昨日、表記のオペラを観てまいりました。Hさんは平日マチネでご都合が付かず、私ひとりで伺いました。
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   ジュゼッペ・ヴェルディ:《リゴレット》
 指揮:アントニオ・パッパーノ
 演出:オリヴァー・ミアーズ

リゴレット(不具の宮廷道化師、娘を弄んだ公爵の殺害をスパラフチーレに依頼)エティエンヌ・デュピュイ(Br)
ジルダ(リゴレットの娘、3年前修道院からリゴレットに引き取られるが、恋してしまった公爵の身代わりになる)ネイディーン・シエラ(Sop)
マントヴァ公爵(マントヴァ公国の領主、好色で美丈夫)ハヴィエル・カマレナ(Ten)
スパラフチーレ(殺し屋、公爵殺しを引き受ける)アレクサンデル・コペツィ(Bas)
マッダレーナ(居酒屋兼宿屋の女主人、スパラフチーレの妹で色香で誘って殺人計画に加担)アンヌ・マリー・スタンリー(Mez)
モンテローネ伯爵(娘が公爵に弄ばされ抗議し投獄される。それをからかったリゴレットに呪いの言葉を吐く、その呪いがこのオペラのテーマ)エリック・グリーン(Br)
マルッロ(マントヴァ公爵の廷臣)ヨーゼフ・ジョンミン・アン(Br)
ジョヴァンナ(ジルダの乳母)ヴィーナ・アカマ=マキア(Mez)
マッテオ・ボルサ(マントヴァ公爵の廷臣)ライアン・ヴォーン・デイヴィス(Ten)
チェプラーノ伯爵(目の前で夫人が公爵にナンパされる)ブレイズ・マラバ(Bas)
チェプラーノ伯爵夫人アマンダ・ボールドウィン(Sop)
小姓ルイーズ・アーミット(Mez)
門衛ナイジェル・クリフ(Bas)
 合唱:英国ロイヤル・オペラ合唱団
 管弦楽:英国ロイヤル・オペラ交響楽団

 美術:サイモン・ホールズワース
 衣装:イローナ・カラス
 合唱監督:チーロ・ヴィスコ
 照明:ファビアナ・ピッチョーリ
 ムーヴメント・ディレクター:アナ・モリッシー
 
全3幕/イタリア語上演・字幕付/上演時間:約2時間45分(25分休憩1回を含む)

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英国ロイヤル・オペラ(ROH)は、ご存じウィーン国立歌劇場、ミラノ・スカラ座、パリ・オペラ座、メトロポリタン歌劇場(MET)と並び世界の五大歌劇場と称されています。300年の歴史を誇り、コヴェント・ガーデンのオペラハウスは2174人収容、専属オーケストラは三桁の団員を擁する大編成だそうです。

ROHと、指揮のパッパーノさんは2015年9月、NHKホールの《ドン・ジョヴァンニ》<指揮:アントニオ・パッパーノさん、演出:カスパー・ホルテンさん、キャスト:インデブラント・ダルカンジェロさん、アレックス・エスポージさん、アルビナ・シャギムナトヴァさん、ローランド・ヴィラゾンさん、ジョイス・ディドナートさん、ユリア・レージネヴァさん、マシュー・ローズさん、チャーリー・ブラックウッドさん、ライモンド・アチェトさん、合唱:英国ロイヤル・オペラ合唱団、管弦楽:英国ロイヤル・オペラ管弦楽団>以来。

来日オペラは昨年9月、東京文化会館 大ホールのローマ歌劇場公演《トスカ》<指揮:ミケーレ・マリオッティさん、演出:フランコ・ゼッフィレッリさん、キャスト:ソニア・ヨンチェヴァさん、ヴィットリオ・グリゴーロさん、ロマン・ブルデンコさん、ドメニコ・ニライアンニさん、ルティアーノ・レオーニさん、サヴェリオ・フィオーレさん、リオ・ポール・シャロットさん、ファビオ・ティナッリさん、末光朔大くん、合唱:ローマ歌劇場合唱団、管弦楽:ローマ歌劇場管弦楽団、児童合唱:NHK東京児童合唱団、他>に続いて。

