隠れアイドルオタクだったA男にとうとう彼女が出来た。彼女が自宅に遊びに来ることになった。

A 男の家には開かずの扉がある。

そっとそこを開けるとネズミがドタドタ走り出す。。

衝撃で雑誌の束がA男の足元に崩れる。

そこから色褪せたアイドルのグラビア雑誌がスルリと落ちた。

そっと手にとってみる。

表紙のアイドルは思わせぶりな表情でA男を見つめているがその瞳にA男は昔ほど陶酔しなかった。

中をパラパラとめくってみる。


俺はこんなことに欲情していたのか。


そして最も際どいページに辿りついた時、愕然とした。憂いを含んだアイドルの瞳にネズミの糞がこびりついていたのだ。


A男は自分の他にもこの家の中で、アイドルへ煩悩の限りを噴出しやがる輩がいたことに憤りを覚えた。


全く忌々しい!


A男はギュッと拳を握り、立ち上がる。

雨合羽を着用し、頭にはペラペラのタオルを巻き、マスクをすると、ハエたたきを手に、ネズミの足跡を辿ってウロウロしはじめた。