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1 はじめに
「代位」とは,その地「位」に取って「代」わって入るという意味です。
誰の地位かというと,「弁済による代位(代位弁済)」制度の場合,債権者の地位です。
つまり,「弁済による代位(代位弁済)」制度とは,債務者に代わって弁済をした者が,その効果として,債権者の地位に取って代わって入ることを認める制度です。
2 代位弁済制度の狙い(趣旨)
⑴ はじめに
ただ,このような説明だけでは,いったいどんな制度なのかを想像するのはずいぶんと難しいと思います。
そこで,ここでは簡単な具体例に沿ってこの制度の狙い(趣旨)を探ってみるところからやってみましょう。
例えば,以下のような事例があるとします。
⑵ もし「代位弁済制度」がなかったら?
さて,上記事例ですが,Cが保証債務を履行したことによってどうなるでしょうか?
①まず,被担保債権であるα債権がCの弁済によって消滅しました。
そのため,付従性によって,甲土地に設定された抵当権が消滅します。
②次に,Cは,主債務者Bに対して求償権を取得します(民法459条)。
この求償権を行使することによって,Cは,支出した100万円をBから回収することとなります…。
が,ちょっと待ってください。
確かにCはBに対して求償権を取得しますが,本当に100万円を回収できるでしょうか?
可能性としては,かなり低そうですよね。
なにせ事例の中での述べましたが,今回Cが弁済したのは,Bが100万円を支払えなかったからですよ。
だとすれば,Cからの求償にも応じられない可能性のほうが高い。
う~ん,これは参りました(汗)。
⑶ 「代位弁済制度」の誕生
そこで,「弁済による代位(代位弁済)」制度の登場です。
この制度を作った人は,上記事例の後に起こる“あるポイント”に注目しました。
「まず,被担保債権であるα債権がCの弁済によって消滅しました。
そのため,付従性によって,甲土地に設定された抵当権が消滅します。」
この部分です。
「あれ?もったいなくない?」って。
保証人だったCは,これから求償権を行使してBから100万円を回収するわけですし,この「甲土地に設定された抵当権」が手に入るのなら,これほど心強いことはありません。
これに対して,Cから弁済してもらったAからすれば,この抵当権は,もはや用済みです(必要ありません)。
だったら,この抵当権を,AからCに移しちゃおうぜ!となったわけです。
これを認めようというのが,「弁済による代位(代位弁済)」制度なんですね。
つまり,α債権を担保していた抵当権をAからCに移転させ,Cの求償権の行使(による100万円の回収)をより確実なものにしてやろう!というのが,代位弁済制度の狙い(趣旨)です。
この制度は,誰も何も損しませんから,こりゃあいい!となったわけなんです。
⑷ ただし,ここで“困ったこと”が
しかし,この話には,ひとつ“困ったこと”があります。
元々CがBに対して求償できるのは,(保証債務の履行として)α債権を弁済したからです。
被担保債権であるα債権が弁済され,消滅したのであれば,担保物権のド性質である付従性によって甲土地の抵当権は消滅するはず。
この性質論と,どうしてもぶつかってしまうのです。
これは困ったぞ……ということで,(ある意味)苦肉の策として,最高裁判所は以下のような説明をしました(だから,この制度は理解が面倒くさい)。
上記の通り,本来欲しいのは「甲土地の抵当権」です。
だから別に抵当権だけもらえればよいはずなのですが,例の付従性の問題があって筋が立たない。
そこで最高裁判所は,思い切ってα債権(「原債権」と呼んでいます)も移動させちゃおう!としたわけです。
しかも,「法の規定により……消滅すべきはずの……債権及びその担保権」をCに移転させると(汗)。
3 まとめ
以上が,「弁済による代位(代位弁済)」制度のざっくりとした概要です。
何となくお気づきかと思いますが,この制度って,ある意味“強引な”制度なんですよね。
「こうしたい!」という結論が先にあって,それを後から理屈づけると言いますか(汗)。
そのため,「なんか分かったような分からないような……」となってしまう方もいらっしゃるかと思います。
そんな方は,ここはひとまず「まぁそんな制度なのかな」くらいに流していただいて,先に進んでいただくとよろしいかと思います。