※ウォンキュ小説です。苦手な方はUターンしてくださいね。
ついてない。
さっきまであんなに機嫌の良かったキュヒョンが部屋に入ってから一言も喋らない。
ずっと口を噤んだまま目線を落とし、立ち尽くしたままだ。
「キュヒョナ、お湯入れて来たから。先に風呂入って温まったほうが…」
キュヒョンの前髪を伝って雫がぽとりと床に落ちた。
外は土砂降りの雨。
どんどん雷が近付いて来ていた。
「キュヒョナ?」
タオルで頭をゴシゴシ拭いてやるとゆっくりと視線が合った。
何か言いたそうな少し開いた口。
「ん?」
寒気からかキュヒョンの身体が小刻みに震え出した。
ぐっしょり濡れたコートを脱がすと薄手のニットからキュヒョンの左胸の蕾がぷっくりと主張する。
ゴクリと唾を飲み込む音がキュヒョンに聞こえてしまったのではないかとシウォンは慌てて視線をずらした。
「シウォニヒョンが…」
「え?」
「シウォニヒョンが…慣れてるから…」
「え?慣れてるって?何が?」
「お、俺、こんなとこ入ったの初めてだし…」
ガレージから誰に見られる事もなく部屋に繋がっているこの部屋は、ドアを開けると目の前には大きなベッド。ソファーとテーブルとテレビがあり一見普通の部屋に見えるが、隣にあるバスルームはガラス張りでベッドから中が見えるようになっている。オレンジ色の間接照明が余計にいやらしさを増していた。
「シ、シウォニヒョンはこんなとこ利用した事あるの?」
「俺が?まさか。大体ここは日本だぞ。初めて来た場所だし、初めて入ったよ。」
「だって…」
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20151223/22/gyugyu239/d1/ba/p/o0480032013519736182.png?caw=800)
今日は二人揃って久々のオフだった。
前日まで日本でコンサートを行い、中休みを挟んで明日からまた日本でツアーを行う。
まさか二人のオフがクリスマスイヴと重なるとは思ってもみなかった。
珍しく休みが一緒になった俺たちはマネージャーに頼んでレンタカーを借り、次の目的地まで二人で移動する事にした。
最初は高速道路を走っていたが、途中寄ったサービスエリアで近くに滝が見れるスポットがある事を知り、行ってみようという事になった。
時間はたっぷりある。
高速道路を降り、山道を走る。
所々にあった民家もやがて数少なくなり、すれ違う車も減ってきていた。
キュヒョンと久しぶりに過ごす休日は一緒にいるだけで幸せで楽しく、全く話題が尽きない。
いつもなら片時も離さないアイフォンもキュヒョンは触れる事なく、コートのポケットにしまったままだ。
自分との時間を大切にしてくれていると思うだけでシウォンは嬉しくなった。
山の峠まで来ると小さな駐車場が見えた。
ここで車を止め、山道を少し登らないといけないらしい。
「どうする?」
「んーーー。せっかく来たんだし、登ろうよ。」
「じゃあ。」
と、シウォンが手を差し出す。
「いいよ。誰かに見られたらどうするんだよ。」
「誰もいないよ。車だって俺たちのしかないじゃないか。」
「いいって。」
恥ずかしがってシウォンの手を払い一人でどんどん歩き出した。
足元には薄っすらと雪が積もっている。
そういえばキュヒョンは友達と登山をした事があったはずだと思い出し、シウォンはザクザクと雪道を早足で前を進んで行くキュヒョンを追いかけ、その時の話を聞きたいと横に並んで歩いた。
10分ほど歩いただろうか。
急に道が開いて目の前に一本の滝が現れた。
「すげぇーーー!!」
森の中に力強く流れるその滝を見ると、今までの疲れが一瞬で飛んでしまうかの様に感じた。
滝にはヒーリング効果があると聞いた事がある。
隣を見ると目を輝かせて滝を見つめるキュヒョンの姿があった。
「下まで降りてみようか。」
シウォンはキュヒョンの手を取り、下に続く急な階段をゆっくり降りて行った。
さっきまで照れていたキュヒョンが嘘みたいに身体をくっ付けてくる。
すごいすごいと目を輝かせてはしゃぐキュヒョンを見て、シウォンはなんとも言えない気持ちになった。
目が合うとどちらからともなく二人の唇が重なった。
とくんとくんと胸を打つ鼓動。
お互いの吐く白い息がひんやりした頬を暖かくした。
周りの木々には雪が積もり、時折雪がバサバサと落ちてゆく。
ピンと張り詰めた空気が澄んで、キュヒョンの季節だとシウォンは思った。
キュヒョンは秋や冬が似合う。
真っ白な景色に溶け込むキュヒョンの白い肌と白い息。
