目指す企業もそれに応じて少ないのが現状です。そのため、上場準備企業が星の数ほどいる東京と違って地方を担当している証券担当者や監査法人にとってみれば、将来上場企業になるかもしれない地方の上場準備企業は、彼らが実績を残すためにも大事に温め育てていきたい『金の卵』な訳です。なので業績がある程度見えている企業であればかなり熱をもって支援をいただける気がします。当社の場合、問題があった場合にも、杓子定規な対応ではなく、どのようにしたらその問題を解決できるのかを一緒に考えてくれる支援者に恵まれていました。

 

 

 

一方で、地方だからこその難しい面もあります。

 

 

1.気軽に相談できる仲間が少ない

私がもともと人見知りで経営者同士の交流の場が苦手ということもありますが、身近に経営や上場に関して気軽に相談できる環境は東京に比べると圧倒的に少ないと感じます。東京では、上場している経営者、目指している経営者がごく普通にいるため、情報を取りに行かなくても、そのような情報に触れる機会が多くあり、ナチュラルに上場に関する知識が入ってくる環境だとは思います。

 

2.人の採用が難しい

これも上記と同じ理由ですが、そもそもの上場企業が少ないため、上場準備の経験値、「コツ」を持っている人材は東京圏に比べて圧倒的に少なく、上場準備チームの体制を構築することは東京に比べてハードルが高いと感じます。このチーム編成が上場準備成功のカギを握っているといっても過言ではない為、上場を目指すにあたっては早い段階からアンテナをはり、そのような人材の獲得を意識することをおススメします。

 

3.審査時の移動が大変

あとはシンプルに物理的な話です。上場審査時や上場時の移動に伴う時間的なコストや経済的なコストがかかってしまいます。特に上場審査期間中は、審査質問への回答を送って、翌日に東証で審査といったスケジュールです。東京の企業であれば普通に対応できると思いますが、地方企業の場合は移動時間も計算に入れなければならない為、よりタイトなスケジュールとなります。この点は不利な点かもしれません。上場セレモニーの時も飛行機や宿の手配など意外と大変でした。社員にとってはいい経験だったとは思いますが(笑)。

 

 

上場後の所感

 

一方上場後について2年ちょっと経過しての感想です。

こちらは地方であることの不利益は特にないと思います。

基本上場会社であることは、投資家にとって情報開示は全国どこの会社であっても公平に適時開示が行われ、株価へ反映されます。

地方だから株価が低い、流動性が悪いといったことは一切ありません。ここは企業の努力次第だと理解しています。

むしろ、最初の競合が少ないという話にもつながりますが、地方であればあるほど上場企業としての希少性、信用力の効果は大きく、事業面や採用面でのメリットは少なくないと感じています。

ただし、最先端の情報はやはり東京にありますので、出張ベースでの定期的な情報のアップデートは必要だと感じています。

 

 

また、新型コロナウイルスの影響に伴い、リモートワークが普及し、オフィスのあり方や仕事のやり方、人の流れが一変しました。このような環境の変化に伴い、都市部と地方の差はさらに縮まり、将来的には地方からの上場も増えてくるのではないでしょうか。

 

 

我々としても地方にいるからとの言い訳は一切通用しませんし、上場企業として株主、市場に対する責任は何も変わることはありません。

むしろ、地方にいる企業でもここまで成長できるといったロールモデルになっていきたいと考えています。