★Around The World : 3,364 days : 世界一周3,364日間
☆157 countries : in Nagano, Japan. : 157カ国目・現在地:日本 長野県 諏訪地方
★Total Distance 155,502 km : 総走行距離:155,502km
「他人が思うよりもずっと、実は夢に近づいている」
もしかしたら、僕が知っている南極の情報と、他人の持つ南極の情報は違うのかもしれない。
情報を知らない人は、僕のことを無謀なチャレンジャーと呼ぶのかもしれない。
僕たち冒険者はチャレンジャーだ。
チャレンジャーは、実は誰よりも臆病者で、堅実派。
情報に情報を重ね、石橋をコンクリートにするまで待つ。
勝機が51%にまで出来たとき、僕らのチャレンジはスタートする。
2012年3月、僕は世界の交差点と呼ばれ、旅人のクロスロードと呼ばれる宿「Tree of Life」にいた。
そこで出逢ったのは、当時のレジェンドサイクリストの「加藤彰」さんだった。
先にも後にも、彼を超える荷物の量を持ったサイクリストは見たことがない。
「荷物の量の多さは、エゴの多さ」
情熱トークのアキラさんからは珍しく、そんな言葉が漏れた。
まるでホームレスのような荷物は、並の旅人では出せないオーラを持っていた。
僕よりも一世代上のアキラさんは、憧れのサイクリスト。
そのアキラさんが、自転車旅人のクロスロードとなりつつある、グラバイステーションに来てくれた。
埼玉県から鹿児島県への引っ越しの途中で寄ってくれた。
それも当時のスタイルで。
トークがはずみ、またいつもの熱血トーク。
夕暮れ時になり、アキラさんは鹿児島に向かって南下していった。
「あ、今日はどこ泊まるんですか?」
帰り際に思い出したかのように声をかけようとしたけれど、彼の背中を見て言葉を飲み込んだ。
「サイクリストに野暮なことを聞くなよ」
アキラさんの背中がそう言っていた気がする。
アキラさんは、鹿児島で再度チャレンジしたいことが見つかったそうだ。
「結果じゃなくて、チャレンジした行為が大事。良平くんならわかるよね」
案外、他人は全然自分のことを知らない。
アキラさんのチャレンジは、世間一般的には難易度の高いことなのかもしれない。
アキラさんを見ていたら、そんなことはどうでもいいやって思う。
きっと彼はまた笑って僕の前に現れる。
それが答えだ。
僕は楽しみにアキラさんを待っている。