「他人が思うよりもずっと、実は夢に近づいている」 | 地球一蹴、ちゃりんこ世界一周の旅 ー Rio Cycling Around The Earth

地球一蹴、ちゃりんこ世界一周の旅 ー Rio Cycling Around The Earth

2007年3月9日より 約9年をかけて157ヶ国155,502kmを走る。
I am traveling around the world, over 157 countries on a bicycle from 2007 to 2016.

★Around The World : 3,364 days    : 世界一周3,364日間  

☆157 countries : in Nagano, Japan.    : 157カ国目・現在地:日本 長野県  諏訪地方

★Total Distance 155,502 km                : 総走行距離:155,502km

 

 

「他人が思うよりもずっと、実は夢に近づいている」

 

もしかしたら、僕が知っている南極の情報と、他人の持つ南極の情報は違うのかもしれない。

情報を知らない人は、僕のことを無謀なチャレンジャーと呼ぶのかもしれない。

僕たち冒険者はチャレンジャーだ。

チャレンジャーは、実は誰よりも臆病者で、堅実派。

情報に情報を重ね、石橋をコンクリートにするまで待つ。

勝機が51%にまで出来たとき、僕らのチャレンジはスタートする。

 

 

2012年3月、僕は世界の交差点と呼ばれ、旅人のクロスロードと呼ばれる宿「Tree of Life」にいた。

そこで出逢ったのは、当時のレジェンドサイクリストの「加藤彰」さんだった。

先にも後にも、彼を超える荷物の量を持ったサイクリストは見たことがない。

 

「荷物の量の多さは、エゴの多さ」

 

情熱トークのアキラさんからは珍しく、そんな言葉が漏れた。

まるでホームレスのような荷物は、並の旅人では出せないオーラを持っていた。

僕よりも一世代上のアキラさんは、憧れのサイクリスト。

 

 

そのアキラさんが、自転車旅人のクロスロードとなりつつある、グラバイステーションに来てくれた。

埼玉県から鹿児島県への引っ越しの途中で寄ってくれた。

それも当時のスタイルで。

トークがはずみ、またいつもの熱血トーク。

夕暮れ時になり、アキラさんは鹿児島に向かって南下していった。

 

 

 

「あ、今日はどこ泊まるんですか?」

 

帰り際に思い出したかのように声をかけようとしたけれど、彼の背中を見て言葉を飲み込んだ。

 

「サイクリストに野暮なことを聞くなよ」

 

アキラさんの背中がそう言っていた気がする。

アキラさんは、鹿児島で再度チャレンジしたいことが見つかったそうだ。

 

「結果じゃなくて、チャレンジした行為が大事。良平くんならわかるよね」

 

案外、他人は全然自分のことを知らない。

アキラさんのチャレンジは、世間一般的には難易度の高いことなのかもしれない。

アキラさんを見ていたら、そんなことはどうでもいいやって思う。

きっと彼はまた笑って僕の前に現れる。

それが答えだ。

僕は楽しみにアキラさんを待っている。