リゴレットは2017年6月、牛込箪笥ホールのミャゴラトーリオペラ公演《リゴレット》<キャスト:須藤慎吾さん、國光ともこさん、寺田宗永さん、向野 由美子さん、藪内俊弥さん、新後閑 大介さん、武田直之さん、大沼 徹さん、青柳素晴さん、大澤恒夫さん、石塚幹信さん、星田裕治さん、指揮:柴田真郁さん、演出:岩田達宗さん、ピアノ:浅野 菜生子さん、他>以来です。リゴレットのあらすじを知りたい方は こちら

神奈川県民ホールは2018年10月、県民ホール・オペラ《アイーダ》<指揮:アンドレア・バッティストーニさん、演出:ジュリオ・チャバッティさん、原演出:マウリツィオ・ディ・マッティア、キャスト:木下 美穂子さん、城 宏憲さん、サーニャ・アナスタシアさん、モニカ・ザネッティンさん、上江隼人さん、斉木健詞さん、清水 那由太さん、松井敦子さん、菅野 敦さん、合唱:二期会合唱団、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団、他>以来。

ここからが本題です。~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今回鑑賞にあたって参考にしたのは...
・<音源>撮り溜めてあったブルーレイ2本
・<対訳>歌劇『リゴレット』三幕/翻訳:永竹 由幸
・<原作訳>ヴィクトル・ユゴーの戯曲『王者の悦楽』五幕/監修・翻訳:早川 善吉
・ROH関係者の来日前のインタビュー記事と来日時の記者会見等。



開演に先立ち会場内ロビーで、ROH管弦楽団楽団員によるロビーコンサートが開催されました。予定では1回でしたが盛況だったので、時間を置いて2回演奏するというサービス振り。撮影OKということなのでパシャリカメラ面子は開演直前にオケピを覗き込んで確認したところ各パートの首席奏者でした。



演目と面子は次の通り。
【演奏曲目】
・エドワード・エルガー作曲『愛の挨拶』
・エドワード・エルガー作曲『朝の歌』
・エドワード・エルガー作曲『夜の歌』
【演奏】英国ロイヤル・オペラ管弦楽団
・ヴァスコ・ヴァッシレフさん(コンサートマスター:ヴァイオリン)
・ソウ・ヨン・キムさん(ヴァイオリン)
・ジュディス・バスブリッジさん(ヴィオラ)
・クリストファー・ヴァンダースパーさん(チェロ)

ここからがオペラの感想と余談です。~~~~~~~~~~~~~~~~

呪いのテーマ(モンテローネ伯爵の呪いを表現する音楽)が繰り返される前奏曲。幕開きでいきなり登場したのは、カラヴァッジオの「聖マタイの殉教」を思わせるの活人画(絵画を再現した扮装で一定時間動かないでいる)。

前奏曲が終わると活人画が開放され、その内の一人が大きな角の野牛の剥製の被り物を脱ぐと、何とその人はマントヴァ公爵(ハヴィエル・カマレナさん)でした。

舞台は宮廷舞踏会に移り、20人位のダンサーが登壇してきて踊りグランドオペラの趣き。今回ダンサーも数十人帯同してきた模様。プログラムを購入すれば、その辺りのことが記されていると思うのですが、プログラムは買わない主義ですので...買わないのはケチでそうしているのではなく、レポを書くのにその請け売りになってしまうを避ける(他人の褌で相撲を散らない)のと、紙類を増やしたくないからです(フライヤー類も取ってありません)。

次のシーン...目に前でマントヴァ公に夫人をナンパされてしまうチュプラーノ伯爵を演じていたのは黒人のバス歌手(ブレイズ・マラバさん)でした。

チューリッヒ歌劇場《清教徒》でローレンス・ブラウンリーさんが胸声でハイFを出して話題になったのが2016年、オペラ界はその頃から黒人の時代と言われていたのかもしれません。

