4月から本格的に軍師官兵衛の書道シーン
手元吹替えの撮影が多くなりそうです。
手元吹き替えでは
『 その時代にあった書風で
視聴者がご覧になって
違和感のない程度に書く事 』
が求められます。
以前、古文書をご紹介しましたが
その定義は以下になります。
〔古文書の定義〕
1)広く「古い文書」の意味でも使われるが、
歴史学上は、特定の対象(他者)へ意思を
伝達する為に作成された近世以前の文書を指す。
2)特定の相手に向けたものではない文書は
(日記や書物等)古記録と呼んで区別される。
3)日本史の分野で多く用いられる用語であり、
日本以外をフィールドとする場合、
古記録とまとめて文書史料、略して
文書(もんじょ)と呼ぶことが多い。
今回は、古文書に暫し見受けられる
『 花押(かおう) 』について紹介します。
1.花押とは
概略は以下の通りです。
1)日本の伝統的なサイン
2)草書体を土台として形付けられている。
3)模倣・偽筆防止にも役に立った。
〔足利直義軍勢催促状〕
薄い赤の部分が花押になります。
花押を拡大したものが以下の写真です。
2.花押の変遷
花押は時代と共に変化してきました。
時代的にみると
発生→成長→変化・成熟→慢性・惰性
と推移したとされています。
花押の変遷を見てみると
奈良時代には自署であったものが、
変案時代中期頃に花押へと変化したことが分かります。
ちなみにこのなかでは鎌倉時代の
北条泰時の花押は
柔らかく魅力的に感じます。
*******************************
花押は日本独自のサインとして格好が良く、
情緒豊かな故人の風情から生まれた
素晴らしい伝統文化だと感じます(注1・2)。
軍師官兵衛に限らず、
今後花押の手元吹替えや美術品制作に際して
この文化を大切に再現していきたいと思います。
(注1)花押は形態は異なるが日本のみならず、
中国他アジア諸国でもみられる。
(注2)現在でも閣僚等は花押を持っている模様。
書道家・鈴木曉昇