こんにちは IT契約のサポートをしている行政書士の高木です
暖かくなったり寒さが戻ったり、を繰り返していますが、 春が近づいているのを実感しますね。
さて、前々回ですが、システム開発における基本契約が、意味のないものになっている可能性がある、ということを書きました。
多段階契約における「共通部分」はないにもかかわらず、共通部分(?)を基本契約(書)として締結しましょう、ということにしている、と考えられるからです。
では、基本契約(書)としては、どのようなことが必要なのでしょうか?
それが、これも以前にも書いた「委任の要素を含んだ請負契約」を前提とした契約のしかたです。
一般的にシステム開発契約は、
要件定義、外部・内部設計
↓
製造(プログラミング)
↓
単体テスト、結合テスト、システムテスト
↓
運用テスト
↓
システム移行
という流れで進められると思いますが、
通常、公共事業のような例で、
「要件定義、外部・内部設計」と「製造(プログラミング)」を別々の事業者に応札・担当させるということは少なく、
全てを任せるということのほうが多いと思います。
(システム開発と、保守は別のところに、ということはあるかもしれませんが。)
そこで、
多段階契約という言い方をしていますが、上記の流れをひとつの契約(委任の要素を含んだ請負契約)と考える必要があります。
この「委任の要素を含んだ請負契約」の委任部分と請負部分を調整する働きをするのが基本契約ということになります。
「委任の要素を含んだ請負契約」であるシステム開発契約では、簡単に言えば、「委任契約」が「請負契約」に影響を及ぼすことが多々あります。
この「委任契約」が「請負契約」に影響を及ぼすというところをマネジメントするのが、基本契約の役割です。
おそらく、実務的には、「委任契約」に関することが「請負契約」に影響を及ぼしているということを実感しているはずです。
しかし、そのことについて、事前に、基本契約という形で、明確に規定できていないわけです。
多段階契約というものが、別々の契約である、と考えてしまっているからかもしれません。
そうではありません。
多段階契約というのは、ひとつの契約の中における各段階である、と考える必要があり、ある段階の業務が、別の段階の業務に影響を及ぼすものである、と考える必要があります。
それが、「委任の要素を含んだ請負契約」であり、それを調整する、(ひとつの契約としての)基本契約を締結するといことが重要になるのです。
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