続いてパーティー会場に娘が公爵に弄ばされたと抗議しに乗り込んできたモンテローネ伯爵が黒人のバリトン(エリック・グリーンさん)。ひとりスーツ姿で登壇してきたエリック・グリーンさんの体躯が実に立派。まるでアメフットのプロアスリート。厚い胸板、張ったお尻。スーツというのは向こう人が着て似合うようにできているのだ…と痛感(女性のドレスについて同じく、舞踏会のシーンを観ていてよく思う)。

因みに世界のオペラ界は今、アジア人の時代と言われているそうですが、こと日本人歌手に関しては一部の方を除いて世界に打って出るという意識が乏しいように感じられます。自国に相当規模の市場があり、そこでどうにかやっていけるからです。その点が韓国と日本との違いだと思います(K-POPが世界を席巻しているのも恐らく同じ背景)。

話が逸れました。リゴレット役のエティエンヌ・デュピュイさんは、世界の主要なオペラハウスでリゴレットを持ち役とされているだけあって、さすがでした。リゴレットにしておくには勿体ないイケメン振りと長身(背中にコブを背負ってますが)。エンゲージリング!(すわっ!リゴレット再婚!?外国人歌手は結構アバウト)。

第2幕の大アリア♪悪魔め、鬼め♪は、怒りが悲痛な訴えに変わる劇的なアリアで、難しい高音域が続いたり、様々に変化する曲調に対応する歌唱力と、幅広い感情表現が求められます。廷臣にすがり、地を這いずるパフォーマンは、そのお手本となるような演唱振りで、客席から大きな拍手とブラボーを浴びてました。ジルダを探し回る「ララ、ララ、ララ」が耳から離れません。ネクタイの差し色も強い印象です。

第2幕の復讐の二重唱♪いつも日曜日に教会で〜娘よ、お泣き♪<辱めを受けた公爵を許してと父に乞うジルダと、公爵への復讐を誓うリゴレットの二重唱>の最後を「As」まで結構楽に上げてました。しかもロングトーン(世界的バリトンはモノが違う)。

ジルダ役のネイディーン・シエラさんは、歌姫として備えるべきものは全て備えてらっしゃいます(しかもまだ若い、マニアのぐらっぱ亭氏も絶賛合格)。

どれほど素晴らしいかは論より証拠、7年前の映像ですが音譜カロ・ノーム音譜のパフォーマンス。今回も腕や脚の露出を多くした(衣装デザイナーの言)衣装でした。



先輩風を吹かすつもりはありませんが、ネイディーン・シエラさんについては、結構古くから注目してました。11年前になりますが、YouTubeで♪ツァイーデのアリア♪の演奏を探っていたところ、シエラさんのこの映像が目に留まりました。

モーツァルト《ツァイーデ》より音譜おやすみ、いとしい人よ、安らかに音譜 唄:ネイディーン・シエラ


動画は2009年ヘルシンキでのデビューコンサートの時のものだと分かりました。映像のアップは2009年09月28日、1988年5月14日生まれの彼女はこのとき21歳。とてもそうとは思えない豊かな歌唱、表現、表情。

この映像を拙ブログに貼らして貰った日付が2013年10月6日。その4日後ドイツで開催されたNeue Stimmen (ノイエ・スティンメン・コンクール)2013本選で、シエラさんが優勝したということを、後で知りました。

シエラさんはそこでブレイクしMETでの活躍に繋がり、その後ヨ―ロッパに進出し、そこでも順調にキャリヤを重ね、今や押しも押されもせぬ世界の歌姫です。

ジルダは持ち役であり、世間知らずで可憐な乙女を達演されてました。第1幕フルートソロから導かれる大アリア♪慕わしき人の名は(カロ・ノーム)♪、やはり圧巻でした。繊細で柔らかな音色と装飾的技量、今回は弱音が例えようもなく素敵でトレビアン 何時果てるともない拍手とブラバーに包まれてました。

