昨日表題の公演を聴いてまいりました。Hさんはご都合が付かず私ひとりで伺いました。
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音譜~出演~
 榛葉 樹人(テノール)
 今井 俊輔(バリトン)
 水野 彰子(ピアノ)
音譜~セットリスト~
 第一部
1. トスティ“暁は光から”(榛葉)
2.  〃 “君なんかもう”(今井)
3. ナポリ民謡“海へ来たれ”(榛葉)
4. レナート・ブロージ“ヴェネツィアの幻想”(今井)
5. ヴェルディ:歌劇《ドン・カルロ》第2幕より“友情の二重唱”(ドン・カルロ:榛葉、ロドリーゴ:今井)
 第二部
6. R.レオンカヴァッロ:歌劇《道化師》より“ごめん下さい、皆さん方”(トニオ:今井)
7. プッチーニ:歌劇《トスカ》第3幕より“星は光りぬ”(カヴァラドッシ:榛葉)
8. ヴェルディ:歌劇《イル・トロヴァトーレ》第2幕より“君が微笑み”(ルーナ伯爵:今井)
9. マスカーニ:歌劇《カヴァレリア・ルスティカーナ》より“母さん、このお酒は強いね”(トゥリッドゥ:榛葉)
10. ヴェルディ:歌劇《運命の力》第4幕より“アルヴァーロ、隠れても無駄だ”(アルヴァ―ロ:榛葉、カルロ:今井)
 メドレー
“ヴォラーレ~遥かなるサンタ・ルチア~情熱~カタリ・カタリ~太陽の土地~恋する兵士”(榛葉、今井)
アンコール曲 1. ニーノ・ロータ:映画『ゴッドファーザー』“愛のテーマ”(榛葉、今井)
アンコール曲 2. ディ・カプア“オー・ソレミオ”(榛葉、今井)

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今井さんは2021年9月、高崎芸術劇場大ホールの「シャローネシンガーズ」デビューコンサートでのゲスト出演<出演/ソプラノ:小玉 友里花さん、佐々木 美歌さん、高橋 香緒里さん、髙橋美咲さん、髙橋 侑さん、中嶋彩香さん、アルト:上久保 沙耶さん、実川裕紀さん、花房 英里子さん、吉田 安梨沙さん、吉成文乃さん、テノール:大平倍大さん、鈴木秀和さん、西山広大さん、沼田臣矢さん、山中志月さん、バス:市川 宥一郎さん、片倉 旭さん、河野陽介さん、澤地 豪さん、松井 永太郎さん、ゲスト:今井俊輔さん、指揮:福永一博さん、ピアノ:水野彰子さん>以来です。

榛葉さんは2023年10月、なかのZERO大ホールのBS日本スペシャルコンサート<出演/FORESTA:谷原めぐみさん、吉田和夏さん、池田史花さん、三宅里菜さん、小笠原 優子さん、財木麗子さん、吉田明未さん、南雲 彩さん、吉野 翠さん、石川和男さん、司会:石川牧子さん>に続いて。

榛葉さん個人の公演は2015年12月、浜離宮朝日ホールの“クリスマスコンサート”<出演:澤田 薫さん、榛葉樹人さん、横山慎吾さん、ピアノ:石川和男さん、吉田幸央さん>以来で、実に9年振り。

今井さんと、榛葉さんの初聴きは2011年4月、きゅりあん8階大ホールの“フォレスタコンサート2011”<フォレスタ:澤田 薫さん、横山慎吾さん、榛葉樹人さん、今井俊輔さん、川村章仁さん、大野 隆さん、中安千晶さん、矢野聡子さん、白石 佐和子さん、小笠原 優子さん、吉田 静さん、ピアノ:南雲 彩さん、吉野 翠さん、司会:石川牧子さん、構成・演出:一条貴之さん、音楽監修:杉本貴之さん>で、今井さんが今回23回目、榛葉さんは17回目です。

水野さんは2022年10月、アークヒルズ・カラヤン広場のミニコンサート<出演:堀越俊成さん(テノール)、池内 響さん(バリトン)、水野彰子さん(ピアノ)>以来。

初聴きは芸大に在学されていた2014年4月、アート・カフェ・フレンズ(本年3月末をもって閉店 かなしい )の演奏会<出演:塚本 江里子さん(ソプラノ)、平山莉奈さん(メゾソプラノ)、宮里直樹さん(テノール)、池内 響さん(バリトン)、水野彰子さん(ピアノ)>で、今回で16回目になります。

町田市民フォーラムは2020年8月、大音絵莉さん(ソプラノ)と井上雅人さん(バリトン)のデュオコンサート<ピアノは小滝翔平さん、澄川武史さん(横笛)が友情出演>以来で3回目。

私の場合、前の2回も満席で、1回は確か補助椅子で聴いたと思いますが(キャパオーバーだと消防署が飛んで来て即刻排除されます)、今回も満席(217名)。普通満席になることは滅多にないそうで、特に今回は予約をお断りしたケースが100件くらいあったとのことです(凄い人気)。

