こんばんは、行政書士の石井くるみです
今日はの金曜日、春になって暖かくなり、週末が楽しみな季節ですね
前回の大阪特区民泊の記事では、管理規約によっては、マンションでの民泊許可は難しいことを説明しました。マンションでの民泊を認めるか否かは、マンション所有者のみなさんで判断する事項です。
マンションでの民泊を禁止したい場合は、管理規約の改正が有効な手段となります。
本日は、民泊でお悩みの管理組合のみなさま向けに、東京都江東区のマンション『ブリリアマーレ有明』の改正管理規約から、民泊禁止条項追加のポイントを解説します
【管理組合法人ブリリアマーレ有明Tower&Garden 管理規約】
(専有部分の用途)
第12条住戸部分の区分所有者は、その専有部分を専ら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない。
(中略)
4.区分所有者は、理事会の決議で特に承認された場合を除き、専有部分を、直接・間接を問わず、「シェアハウス」に供してはならない。なお、本規約にて「シェアハウス」とは、専有部分の全部または一部(以下、単に「専有部分」という。)の利用形態が以下に掲げる各項のいずれかに該当する場合における当該専有部分の長期・短期の利用様式をいう。
(1)専有部分の居室(キッチン、トイレ及び風呂を除く。以下本項にて同様。)の数(以下「室数」という。)を超える数の者(区分所有者、区分所有者の親族、区分所有者からの賃借人、上記賃借人の親族(以下あわせて「縁故者」という。)を除く。)による継続的な居住、宿泊または滞在。
(2)室数を超えない数の不特定の者(縁故者以外の者でいずれの縁故者も常時かつ明確に住所、氏名及び職業(就業就学先を含む。)を把握していない者をいう。)による居住または宿泊。
(3)縁故者を含む複数の者による居住、宿泊または滞在で、直接・間接を問わず、複数の者から居住、宿泊または滞在の対価を徴収することを予定しているもの。
(4)前各号のためにする改築・改装。
出所:第6回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 民泊禁止について 管理規約改正への経緯
ポイント① 「民泊」だけでなく「シェアハウス」も禁止
ブリリアマーレの管理規約で注目すべきは、禁止する利用形態を「シェアハウス」と表現し、短期の宿泊(民泊)だけでなく、長期の居住(シェアハウス)まで禁じている点です
通常、1日単位で宿泊を提供できる多数人共用型の宿泊施設は「ゲストハウス」と呼ばれ、旅館業(簡易宿所)の営業許可が必要となります。
他方、長期間の滞在を目的とする多数人共用型の居住施設は、一般的に「シェアハウス」と呼ばれ、滞在期間が1ヵ月以上であれば、旅館業の営業許可は必要とされません。
ブリリアマーレでは、バー、ジム、プール、スパ、セラピールーム、屋上テラスなど、多くの共用施設が、マンション所有者全員の負担により運営されています。
不特定の者がマンションを利用すると、セキュリティ面の心配や、共用施設のただ乗り(フリーライド)の問題が出てしまいますので、民泊のみならず、シェアハウスによる多数人共用型の宿泊・居住を原則として禁止しています
ポイント② 民泊の可否決定は理事会の決議事項
ブリリアマーレでは、管理規約の変更により、原則として民泊・シェアハウスを禁止していますが「理事会の決議で特に承認された場合を除き」としています。すなわち、理事会の承認があれば、例外的に民泊が認められると解されます。
マンション所有者間の公平性の観点から、理事会が特定の区分所有者に民泊・シェアハウスを認める可能性はほとんどないと考えられますが、民泊の例外的な許可を理事会の決議事項としたことは、他のマンション管理組合の参考になると思います
ポイント③ 民泊・シェアハウス発覚時の対応方法を明確化
5.理事長は、理事会の承認がないにもかかわらず、専有部分がシェアハウスに供されていると認めたときは、当該専有部分の区分所有者に、専有部分をシェアハウスに供することを中止するよう請求することができる。専有部分の区分所有者または占有者が合理的な理由を示さず第12条第7項の協力を拒んだ場合も同様である。
6.理事長は、専有部分がシェアハウスに供されているかどうかの事実を確認するため、随時、任意の区分所有者に対し専有部分の利用状況について口頭または書面で照会をすることができる。
7.前項の照会の結果、専有部分の外観、近隣住戸の居住者または専有部分に出入りする者等から任意に聴取した事項、各種媒体上で見分した賃貸情報などから合理的に判断して専有部分がシェアハウスに供されていると推認した場合、理事長は、理由を告げて、当該専有部分の区分所有者または占有者に対し、専有部分がシェアハウスに供されているかどうか実地に見分するため理事長及び理事複数名が専有部分に立ち入るのを認めるよう協力を求めることができる。
出所:第6回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会 民泊禁止について 管理規約改正への経緯
ブリリアマーレの管理規約では、マンションで民泊・シェアハウスが発覚した場合に・・・
①理事長による、民泊・シェアハウスの中止請求、
②理事長による、事実確認のための口頭又は書面での照会、及び
③理事長及び理事複数名による、専有部分への立ち入り要求
という対応方法を定めています。
管理組合の知らないところで、違法な無許可民泊が行われる可能性もありますので、民泊・シェアハウスが発覚した場合の具体的な手続きを定めておくことが重要ですね
当事務所では、マンション管理組合様向けに、管理規約の見直しアドバイスも提供していますので、ぜひお気軽にご相談ください
各マンションの自治ルールに従った、正しい適法民泊を進めていきましょう
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