第2幕の♪復讐の二重唱♪では、シェラさんも最後「ハイEs」に当然の様にヴァリアンテ(向こうではそれを回避すればカテコでBooを浴びちゃうのかも)。オケも最強奏で最高に盛り上がりました。

第1幕中盤、この娘を守っておくれと乳母ジョヴァンナに託した(実際は父娘で愛情の深さを確かめ合う)二重唱は旋律がとても綺麗で、そちらも聴きどころのひとつです。こう言っては何ですが、この日のお客さまは耳が肥えてらして、この目立たない二重唱に盛んに拍手を送ってらっしゃいました。

ハヴィエル・カマレナさん(マントヴァ公役)は、輝かしいお声のテノールです。来日前のインタビューで語っていたのは...第2幕♪あの女が誘拐された♪は、ジルダの身を真剣に案じるのではなく、歌詞の内容をよく分析すると「公爵はオペラの最初から最後まで卑劣だ」と。

少々理屈っぽくなりますが...確かに歌詞も途中から主語を「私」ではなく、グァティエールの偽名を使った「彼」としていて何か他人事のよう。原作の「国も、国民も、財産も全て自分の持ち物」と言い放っていたフランシス一世(マントヴァ公のモデル)の人物設定にかなり近いと感じました。

第3幕♪女心の歌♪も、能天気というより「女は信用できない警戒しろ」と訴えている冷たい側面の方が強く感じ取れました。この日コンディションが万全でなかったのか、第2幕♪力強い愛が吾輩を呼んでいる♪の最後の「ハイDes」は回避されました。

純真なジルダから、すれっからし(このカラシは何処にも売ってない)のマッダレーナまで一発でメロメロにしてしまう美丈夫マントヴァ公を演じられるのは(ドン・ジョヴァンニも同じく)、オペラ歌手ではないですが、古今東西、エロール・フリン(1909年~1959年:身長188センチ、私生活でも女たらし)以外ないと私は思っています。

アレクサンデル・コペツィさん(スパラフチーレ役)のバスボイスも凄みがあり、殺し屋のニヒルな不気味さを表現するのにぴったりでした。第1幕、コンビニにも寄らず家路に急ぐリゴレットを暗がりで呼び止める...「物乞いじゃないぜ。俺は殺し屋。支払いは前金で半分。残りは始末ができてから...何かご用命は」のあのシーンが好きです。

アンヌ・マリー・スタンリーさん(マッダレーナ役)は、濃厚なお声で肉感的。衣装も大胆。ハンガリー国立歌劇場《魔笛》のダーメちゃんたちもスカートの深いスリットを気にしてませんでしたが(大丈夫かいな…と親心)、スタンリーさんは、パンツが見えちゃったって全然平気って感じ。殺人計画を実行しようとしている人間は、いちいちスカートの裾なんか気にしてられません。

ちなみに原作には、マグエロンヌ(オペラのマッダレーナ)が、犯行のあとフランシス一世(オペラのマントヴァ公)と一夜を共にしたと見受けられる記述があります。

第3幕の四重唱♪美しい愛の娘よ♪は、今更説明する必要もないほど有名で、四声が異なる歌詞(心境)を立体的に絡ませ合うオペラ史上最高傑作の四重唱として知られています。映画『カルテット!人生のオペラハウス』のエンディングソングに使われていたのがレコーダーに残っていたので、YouTubeにアップしておきました(テノール:ルチアーノ・パヴァロッティ)。

四重唱♪美しい愛の...♪に比べたら地味ですが、第3幕終盤の三重唱♪夜中の12時までに客が来たら<嵐の三重唱>♪も必聴です。マントヴァ公の身代わりになる覚悟をし父の許しを願うジルダと、殺人の算段をして実行に移す兄妹の緊迫感に満ちた三重唱で、来日前のインタビューでパッパーノさんは、<以下引用>「この三重唱はリズム的にもとても難しく、オーケストラにとっても緊張する難所です。でもその音楽は本当に、本当に素晴らしいものです」と述べておいででした。

