まずは新幹線で名古屋へ向かう。
腰痛の発症がせめて前々日だったら空港まで荷物を宅配便で送ったものを、前日では間に合わない。
ひかりは混むのでこだまにしよう。多少時間がかかっても、私は普段からこだまを使うことが多い。前日事情を知った知り合いが、指定席を予約した方がいいんじゃない?と言う。でも自由席の端の方だったら、指定席より空いてるんじゃないかな。隣の席に誰も来なければとても助かる。
予想通りこだまの先頭車両は乗車率30%くらいでゆったり座れた。指定席の方がずっと混んでいた。
そして前日のシミュレーション通り、エレベーターを利用してスーツケースをほとんど持ち上げることなくスムーズに移動できた。身体の痛みがなかったらエレベーターの位置など調べずに人の流れのまま階段を使っていただろう。若くもなく体力に自信があるわけでもないのだから、これを機会に今後も積極的にエレベーターを使おうと思った。
とにかくゆっくり動くこと。慌てない、慌てない。
空港までは名鉄のミュースカイで。ほとんど満席だったのになぜか私の隣だけ空席。運がいい。
空港に着く。
中国国際航空のカウンターの並びにはチェックイン開始時間が貼り出されていて、その時刻までまだ40分もあった。立って待つのは大変だけど、もう長い列ができているし、何はともあれ早くスーツケースを預けたい。
そしたら表示時刻の30分前にチェックインの手続きが始まった。
日本人がビザなしで中国行きに乗ろうとするとチェックインの際に全ての旅程や宿泊の予約を確認されると聞いた。全部紙に印刷して準備万端。
私:パスポートを渡しながら「トランジットです」
中国国際航空の、20日の名古屋から北京、25日の北京からソウル両方の予約が記載されている紙も渡す。
職員:「トランジットは何時ですか?」
私:うん? 質問の意味を図りかねて、戸惑う。一拍置いて「今日ですか?」
職員:「はい、中国へは入国しますか?」
私:「えっと、25日にソウルに行きます」
職員:「かしこまりました」
宿泊場所の確認もソウルから日本までのチケットの確認もなく手続きが終わり、搭乗券を手渡された後、
職員:「ちなみに、ソウルでは何泊されますか?」
私:「一泊です。」
この時、職員さんが、やっと腑に落ちたような微妙な表情をしていたのがとても印象的だった。
たぶん私が開口一番「トランジットです」と言ったものだから、初め本当のトランジットだと思ったのだろう。最後の質問で、本来の目的は中国でトランジットは体裁だということを確認したのだと思う。
スーツケースを手放して身軽になったので、食事を取る。
いつもならおにぎりでも買って、オープンスペースの椅子に座って食べるところだけど、コルセットと精神の緊張を少しでも緩めたい。
ということで、ちょっと贅沢にひつまぶし。
これ、絶対に全部そのまま食べた方がおいしいよな、と思いつつ、せっかく薬味やお茶がセットで付いてるのにそれに全く手をつけないっていうのももったいないかな、と逡巡の末、後の3分の1を薬味とともにお茶漬けにした。
(私はひつまぶしの食べ方という知識だけを有していた。)
結果、わさびはうなぎの味を台無しにし、お茶はタレの味を薄めた。最後までうなぎとご飯だけをむしゃむしゃと食べてうなぎとタレの味を満喫すべきだった。(個人の好みです)
5年ぶりの北京と銘打っておいてなかなか辿りつきません。
次回は入国します。