パイプ椅子も出る盛況ぶりでした。

一昨々日、ルーテル市谷センターで宮里直樹さん(テノール)と、池内響さん(バリトン)のジョイントリサイタルを聴いてまいりました。

その3日前にあったミニコンサートが余りに素晴らしかったので、いつものHさんを本チャンに連行した次第ですキャー

Hさんは、お二人が出演された昨年4月の恵比寿アート・カフェ・フレンズにもご一緒しています。

ピアノは先日と同様、榎本優人さんです。
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 音譜~プログラム~
  ~第1部~
・千原 英喜作曲
  “はっか草” 池内 響
・武満 徹作曲
  “島へ” 宮里 直樹
  “めぐり逢い” 宮里 直樹
  “死んだ男の残したものは”(平川 加恵編曲) 池内 響
・R.シュトラウス作曲
  “万霊節” 宮里 直樹
  “献呈” 池内 響
・G.ロッシーニ作曲
  “踊り” 池内 響
・G.ドニゼッティ作曲
  “一滴の涙” 宮里 直樹
・S.カルディッロ作曲
  “つれない心よ(カタリカタリ)” 池内 響
・A.ララ作曲
  “グラナダ” 宮里 直樹
  ~第2部~
・G.プッチーニ作曲
  《ロ・ボエーム》 ~ “あぁミミ、君はもう戻って来ない” 宮里 直樹&池内 響
・G.ビゼー作曲
  《カルメン》 ~ “闘牛士の歌” 池内 響
・G.グノー作曲
  《ファウスト》 ~ “おぉ!この清らかな住まいよ” 宮里 直樹
・G.ドニゼッティ作曲
  《愛の妙薬》 ~ “20スクードだって!” 宮里 直樹&池内 響
・G.ヴェルディ作曲
  《ファルスタッフ》 ~ “これは夢か?まことか…” 池内 響
  《リゴレット》 ~ “女心の歌” 宮里 直樹
  《ドン・カルロ》 ~ “我らの胸に友情を(友情の二重唱)” 宮里 直樹&池内 響
・アンコール曲/武満 徹作曲
  “小さな空” 池内 響
・   〃    /F.レハール作曲
  《微笑みの国》 ~ “君こそ我が心のすべて” 宮里 直樹
 音譜~出演~
 宮里 直樹(テノール)
 池内 響(バリトン)
 榎本 優人(ピアノ)

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お二人は、昨年春ともに大学院を修了された同級生です。宮里さんは現在ウィーン国立音楽大学オペラ科に在籍中、池内さんは11月に日生劇場にて《ドン・ジョバンニ》タイトルロールでの出演が予定されています。

私が宮里さんを初めて聴いのは、3年前の東京音コンの本選です。前評判は聞いてましたが、「凄い学生がいるなあ!」というのが最初の印象で、凄いという印象は今も変わっていません。

ジョイントリサイタルは、宮里さんのMCで進められていきました(話をし出したら止まらないそうですニコ)、日本歌曲から始まり、ドイツリ-ト、イタリア歌曲、カンツォーネ(カツオ節でないお)と続いていきます。

はじめの3曲は、初聴きでした。しっとりとした雰囲気の“はっか草”、池内さんは高音域も綺麗です。宮里さんは伸びやかに“島へ”“めぐり逢い”は、明瞭な歌いぶりが心地良いです。

以前宮里さんが、「日本歌曲は奥が深いので、プログラムに入れるのは勇気が要る」と仰ってましたが、日本語であるだけに却って聴く者に、「声楽という遠い世界のもの」という印象を与えてしまいかねない怖さがある、という気がいたします。

誰でも知ってるお馴染みの曲にしても、それはそれで難しい部分がありそうですし...いずれにせよ今回のお二人は、相当稽古して臨まれたという印象を持ちました。

無伴奏から入っていった“死んだ男が残したものは(池内さん)、徐々に高揚していき最後フェードアウトしていく感じの構成で、榎本優人さんの力感あるピアノも素晴らしかったです。

