警視庁公式チャンネルにて「大麻の誘惑」というのがあります。ここで大麻が危険である理由としてその「依存性」が説明されていますが、

確かに大麻に依存性が「全くない」というワケでは無い。しかしこのグラフですら依存性はアルコールより低いと出ている点で、大麻の危険性の説明にはならないよなと思っていました。

 

警視庁が海外の論文データを用いるときは、大体においてチェリーピッキング(自分の都合のいい部分だけを摘み取るデータの悪用)されている事が多いので、出典元の「Lopez-Quintero C,Drug Alchohol~」を調べてみました。

 

 

これが原典です。賢明な方はお気づきかと思われますが、題名の部分でもう既にチェリーピッキングが行われています。

原題は「ニコチン、アルコール、カンナビス、コカインの最初の使用から依存症になるまでの蓋然性と前兆~米国アルコール及び関連障害全国疫学調査結果~」とニコチン(タバコ)も比較データの中に入っているのですが、警視庁公式チャンネルではそこが切り取られています。

 

何故ニコチンが切り取られているのか?

 

それはこの論文を読んでいくと明らかになります。どんどん行きましょう。

(翻訳者:あきらくんBIZ)

Abstract

Background: This study aims to estimate general and racial-ethnic specific cumulative probability of developing dependence among nicotine, alcohol, cannabis or cocaine users, and to identify predictors of transition to substance dependence.

 
抄録
背景:この研究は、ニコチン、アルコール、カンナビス(大麻)、そしてコカイン使用者の、全体的、そして人種ー民族に特定された、依存性発症の累積的蓋然性の推定と、薬物依存性への推移の予兆を特定する事を目的とする。

 

Methods: Analyses were done for the subsample of lifetime nicotine (n=15,918), alcohol (n=28,907), cannabis (n=7389) or cocaine (n=2259) users who participated in the first and second wave of the National Epidemiological Survey on Alcohol and Related Conditions (NESARC). Discrete-time survival analyses were implemented to estimate the cumulative probability of transitioning from use to dependence and to identify predictors of transition to dependence. 

 

方法:分析は、米国国立アルコール及び関連障害全国疫学調査の第一波と第二波に参加したニコチン(n=15918)、アルコール(n=28907), カンナビス(n=7389),もしくはコカイン(n=2259)の生涯使用者のサブサンプル(第二次標本;サンプリングされたデータから更にサンプリングしてデータを間引く事)のために行われた。離散時間生存分析は、使用から依存症への推移の累積的な公算(見込み)と依存症への推移の前兆を確認するために実行された。

 

Results: The cumulative probability estimate of transition to dependence was 67.5% for nicotine users, 22.7% for alcohol users, 20.9% for cocaine users, and 8.9% for cannabis users. Half of the cases of dependence on nicotine, alcohol, cannabis and cocaine were observed approximately 27, 13, 5 and 4 years after use onset, respectively. Significant racial-ethnic differences were observed in the probability of transition to dependence across the four substances. Several predictors of dependence were common across the four substances assessed. 

 

結果:依存症への推移の累積的な公算の見積もりは、ニコチン(タバコ)使用者が67.5%、アルコール(酒)使用者が22.7%、コカイン使用者が20.9%、カンナビス使用者が8.9%であった。依存症の数が全依存症の半数に達する年月は、ニコチン(タバコ)、アルコール(酒)、カンナビス(大麻)、そしてコカインでそれぞれ開始時期の27、13、5,そして4年後と観測された。その4種の薬物における依存症へ転移する公算(見込み)における人種ー民族的差異は相当数観測された。いくつかの依存症の前兆は4つの鑑定された薬物において共通であった。

 

Conclusions: Transition from use to dependence was highest for nicotine users, followed by cocaine, alcohol and cannabis users. Transition to cannabis or cocaine dependence occurred faster than transition to nicotine or alcohol dependence. The existence of common predictors of transition dependence across substances suggests that shared mechanisms are involved. The increased risk of transition to dependence among individuals from minorities or those with psychiatric or dependence comorbidity highlights the importance of promoting outreach and treatment of these populations.

 

 

ニコチン(タバコ)の方が圧倒的にスゲエ

 

これを警視庁はその部分をカットしているのですよ。そして一番低い大麻を悪者にしている。

 

タバコは身の回りにあふれていますが、薬物としては一番優秀なのだそうです。

 

何故か?

 

他の薬物、例えば酒や大麻などは服用すると運動能力や判断能力が鈍るので、服用による変化はわかりやすい。

それに対しタバコは吸ったからといって体が動かなくなるわけでも無く、狂暴になるわけでもない。しかしそれは発がん物質のかたまりに過ぎず、しかも吸えば吸うほど依存率は高まり、無ければ夜中でもコンビニに買いに行くようになる。

 

油断させて体に取り込ませ、あっというまに依存症にさせるという、依存症界の絶対王者。これがニコチンです。

 

未成年はおろか医学的には成年後でも25歳くらいまでも薬物には手を出すべきではないとは私も思います。脳が柔らかいうちに手を出すと、その薬物を快楽に感じ求める回路が出来上がってしまうらしいです。大人になってからの酒タバコと、子供時代の酒タバコは全く意味が異なります。

 

その論文のニコチン部分を切り取り、一番低い大麻の危険性の根拠として使用する。

 

これが警視庁公式チャンネルの実体です。

 

では、バイなら。

 

~~飲むなら高級酒をゆっくりと~~~

 

 

 

 

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※真宗大谷派行円寺は高森顕徹や一万年堂出版、「親鸞会」とは一切関係ありません