シニア世代の再婚~後妻と相続~ | 豊島区池袋の行政書士 宗岡司のブログ

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yahooのトピックスのトップにこんな記事がありました。
最近はシニアの再婚も増えているそうです。

生涯1人で生きていくのが寂しいという方もいれば、結婚していたけどパートナーがいなくなったという方も同じかもしれません。

シニア世代の結婚、特に再婚となると相続の話が年齢的にもリアルになり、子供たちにも気を遣わなければならなくなるという心情も理解できます。
遺産目当ての結婚ではないか?と心配して疑う子や自分の相続分が減るからという理由で反対する子もいるかもしれません。

親族関係というのは法と感情が入り交ざったところにあるので、これという正解を出すのは難しいですね。
せっかくなら周囲にもお祝いして貰える結婚をしたいというのも最もなことで、様々な工夫をされたようです……が

この記事の中でこの工夫に対して非常に大きな疑問がありました。
後妻の方が財産目当てでないことを証明するために、以下のことをしたと書いてありました。
一部分かりやすいように言葉を置き換えました。

「旦那が先に亡くなった場合、後妻さんは相続を放棄する。そのまま自宅に住み続けるが、後妻さんが亡くなったら娘たちに返す。こうしたことを公証役場で正式な書面にまとめ、娘たちに提示した。娘たちの態度は軟化。2人の結婚に同意した。「相続放棄」を含む後妻さんの提案は、公証役場で正式な書類にまとめた。」

この遺言か何かよく分からない書面を作成してくれる公証役場があるのであれば、紹介をしてもらいたいです。
なぜなら、こんなことができる公証役場は無いはずなのです。
相続の放棄は家庭裁判所に対して申述をしなければならない(民法938条)
仮にこれが遺留分の話であっても同様です(民法1043条)
更に、相続の放棄というのは生前に出来ないとされています。
ですので、この記事の内容は何かがおかしいんです。

こういった記事が世間的にも有名なサイトのトップに出されると、信じる方はたくさんいらっしゃいますし、専門家全員が困ってしまいますので、出す前にちゃんとリーガルチェックをして欲しいと思います。
できないことをできない、というのも専門家ですが、専門家はなんでもできると信じている依頼者の方の期待を裏切るというのは心苦しいものですからね。

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