※ウォンキュ小説です。
苦手な方はUターンしてくださいね。
その日は見事な秋晴れで、
日が落ちても気温は暖かいまま穏やかな一日だった。
シワひとつ無い真っ白なシャツを身にまとって
クラヴァッテリアのネクタイを締める。
俺はこのシルクの柔らかい手触りのネクタイがすごく好きだ。
キュヒョンにとても良く似合うだろう。
そうだ。
今度キュヒョンにプレゼントをしよう。
深い藍色の・・・。
「ん・・・。シ・・・ウォン・・・ヒョン?」
「ああ、悪い。起こしたか?」
「何処か・・・。行くの?」
裸で俺のベッドに横たわり、まだ開かない目で俺を見る。
「キュヒョンには、言わないで行くつもりだった。」
ベッドに腰掛け、キュヒョンの頭を撫で瞼にキスをする。
「何処へ?」
「食事会。」
「食事会?」
「覚えてないか?
この前一緒に食事した時、電話がかかってきただろ?
親がうるさくて・・・。」
「ああ・・・。」
今日は俺たちがひとつになってから
一ヶ月振りに会えた貴重な時間だった。
昼間から俺のマンションでワインを飲み一緒に眠った。
俺にはそれがすごく至福の時間だった。
やっと会えた二人だけの時間。
俺の見合いの話など、言いたくなかった。
聞かせたくなかった。
「黙って行って、帰って来るつもりだったの?」
「・・・メールしようと思ってた。」
「そっか・・・。」
「キュヒョナ?」
キュヒョンが俺の首にしがみつく。
「・・・ない。」
「ん?」
「行かせたく・・・ない。」
「キュヒョ・・・。」
「嘘。いいよ。行って来て。」
キュヒョンの手が俺の肩からするりと落ちた。
「キュヒョナ。」
「シウォ・・・んんっ。」
どうして。
どうしてキュヒョンは俺の決心を鈍らせるんだ。
少し顔を出してすぐ帰って来るつもりだったのに。
キュヒョンの唇に舌を割り込ませ、
ネクタイを緩めながらキュヒョンに覆いかぶさった。
「シウォ・・・時間・・・。」
「キュヒョナが誘うからだろ?」
「誘ってなんか・・・。」
俺はシャツのボタンを引きちぎるように前をはだけて
キュヒョンと肌を重ねた。
「あっ・・・。」
俺の躰は高揚し、キュヒョンを求めた。
白いキュヒョンの肌にひとつ跡を残す。
この躰は俺の物だと印を付けて優越感に浸りたい。
キュヒョンの手が俺のシャツの中に滑り込み、背中を掴んだ。
俺のシャツはシワくちゃになり、二人の汗が張り付いた。
iPhoneの着信音が何度も鳴る。
きっと親からだろう。
親の顔に泥を塗るバカ息子なんて
勘当してくれたらいい。
「ダメ。」
「キュヒョナ?」
息を切らしながらキュヒョンが俺の胸を押した。
「どうして?」
「約束は・・・。
ちゃんと守らないと・・・。
僕はここで待ってるから。
シウォンヒョンが帰って来るまで待ってるから。」
「キュヒョン・・・。」
「帰って来たら、続きをしよ?」
火照った顔で俺に微笑みかける。
「はは。全く、お前って・・・。」
俺は嬉しくて顔がほころんだ。
本当はこのまま一緒に果てたかった。
思い切りキュヒョンを抱きしめた後、
慌てて身支度を整えタクシーに乗り込んだ。
シウォンヒョンを見送った後、
僕はリビングに向かい残っていたワインを飲んだ。
ソファーに腰掛け、家族写真に目を向けた。
チェ家は僕らからは想像もつかないぐらい大金持ちだ。
シウォンの父親は大手化粧品メーカーの代表取締役で、
大手自動車会社の経営も携わっている。
母親は有名な下着ブランドの経営をしていると聞いた事がある。
食事会と言ってたけど、
両親が同席となるとただの食事会って事じゃないぐらい察しがつく。
僕はチョ家の長男で跡取り息子だし、
その辺の事情は分かってるつもりだ。
ただ、チェ家はあまりにもセレブ過ぎて雲の上の存在だ。
そんな彼がスーパージュニアの一員で、
身近な仲間で恋人だなんて信じられない。
いつかは離れなきゃいけないのも分かってる。
でも・・・。
もう少しこのまま・・・。
お互い将来の約束なんて出来ないけれど、
今を一緒に生きることぐらいは出来るよね?
そう、思いたいんだ。
つづく。
[画像はお借りしています。ありがとうございます。]