昨日は部内選考会のための調整練習だったので、大学生は早めに終了していた。
そこで、中高生の練習だけに集中することに。

すると、平均台でアヤメが宙返りに挑戦しようとしていた。
しかし、恐怖心があるのか、
何度もやろうと腕を挙げて構えては止めて、またやり直す。それを繰り返していた。

以前の私なら、何を怖がってるんだ!
やれ‼
なんて怒鳴っていたかもしれない。
しかし、それで仮にその場はできたとしても、その子にとっては達成感を得るよりも恐怖心をより増幅しただけかもしれない。

いつの頃からか、そんな高圧的な指導、力で相手をねじ伏せるやり方では体操を好きな子どもを育てることは出来ないと思うようになった。

アヤメを呼んで、怖い原因を聞いてみる。
やりたいけど、怖い。
でもなぜ怖いのかよくわからない。

恐怖心と不安は似ているが微妙に異なる。
不安はその対象が不明瞭であるのに対し、
恐怖は対象が明確に意識されている。

例えば、お化け屋敷に入り、
いつお化けが出てくるかとドキドキしている状態は「不安」、実際にお化けに遭遇すると「恐怖」になる。

アヤメが平均台の上でなかなか宙返りをしないのは、実は怖いのではなく「不安」だからではないか?

もし失敗したらどうなるんだろう?
落ちたら怪我をしてしまうんじゃないか?
アヤメは頭にいい子だから、
色々と考えすぎてしまうのかもしれない。


考えを巡らす。

マットのかかった低い台なら出来るのは確認した。
そこで、次に低い台でも薄いマットをかけて、落差を少しつけ、本当の台でやらせて見る。

すると、出来ない。
やろうとするのだけれど、やはり最初と同じような現象が現れた。

またまた、考える。

さっきまでできていたものが出来なくなる。
その差は何か。
台の幅か。
マットの違いか。
それとも落ちた時の地面の状態なのか。

そこで、今度は台から落ちる練習と落ちた時の身の守り方を教える。
頭を守るために顎をひき、手をつかないでお腹に腕を抱えて丸くなる。
何回か台上でジャンプしては転がる事をさせて見る。

もう一つ気になったのは、呼吸とリズムだ。
やろうと意気込んでも、腕を挙げると重心が上に上がる、その時一瞬不安がよぎり呼吸が止まると、リズムが崩れ、もう一度体勢を整えようとすると、もう出来なくなる。

これを解決するには、
リズムを止めない工夫と蹴る前に重心を落とす姿勢(実際に腰を下げるということではなく、自分の感覚として脚に力が入る感じが持て、宙返りをするための足場が感じられればいい)を作ることが必要だと思った。

そこで次に、
交差ジャンプから宙返りに連続で繋げるための体勢を教えながら、リズム作りと腕を挙げずに身体の後ろに置く姿勢を作って見たらいいのではないかと考えた。

ジャンプのあとにとるであろう姿勢を考えさせ、その位置から宙返りが出来るか、もう一度マット台で試してみる。すると、できるじゃない。

そのまま、低い台に行く。
できた。

すると、アヤメが自分からこんな事を言ってきた。
次の試合が近いので、
自分の構成にはジャンプから宙返りは今は入れず、スタンド宙返りを入れたいから単発でやってもいいですか?

そうか、でもいつかはシリーズで使えるようにしておかないといけないから、どちらでも使えるようなスタンド宙返りの構え方を教えるね。

そう言って、腕を挙げた後にジャンプの着地の時の腕の位置に手を持っていく方法を考えた。

それは、挙げた腕を後ろに回しながら下げて行き、宙返りの前に一瞬体重を意識してかけ、そこから振り上げる。

このやり方で、もう一度最初の段階からやり直すと、最初に中々行けなかった台でもポンポンと成功し始めた。
彼女の構成にある側宙から宙返りが完成する。

思わず2人でハイタッチ

もうこれで終わりかなと別の子の指導に行こうとすると、

何と自分から普通の高さの通し台に上がって、宙返りをやり始めているではありませんか!
そして、、、

成功‼

今度はハイタッチも特大の笑顔で\(^o^)/

ここまでわずか一時間。
急がば回れです。

歳をくうのって、
良くない事ばかりじゃないね。

力で押し付けるのではなく、
自分で解決していく。
そんな子供達の手伝いをする楽しさを学べる事ができる様になったかな。

さあ、今日は大学生の頑張りをしっかりと見届けなきゃ。

頑張れ武庫川(^_-)-☆




iPhoneからの投稿