2024年1月6日 神奈川県民ホール
指揮:出口大地 バイオリン:外村理紗 ピアノ:清塚信也
R.シュトラウス:「ドンファン」 メンデルスゾーン:バイオリン協奏曲 グリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番
オーケストラの演奏会なのに、清塚さんが一人で登場していきなりマイクパフォーマンス。テレビで観るよりさらに自由なトークで笑わせる。遅れてきた客をいじるところなどは、先代の三平を思わせる。それでも、独奏者外村さんの楽器(ストラディバリウス「ヨアヒム」)に絡めて、メンデルスゾーンとヨアヒムの同時代性から、ヨアヒムが使っていた楽器でメンデルスゾーンのコンチェルトを聴く意義とかの説明があり、興味を湧かせた。
ドンファン:ダレることなく、終始興味を持たせる演奏だったが、強奏部分では管と弦のバランスの悪さ(弦が弱い)と静かな箇所で出てくる管に若干の不安があったところは気になるところ。
メンコン:独奏バイオリンの外村さんは、アンコールでのイザイで聴かせたように、相当のテクニックを持っていることは当然としても、メンコンでは、しっとりとした弾き方で、第1楽章のカデンツァや第2楽章ではじっくり聴かせた。特に第2楽章はジ~ンときた。好印象。
ルスラン:躍動感があって、細かいところもビシッときまっていて、快演。
ピアノのセッティングの間、またしても清塚さんのトーク。くだけたトークをしてそのまま、袖には引っ込まず、ラフマニノフを弾きは始めるところなんぞ、清塚さんならでは。
ラフマニノフ:トークとは反対に、奇をてらうことないしっかりとした演奏。自分の好みとしては、もう少し粒立ちがクリアに聴こえた方がうれしい部分もあるが、オケの響きも充実していて、十分楽しんだ。カーテンコール、両腕でガッツポーズしながら出てくるソリストを見るのは初めて。
アンコールは、チャイコの第5交響曲の第2楽章をオケとピアノにアレンジしたものと、コンマス・石田さんとのバイオリン・ピアノ二重奏。これは静かにしんみりと聴いた。
コンサートのチラシでは、特に清塚さんを目立たせていないのに、本番では清塚さんのトークは炸裂するわ、オーケストラの演奏会なのに、団員は引っ込んで二重奏で終わるわで、面食らった聴衆もいただろうが、これは定期演奏会ではなく、名曲シリーズなので、くだけた感じでも良いのかなと。Eテレ、クラシックTVでの清塚さんが好きなので、個人的にはこれでOK。楽しかった。
指揮の出口さん。オケを生き生きとさせていたし、自分のやりたいことがあるというのが伝わってきた。左利きの指揮者という紹介でテレビ出演していたのを見たことがあるけど、本番では、左利きであることなんて気にならなかった。今後、他の演奏も聴いてみたい。