パッパーノさんは、23年にわたる音楽監督(在任期間は歴代最長)としての最後のタクト、今回は23年間の集大成と言えます。歌手が演奏しやすい歌い回し、音量といったオケの自在なコントロールが見事でした。歌手間での歌唱のズレは散見されましたが、歌とオケがズレた所は聞かれませんでした。カテコでも大きな拍手を浴びてました。

オケもキレキレで、阿吽の呼吸というか歌劇場専属マエストロ・専属オーケストラ・専属合唱団の一体感を今回ことさら強く感じました。

合唱は音量も十分、良く仕上がってました。ROHの合唱団はシェイクスピアの国の合唱団で演技にも定評があり、そこここに芸達者振りが発揮されました。

小姓役のルイーズ・アーミットさんは、黒いタイトなロングドレスを着て出てきて、最初誰かと思いました、貴婦人かなと。

照明は、光と影のコントラストで心理劇を浮き彫りにしてました。スモークも上手に活かされてました。

舞台装置はシンプルですが観応えのあるステージでした。冒頭の活人画のあとティツィアーノの「ウルビーノのビーナス」の大写しなどが掲げられ、マントヴァ公を女性と美術品のコレクターという設定にしていて、女性も絵画も次々に替えていくのがミアーズさんの演出意図だったようです。

ROHにはドッキリシーンを伴ったプロダクションが結構あるようです。9年前の《ドン・ジョヴァンニ》ではドンナ・エルヴィーラのお付きと思しき方のオール・ヌードwowご一緒したHさんはそれを見たそうですが(但し後ろ姿)、私はメモに視線を落としていて見逃しました。

今回のプロダクションは、ロンドンでは12歳以下入場制限があった演出だそうで、確かにグロテスクなシーンや、どぎつい場面が見られました。何らかの演出意図があったのでしょうが、私的にはスルーしました。

リゴレットの♪悪魔め、鬼め♪演奏シーンで、リゴレットを椅子で遠巻きに取り囲んで、身を乗り出して真剣に観入っていた30人程の廷臣が、リゴレットが「どうかお情けを!旦那さま方」と演奏し終えた瞬間、一斉に身を起こしたあの演出は、実に素晴らしいものでした。客席から「ふうぅ」と声にならない溜息が漏れました。

マントヴァ公とマッダレーナの濃厚なベッドシーンには驚かされました(私もそういうのは決して嫌いな方ではありません)。それも二度。二度目のやつは時間もたっぷしかけて(私の時計は夜光式でストップウォッチ機能がついてます)、ベッドインするとき、マッダレーナはナント下履きをそそくさと脱いでベッドの脇にポイとwowその前にもベッドから起きて歩き出したとき、腿の辺りをぽりぽり掻いたりする芸の細かさを見せてましたが、まさかあそこまで...

恐らくアレを2枚履いていたのでしょうね。何で私がそんなとこまで解説しなくてはいけないのでせうか。さっきまで暑さでぐったりしていた、そこのあなたッ!!急に元気づいてどうしました?2枚一緒に脱いだら大変なことになる…なんて想像しちゃ駄目ですよ。私は紳士ですから、そんなこと思いもつきません。

最後にきてブログがあらぬ方向にいきかけたので、軌道修正します...それにしても実に皮肉な結末です。ジルダが初めて親の言うことに背き、居酒屋に引き返してきて最も親の望まない決断をし、リゴレットが放った復讐の矢が、溺愛の娘ジルダに当たってしまうのですから....これがオペラのテーマである“呪い”というものなのでしょう。

空席を見つけるのが難しい程の大盛況でした(キャパは2243)。「リゴレット」は、このあと音響が最悪のNHKホールに会場を移して上演されるので、そちらを回避されたファンが詰めかけたのかもしれません。