クリスマスイヴにキュヒョンと二人、誰もいない自然の中で幾度となく口ずけを交わす。
まるでこの世に自分達しかいないような気にさえなる。
ここが外で昼間だという事を忘れてしまいそうだった。
おでこをくっ付け『好きだよ』と囁く。
照れくさそうにはにかんだキュヒョンを抱きしめ、手を繋いだまま川の側まで行った。
なんだか恥ずかしくて意味もなく石を投げてみると水面で三回飛び跳ねた。
それをを見て、キュヒョンが俺だって出来るとムキになって石を投げ始めた。
そんなキュヒョンが可愛くて愛おしくこんな無邪気なところを誰にも見せたくないと思う。
その反面、こんなに可愛いんだと見せびらかしたい矛盾。
何度も石を投げては上手くいかないキュヒョンが、あれ?あれ?おかしいな。なんでだろ?と口を尖らせて怒っている。
まるで子供の頃に戻ったみたいに二人は夢中になって遊んだ。
空が暗くなり出し、グレーの雲が周りを覆っているのも気付かずに。
「ねぇ、シウォニヒョン、なんか寒いんだけど。」
「だよな。」
滝の水しぶきがスチームの様に身体に当たっていた。
お互いコートは着ていたがさすがに寒い。
「さっきまでは日が差して暖かかったのに、やっぱり山は寒いんだな。そろそろ戻るか。」
小走りに階段を上がっているとポツっと頬に雫が当たった。
ヤバい。
そう思った時はすでに遅く、突然の雨が二人の身体を濡らした。
いきなり雨に降られ、車に戻った時は二人ともずぶ濡れになっていた。
「大丈夫かキュヒョン?」
「んーーー。何とか。」
大丈夫なはずが無かった。
セットしていたシウォンの髪は雨で崩れ水滴が目に入るほどだ。
「まいったな。レンタカーだからタオルも置いてないし。」
慌ててエンジンをかけ車を走らせた。
コートが重く身体に張り付き、体温が奪われてゆく。
車でエアコンをかけても一向に寒気は無くならなかった。
「近くに店があれば服を買えるんだけど…」
こんな山奥に店などあるはずもなく、来た道をひたすら戻った。
すると車を走らせて数分でピンク色に光る看板がシウォンの目に入った。
そう言えば聞いた事がある。
日本に来た時、高速道路から見えたピンク色のネオンの数々。
「キュヒョナ、入ろう。」
「え?」
急にハンドルを切り、怪しげな門をくぐって中に入った。
中にはガレージがいくつも並んでいる。
2つシャッターが下りている所があった。
という事は、そこを誰かが利用しているという事か。
適当に車を止め、車から出てみると目の前のボタンにpushと書かれている。
恐る恐るボタンを押すとシャッターが下り、隣のドアが開く音がした。
ドアを開けると二階へ続く階段があった。
そうか。ここは誰にも見られず部屋に行ける様になっているんだと、シウォンは理解した。
怪訝そうな顔をしているキュヒョンを連れ薄暗い階段を上って行く。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20151222/12/gyugyu239/fd/48/p/o0412026813518381999.png?caw=800)
初めて見る不思議な空間。
部屋に入った瞬間固まってしまったキュヒョンをそのままにし、シウォンはバスルームに向かった。二人でも入れそうなくらい広い浴室は淡いピンク色でなんだか気恥ずかしい。お湯を勢いよく出し、バスタオルを持ってキュヒョンの元へ行った。
まさかこれで慣れていると思われたのはビックリする。
シウォンも戸惑っていたが、先ずは身体を温めるのが先だと思ったからだ。
「俺が慣れていると思ったの?」
「…シウォニヒョンが全然戸惑ってなかったから。」
「心外だな。こうゆう所に入ったのはキュヒョンが初めてだよ。」
「うん…」
キュヒョンの薄い白いニットから、蕾の周りの花も透けて見える。
「お仕置きが必要だな。」
「え?」
シウォンはキュヒョンの顎を掴み荒々しく唇を奪うと舌を差し込んだ。口腔をくまなく舐めまわし、舌の付け根が痛くなるぐらい絡ませたると濡れた音が耳にやけに大きく聞こえた。乱暴なくらいなのにそれに応えるキュヒョンの色香にぞくっとする。
甘い吐息に変わった頃、ニットの上から存在を主張しているキュヒョンの蕾を摘んだ。
「いっ…!」
「言ったろ?お仕置きだって。」
クリスマスイヴにキュヒョンと二人でモーテルにいる。
非現実的なこの空間を少し楽しみたいと、シウォンはニヤリと笑いキュヒョンのニットの中に手を入れた。
つづく。
たっはぁ~(≧▽≦)
クリスマスイヴにモーテルて!!
しかも続いちゃったテヘっ♡
[画像はお借りしています。ありがとうございます。]