しばらく開きました。理由はいろいろありますが、

メインは、これ。

東京都でも建設業許可手続きの電子化がスタートすることになりました。

スタートは令和5年10月23日から。正式にHPにて表明がありました。

 

国交省管轄の大臣許可ならびに他の道府県では今年の1月から既に

スタートしている「電子申請システム」。いよいよ東京都も、です。

 

ただ、このシステム、「電子申請でも申請できる」となっています。

従来の紙申請(窓口提出)も未だ並行して手続きが可能です。

 

何故こうして回りくどく書いているか。

御察しの通り、私は当分の間、紙申請で行こうと思っているから。

 

手続きに不安を感じてること、申請者の準備が整わないこと、

それは様々理由は挙げられますが、一番私が懸念をもって見ているのは、

 

電子化と言いながら、情報共有の未来が見えないからです。

まず、電子で提出すると、到達の連絡は来ますが、内容を受理されてた「受付印」のような形式は存在しません。提出された内容を反映しておきます、だけ。

いつ受付されたか、電子なので手元に控えが残るわけもなく、内容を受理された

確認が取れません。

 

これが何が問題かというと、「情報の二次利用ができない」ということです。

 

たとえば、建設業法上の営業所の「令3条の使用人(いわゆる営業所長)」になった経験は、その就任年数、将来の常勤役員等(経営業務管理責任者)の経営経験の年数として使用できます。原則的に事業主や建設業者の役員等に就任しないとカウントできない年数を、役員等に就任せずとも営業所長経験で賄えることになります。

 

ただ、この役職については、あくまで建設業法上の立場に過ぎないので、その立証は建設業許可手続き上で行われた「就任」と「退任」の届出で現されることになります。取締役なら会社謄本、個人事業主なら確定申告など、別途公的な証明媒体がないものなのです。

 

ですから、こうした立場の方を擁立する場合、その裏付けとなるのは、現在は当時の許可業者が提出した、受付印のある変更届の写しを持ってこい、になります。

 

はい。これが今後は出せなくなります。受付印のある副本がありませんから。受理された跡が残らないということは、いつ就任して、いつ退任したのかを他社では証明しえない、ということになります。自社データが最新に改まればそれでOK、ではないのです。

 

いやいや、情報共有してるんだから、審査の際に行政が当該業者の情報を確認すればいいことでしょ?そう思うじゃないですか。それは望み薄。

 

なぜなら、情報は許可権者である各行政庁(国、都道府県)がナワバリをもち、相互の情報を共有することはしていないからです。東京都は、東京都の状況しか確認できない。今現在も許可業者の情報を閲覧する際は、その本店のある各都道府県庁または地方整備局に設置されている閲覧室に足を運ぶ必要があります。そのナワバリな思考を電子化されても引き継ぐつもりなんです。

この点でも、本来の電子化を認識されていないことがわかります。本来の電子化を進めれば、近い将来、契約担当部署は電子上におけばよくなります。つまり、各営業所にて請負契約を行う、という概念さえもなくなる。しいては、都道府県2か所以上に請負契約の権限を有する営業所を置けば大臣許可といった、揺るがずナワバリを主張している部分が必要なくなる、という未来がイメージできていないのです。

 

そもそも、申請内容の確認方法も各自治体でバラバラのまま。大前提として統一されるべき部分も、集約できず。各許可権者への配慮から。その点をそのままに、電子化といったって。

 

それは、電子化ではなく、電子上で書類を作成しているだけ、なのです。

この違いに気付けない人が、DXとおっしゃられても、失笑しか浮かびません。

 

この状況で、近い未来の混乱が明確に見える中で、どちらを優先するかと言えば、真っ先に申請会社の情報の担保。ですから私はできうる限り、紙申請を続けます。申請内容は申請会社の財産となり、そこに所属する職員の未来への布石にもなりうるので。

 

国レベルの方々はもちろん「かしこ」ばかりであることは疑いもないことですが、プロジェクトの完成とスケジュールに頭を取られて、実効性についての練り方、現場の声の軽視(見下し)が顕著に見受けられます。システムの完成の時は評価を得、問題がおこったときはすでに担当を離れていらっしゃるから関係ないのかもしれません。ただ、我々のようなこの業界に居続けて貢献を続ける立場からすると、なんちゅう先見性のないことをしでかすんだか、、ということがよくあるのです。

 

こんな小物にイラッときますか?それは核心をついているからに他ありません。しれっとした改正を重ねて、有効性が見えた段階で、私は移行を考えようと思っています。