この日は横浜平日マチネ特別料金ということで、3日前(同じ会場、同じ演目、同じ席種)やNHKホールより23,000円安く観られました。そのせいもあったかもしれません(私もそのうちの一人です)。昨今の諸経費高騰で、バブルの頃のとんでもないチケット料金に近づきつつあります。

今回の美術スタッフ:サイモン・ホールズワースさんが、来日を前に受けたインタビュー(2023年秋、ロンドンにて)「最後に改めて、日本の皆さんにメッセージをお願いします」に、こう答えています...<以下引用>「西洋の伝統芸術であるオペラを日本で上演するのは、ロンドンで歌舞伎や能を上演するのに近いものがあると思います」インタビューの全文はこちら

ホールズワースさんはこれまで二度来日されているそうですが、日本では毎週のように(極端に言えば毎日のように)何処かでオペラが上演されているということをご存じないか、関心がないか(こちらが思うほど向こうは思ってない)。

~余談~

先日、銀座王子ホールの公演で、終演後にカテコの様子を撮っていたら、係の方が飛んできまして注意を受けました。その方には済まないですが結果的にやったもん勝ちでした。

王子ホール以上に厳しそうな雰囲気の神奈川県民ホールでは(出演者の家族以外は楽屋に通してくんない。楽屋見舞いをしようとするには家族と思しき方をめっけて、ご相伴に預かる他ない)、カテコの写真撮影は初めから無理と分かっていたので、この日は楽チンでした(終演間際にスマホ電源をONにしなくてもいいので)。

昔は大きな会場で、特に満席の壮観はブログでお伝えしたいので結構拘って撮影していた時期もありましたが、有名処は撮っていると大抵直ぐ人が飛んできました。開演前ですから緞帳しか映らないので問題なさそうですが、一度オケピでチューニングチェックしてるオケ団員の肖像権を持ち出されたような記憶がございます(それ以上粘っても、譜面台の配置にもステージマネージャーのノウハウがあるなんて屁理屈をこねられそうで…)。

それはともかく、こちらとしては席がいっぱい埋まっているとこを撮りたいので、予鈴が鳴ってからが勝負でした。無事?に撮影が終わって開演直前、客席の最後列から最前列の自分の席に階段を下って戻っていく時の気恥しさもあって(「開演に先立って関係者のご挨拶」と勘違いされそうで←こう見えても結構小心者)、ここ数年、会場、客席の様子を撮ることもなくなりました。

でもこの日、急に虫が騒ぎ出し、カテコは無理でも満席の客席の様子の撮影ならイケルのではないかと(昔取った杵柄)...それには25分の休憩時間の予鈴が鳴って再開までの最後の2,3分が勝負で、そこに賭けました。コツはコソコソせずに堂々とやる(上手くすれは関係者ですか?と声をかけてこられる→そこで曖昧な返事をし2,3枚撮ってから切り上げる)

案の定、会場スタッフが飛んできまして、「撮影はご遠慮下さい」

内心「ちょっと待ってよ!ご遠慮下さい」という言い方は違うんじゃない?「遠慮」というのは、「他人に対して慮る(気遣う)」意味で、相手にそれを求める(強いる)のは如何なものか...「ご遠慮下さい」は一見丁寧そうですが、「こちらのことを気遣って下さい」と言っていて少々違和感を覚えます。この画像↓は見なかったことにして下さい、是非忘れて下さい。今回もちょっとおっ恥ずかしかった。



神奈川県民ホールに続く、この段々...アメリカの法廷ドラマ、映画でカメラが下から寄っていく定番シーンを連想させて好きでしたが、老朽化のため来年4月をもってホール休館(その後のことは未定)だそうです。






次回のブログ更新はメモ来月初めに、ブログ開設14年目を迎えるので、それを軽く振り返った後、来月下旬(第60回日伊声楽コンソルソ本選<出場者:宮下嘉彦さん、小川栞奈さん、東山桃子さん、依光ひなのさん、髙橋 大さん、何 如錦さん、阿部 泰洋さん>@東京文化会館小ホール 7/26 のレポ)を予定しております。


マタネ