そして、月組フェニックス・ライジング(初見) | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。


(続きです)
2025年1月26日11時公演

不死鳥…それは鳳月杏のことだ。

彼女は同組同期の抜擢に割りを食ったのか、ついに新人公演主演をし損ねている。
その同期はコネクション持ちと言われてたっけ。
…なんだけど、順調だったひとにありがちな弱さ…その同期はとある94期の、御曹司の自分より上をいく超抜擢にめげたのかさっさと諦めたのか、あっさり退団してしまった。もう9年も前のことだ…。
ちなつは「男役度では同期で一番」と言われてた、と聞く。

そして鳳月杏は花組に行って帰って、3期下のトップスターに仕え見送って…。
そのトップスターをして「月組のために誰がいいか考えた」と言わしめ、その座を禅譲された。
そんな長い月日、鳳月杏は地位に恋々とする様子も、無駄にガツガツした様子も見せず、ただ静かに待っていた気がする…何を?
時が熟するのを。
不死鳥が、炎の中から蘇生するのを。

そんなコンセプトのショーだと思うんだけど、まあ、とってもスタンダードな出来だったかな、と。
アジアの様々な国の描写が続いて、なんだって月組はタイにフォーカスするのかしら?華やかに展開する。よくある世界旅行。
ちなつは、どのスキルがどうと深く語るよりも、とにかく男役芸のスターで、いかにも宝塚っぽい人だなあとつくづく思う。

トップさん以外のかたがたでは…。
なにしろ一番驚いたのは、ぱるくんが堂々の3番目格だったこと。めちゃ場面多くてびっくり。
で、彼女もそれに応えていたと思う。確実に堂々として、上手くなってる。
ただ、フィナーレでは羽根はなかったのね…。同じポジの頃おだちんは早々に出してもらってたように思うし、今回のパレードもおだちんが下手先頭(お披露目だけど天紫さんではない)。うーん、おだちん強し。劇団の評価が高いんだろうな。

先日の「驚愕の組替え」でも、男役体制は無風だった月組。このままじゃすまんだろうとも思いつつ、でも急速に①②③を固めつつある感じを受けました。

月組センター付近の路線さんでは、私はあみちゃんが一番のダンサーだと思うのですが、いかんせん線が細い…。こういうひとはセンターにおいてこそ、なんだよなー。

じゅりちゃんは、デュエットダンスでリフトされていた。このために絞ったんだろうな…トップ娘役の気概って本当に凄い。
私がもともと彼女を認識したのはダンサーとしてなんだけど、最近そんな感じではなくなっていたので、ちょっと感動しました。

なにはともあれ、不死鳥トップスターのお披露目ショー。特別な趣はなくとも、ついについに彼女がセンターに立ったという、ただそれだけでよいのかもしれません。
おめでとう、ちなつちゃん。あなたの歩んだ道程で幾多の人が励まされたと思います。それはもはやひとつの波乱万丈なストーリー。
これからのトップ人生が、静かにひとを幻惑するような、そんなあなたに似た光に満ちていますように。

つまんないお芝居より彼女のジェンヌ人生の方が遥かにドラマティック…。