果たして、開場50分前には会場に着いたのですが、入場整理券の番号が82番目受付の奥が病院の待合室のようになっていて、その方たちの眼が一斉に私に向いたのを素肌で感じました「何か見慣れない人間が来たぞ」と...最後まで私は浦島太郎状態でした。終演後の送り出しの際に、12~13年前一緒にフォレスタの追っかけをしていた音友を何人かお見掛けし、ほっと ホッ

Shevaさんもいらしてたようです、気が付きませんでした。

ここからが本題です
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“暁は光から”(榛葉さん)...透明感ある歌唱。

“君なんかもう”(今井さん)...深い声にうっとり、最後は消え入るように。

“海へ来たれ”(榛葉さん)...高らかな歌い振りで、喉の調子も良さそうです。

“ヴェネツィアの幻想”(今井さん)...ヴェネツィアの魅力をしっとりと。

“友情の二重唱”(榛葉さん、今井さん)...有名な二重唱ですが、今回は第二部(オペラの楽曲)へのプロローグ的効果も。

“ごめん下さい、皆さん方”(今井さん)...こちらは、ご存じオペラの中での正真正銘のプロローグ。押し出し...説得力...前口上を演らしたら他に並ぶ歌手なし。対抗出来るとしたら大山大輔さんぐらいか。

“星は光りぬ”(榛葉さん)...甘い思い出と、絶望感に打ちひしがれる慟哭のパフォーマンス。

“君が微笑み”(今井さん)...さすが!バリトンの上限「G」も見事クリア。

“母さん、この酒は強いね”(榛葉さん)...最初は静かに入って徐々に感情が高ぶり、最後は思いの丈を。

“アルヴァ―ロ、隠れても無駄だ”(榛葉さん。今井さん)...オペラの楽曲のラストは鬼気迫る二重唱で〆。

“メドレー”(榛葉さん、今井さん)...調性は元はバリトンの榛葉さんとの合わせですから低いものだと思われます(時に榛葉さんが上に三度並行で被せたり)。いずれにせよマイクに歌い掛けるのではなく、会場の空気を振動させ、それを共有する喜びに浸っているようでした。

あとどうでもいいことですが、「太陽の土地」で“Sò sempre”が、“お煎餅”に聞こえたのは私だけでしょうか(空耳)...

“愛のテーマ”“オー・ソレ・ミオ”(榛葉さん、今井さん)...アンコールは哀愁と歓喜。「オー・ソレ・ミオ」の“お約束長伸ばし”はもう慣れっこになってますが、榛葉さんは、そこで転調を上へ下へと繰り返してのジラシ作戦。これにはビックリ目でもさすがと言うべき。

今井さんと「オー・ソレ・ミオ」で思い出すのは、2011年10月カトリック川越教会で行われた今井さんのミニコンサート.。o○最後はやはりこの曲でしたが、今と違うのは、そのとき来てらした今井さんファンは4人。今や日本を代表するバリトンになられた今井さんがブレイクする前のことです。

ピアノの水野さんの“間”の取り方も印象に残りました。アンサンブルピアニストにとって、室内楽のアンサンブルより声楽伴奏の方がずっと大変...と伺っていますが、見事です。

コンサート全体の印象...とにかく大盛り上がりクラッカークラッカー毎年コンサートは結構聴いてますが、これ程の盛り上りは初めて。

お二方とも、ジャンルレス(時に演歌もあり)のフォレスタというオペラ歌手にとって周り道とも思えるコースを辿ってきてたわけなんですが、久しぶりに訪れた今回のコンサートの客席の反応、会場全体を包み込む楽しくて温かい雰囲気から、決してそんなことはないと確信しました。10数年かけて培われてきたファンとのフレンドリーな関係は、何物にも代えがたいものではないでしょうか。

榛葉さんも、前回観にいったFORESTAの公開収録は、一発撮りなので緊張感ありありでしたが、あの時とは打って変わって今回は今井さん共々トークがノリノリでした。

~余談~「打って変わって」という言葉を使って文章を作りなさい...という外国人留学生を対象にしたテストで、「彼は覚せい剤を打って変わってしまった」という答えがあったというのは結構有名な話です。

~追伸~「あたかも」を使った文章では...「確か、冷蔵庫に卵があったかも」

最後も先輩風を吹かすようで何ですが、18年前の榛葉さん(当時はバリトン)と今井さん。若い!!




次回のブログ更新はメモ来月初め{IRODORIオペラ《ドン・ジョヴァンニ》<指揮:仲田淳也さん、演出:舘 亜里沙さん、キャスト:岩田健志さん、浜田耕一さん、梁瀬彩加さん、吉田真澄さん、濱田 翔さん、髙橋 雄一郎さん、戸村優希さん、山口ななさん、ピアノ:齋藤和音さん、後援:ソフィアかしの木> 5/10 @タワーホール船堀 小ホール}のレポを予定しております。


マタネ