サザエさん症候群というものがある。

日曜日の夕暮れ時、翌日の仕事をふと思い出してとても後ろ向きな気分になった。

 

よくよく思い起こせば、前の会社にいた時は単休ばかりだったので、翌日の仕事を思うも何もあまりそういったことは考える余地もなかった。

 

しかし、現職は規則正しく土日が休みの連休のため日曜日の夕暮れ時になるとなんともいえない後ろ向きな気分になってしまう。贅沢病といえば贅沢病だが、ここ1か月の月曜日のクレーム処理を振り返ると理不尽なものも多く、日に日にそれがエスカレートしていっているように感じるのだ。

 

仕事を離れたら仕事のことを考えてはいけないのはサラリーマンとして生きる鉄則だとは思うがどうしても考えてしまいがちだ。しかも考えるというより「想像」して落ち込んでしまうのである。

 

日曜日の夕方はその症状が顕著に出現する。

 

昨日の夕方もそんな症状が出始めた。

ぼんやり競馬中継の再放送を見ていても、なんだか無気力になってしまう。

 

テレビを消した。

 

そして、この春から書き始めていたにも関わらずずいぶん長いこと放置していた執筆。

これをやろう!

 

余計なことを思わずにひたすら書こう。

 

そう努めた。

途中でネガティブな思考がよぎろうとしたがそれを払拭するかのようにパソコンのキーを叩き続けた。

 

次第に自信を取り戻した。

 

あたりはすっかり暗くなっていた。

 

夕飯を済ませると今度は正座して新日本プロレス神戸ワールド大会の録画を観る。

 

心がネガティブになりがちな時、プロレスは勇気を活力を与えてくれる。

どんなに苦しくてもつらくても理不尽なことがあってもベルトに命をかけて闘うレスラー。

一人一人のレスラーに深い歴史があって、その生きざまが闘いに現れる。

プロレスの面白さはそういうところにある。

 

YOSHI-HASHIというレスラーがいる。

 

「絶対諦めない」と書いて「YOSHI-HASHI」と読む!

 

そんなキャッチフレーズが煽りVTRで流れた。

 

YOSHI-HASHI選手。

決して才能に恵まれた選手ではない。

入門テストには3回も落ちるし、不器用で頑張っても頑張ってもなかなかベルトに手が届かない。

仲間を助けようとリングに向かって花道を全力疾走した時、誤ってリングの角で転倒、肩の脱臼に顔は血だらけという。

目の前のお客は悲鳴、遠目に見ていたお客はその大惨事が理解できず、YOSHI-HASHIらしいカッコ悪さに思わず笑ってしまった。

彼のその時のアクシデントによる怪我は相当なもので、そこから病院送りになった。そのことを聞いてさすがにファンは本気で心配し始めた。

そして不器用さを備えたこのレスラーはいつしかファンの心を掴み、誰もから愛されるレスラーとなった。

 

風貌も癒し系で、なんとなくテディベアのようなかわいらしさを醸し出すYOHI-HASHI.。
決して口がうまいわけでもない。でも意志の強さだけはピカイチだ。

 

「おれは一度も腐ったことがない」

そう言い切るYOSHI-HASHI選手。

 

昨日の試合では負けてしまった。

ベルトへの壁はまだまだ高い。

 

でも、彼は絶対諦めないレスラーだ。

 

そんなYOSHI-HASHI選手の闘いっぷりを見ていたら力が沸いてきた。

 

私もたかだかクレームごときで落ち込んでいる場合ではない。

それに私には夢や目標がある。

 

いい歳こいて夢だの目標だの、そんなことで食っていけるわけがない、など批判する人も多い。

さらに50歳も過ぎれば若者世代から見たら老害でしかなく、今更と鼻で笑われるのがオチだ。

 

でもYOSHI-HASHI選手は言った。

「他人からどう見られているかなんて、そんなことどうでもいい」

 

本当にそうなのだ。

 

自分の人生の主人公は自分自身だ。

 

結局批判する人は、関心が他人に向いているだけ。

ご自身の人生はほったらかしなのかもしれない。

 

それを思ったらそんな批判は雑音だと思って興味を持たなければいいのだ。

 

50を過ぎて肉体的には死へと向かっていくが、せっかくなので悪あがきしながら、私も自分自身の人生のタイトルマッチを獲得しようと思う。

 

スローガンは「YOSHI-HASHI」=絶対にあきらめない、だ。