榎本さんは大学院生だそうですが、ピアノエリートというより、ちょっと見、今どきの若者という印象の方が強く、ヘアスタイルもお似合いでした(Hさんの弁「お三方とも個性に合ったヘアをされていた」)。

R.シュトラウスのドイツリート2題“万霊節”(宮里さん)、“献呈”(池内さん)。ドイツリートには窺い知れぬ奥深い雰囲気を感じます。ドイツ語が分からないと真に理解出来そうもない気が。

“踊り”は、池内さんの躍動感ある歌唱と、最初の立ち姿が印象的でした。男性歌手では、小堀勇介さん(テノール)もすっとした姿勢を取られます。

“一滴の涙”、宮里さんのお声は上から下までコントロールされていて綺麗に響いてました。

バリトンの深みある“つれない心よ(カタリカタリ)”もいいものです。

前半の最後、イタリアの太陽のような宮里さんの“グラナダ”は、ピアノと一体となって華やか盛り上がり、今が冬であることを忘れさせてくれました。

後半は、オペラのアリアと二重唱です。“あぁミミ、君はもう戻って来ない”の《ラ・ボエーム》は、ご承知のように芸術家の卵たちの青春群像を描いたオペラです。が、聴いていて、お二人は演奏家としてかなり恵まれたスタートを切っているのでは...と思いが鶏冠(とさか)を過りました。

あッ!過(よぎ)りました、で思い出したひらめき電球会場入り口でチケットをもぎってくれた方、「もぎりよ今夜もありがとう」。

“闘牛士の歌”は、前回も述べましたが、池内さんの無理に作ってないバリトンヴォイスが素敵です。

陸上競技の走法に例えれば、自然に備わっている綺麗な脚(特に膝下)の動きといた感じでしょうか...一流選手はみな理に適った走法を身につけています、ランニングフォームも綺麗です。

そうした中に、惚れ惚れするような柔らかな脚の動きをする選手がいます。外国人選手に多いですが、そういったものは恐らく教えて身につくものではないと思われます。

類まれなる美声と声量の持ち主、宮里さんについても、“おぉ!この清らかな住まいよ”の晴れやかな歌唱に、上記と同じことを感じました。

“20スクードだって!”の途中、高らかなテノールに、バリトンが合いの手を入れ畳み掛ける処が堪りません。専門的には「ちゃちゃを入れる」と言うのでしょうか?ニコ

“これは夢か?まことか…”、池内さんの声量も、かなりのものです。

“女心の歌”、宮里さんは剥がし忘れた使い捨てカイロのように、張り(貼り)っ放しではありません。歌唱に微妙な濃淡をつけてらっしゃいます。

プログラム最後は“我らの胸に友情を(友情の二重唱)”、ラストを飾るに相応しいお二人の堂々たる歌唱に、客席から盛んな拍手と掛け声が飛んでました。

アンコール1曲目は、池内さんのノスタルジックな“小さな空”。2曲目は、宮里さんが“君こそ我が心のすべて!”を熱唱され、最後の最後を締めくくられました。

お二人は学部3年の時から、ときどき組んでは発表の機会を設けてきてらしたそうです。将来的には“ビッグ2”というタイトルでジョイントが組めるところまで、互いに高めあっていって欲しいと思います。

P.S.
宮里さんの場合もそうですが、公演で楽曲の「対訳と解説」が配られることがございます。そうした資料は記事にするうえで、また後学のためにも大いに役立ちます。

手間のかかることですが、そうした事からも音楽に対する真摯な姿勢が窺えます。

今回は、アンコールの貼り紙もされてました。



帰りは東京・八重洲のレストランでハッシュドビーフライスを食しましたハヤシライス☆

こげ茶の液に白いものが掛かっていて、ウェイターが「良くかき混ぜてからお召し上がりください」と言うもんだから、ソースポットカレー☆に左手を入れ、ぐちょぐちょにしてから召し上がりました。

その左手はどうしたかって言うと...いつもならこっそりとHさんの着てる物でぬぐうのですが(フレミングの左手の法則)、白髪隠しに丁度いい色艶なので、自分の髪の毛にぬすくって帰りました。

食べてるとき液が洋服にハネつかないで良かったほっ



マタネ