鳳月杏というひとの、個人的な印象について。 | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。

ここ2年くらい宝塚に嵌まってる知り合い男性の話。会社では花形ポジにいます。 

彼が、鳳月杏を最初に見たのは花組の「新源氏物語」。夕霧役を見て「この人は宝塚で一番綺麗な人に違いない」と思ったらしい。みりおさまが同じ板に乗ってるのに、ですよ😅
そして舞台のあと、当然のごとく(男子なのでスペック好き)調べまくるわけですが…マイルドにいうと、「宝塚の化粧って偉大」だと思ったとか。

それはさておき、私の「鳳月杏」への認識をひもといて見ると、ずっと昔から知ってる割には舞台でのパフォーマンス記憶は比較的最近です。
(といっても「アリスの恋人」くらいからだから、昨日や今日ではないか😅)
とにかく脚が長い男役がいる、92期の中では男役力高そう…みたいな話題先行型(私の中では)。

①前期月組時代
あ、出てる出てると認識したのは、前述の「アリスの恋人」(2011年)、そして「春の雪」(2012年)の宮さま。主人公から女性を奪われる役ですね。立ち姿が端麗で、たいして出番なかったような気もしますけど、コアなファンの目を奪うには十分でした。

さらに翌2013年伝説の舞台である「月雲の皇子」。たまちな+上田先生のデビューであり、生で観たというだけで宝塚ファンには尊敬されるという(笑)作品です。
私はどっちかというと「翼ある」の方がお気に入りで(衣通姫伝説に違う展開を期待してたのもある)、ちなつのダークパワーも良かったけど大型新人たまきちも凄かったので、ちょっとちなつへの集中力に欠けてました😅もちろんみゆ姫もね。これできる娘役あまりいないと思う。
しかし考えてみればちなつ、この年の初めにようやっと新公初主演(よくあるラストチャンス)を果たしたばかりだったわけで、これはプチ爆発と言っていいでしょう。ただねーたまきちも爆発だったわけで…。

そんなこんなしてるうちに月から、明日海さんがトップオブトップになるべく抜けていき、月組は混沌の時代へと突入…(すみません)。

あれれ、そしたらなんとしたことか、みりおさまの花トップ就任のすぐあとに鳳月さんまで花へ抜けていったではありませんか。
「あきらもいるのに何なの?テイストかぶるじゃん」と、ファン研5くらいだった私はびっくりしました。
今ではみりお閣下に呼ばれたんだと素直にわかりますけどね。この頃のぞみさんも雪へ異動したのでちなつ動向注目いまいち(再度すみません)。

②花組時代
D作カリスタ→前述の新源氏…と、進んでいくわけですけど、ミーマイで現花トップ柚香さん&マイティと役替わりしてみたり、確かにセンター付近にいて安定してるがビミョーに地味。そうそう、キキちゃんとも役替わりしてたっけ。きちんとしてて外さないんだけど「こっち見ろ」感があともう少し…。

てな感じだった私が、花でのちなつに瞠目したのはジャハンギール(2016年「金色の砂漠」)です!なんつーてもこの役名をいまだにスラスラ言えるんだもん。
いやーかっこよかった。あの殺気ね。私、男役の暗い殺気ってものが好きなんです。ゆきちゃんが好きになってしまって煩悶の挙句、命を絶ったのわかる。
その後の冬星さんやらクリフォード先生もよかったけれど、ジャハンギール→松倉(2018年「メサイア」)が魅力爆発の系譜かなーわたし的に。ちなつの魅力は漫画じゃない、と私は思う。
負の感情を表現する時の凄絶な色香というか迫力は、こちらを少し青ざめさせる。やや大空さんに似てるかな?
上記の2役は物語に必然性を与えて余すところなく、役者だなーと感銘しました。

そしてその間になんとちなつさま、別箱とはいえトップスターとの役替わりを「あかねさす紫の花」(2018年)で果たします。2番手や3番手との役替わりだけでなく、ついにトップさんとも!
ま、みりお中大兄はそちらが主役に書きかえてあるんですけどね。そこは、鬼畜の準トップなるものを置いた月組とは違います。
個人的にはオーソドックスに、みりお大海人+ちなつ中大兄が好きでした。

このあたりでファンのみなさまはざわめき出します…ひょっとしたらひょっとするんじゃないかな、ちなつ?と。
なのにああ、内容的にはみりおさまの卒業公演と言っていい「CASANOVA」(2019年)では女役。なぜだ。
私ね、ここは正直ベースでは「もったいない」だった。アチアさんが何と言おうと、歌も上ずってるように聞こえて辛かった。やはり男役がよいよー。

とか思ってたら(発表、公演中でしたっけ?前か?)な、な、なんとまた月へ戻るとな。これはほんとにみりお閣下のために花組に来た、としかいいようがないHISTORY。
このあと、みやちゃんの退団発表があって、混沌の月組、面目躍如でした。

③再びの月組
話長くてごめんなさい。
そして今回の「I AM FROM AUSTRIA」(2019年)ですよ!
私これ、鳳月杏がいないとダメな舞台だったかもと思いました。
やはり彼女は私には芝居の人。間の取り方が素晴らしい。そして花の国にしばし滞在していたせいか、少しだけ足りなかった華やぎも身につけて…😭
明日海さんのため(だけ)じゃない、彼女はちゃんと自分の糧にもした。そして芝居の国に凱旋したのだ!
そう、心から思えました。
そして歌も良かった…実に。こんなに上手かったっけ、彼女。コンデュルメル夫人で何かひとつ抜けたかな?高音へのトライで音域を広げ、余裕が出たのかもしれない。ナチュラルで語るような歌唱。芝居の月組に一番似つかわしい歌唱作法。
今まで彼女をシンガーだと思ったことがなかったけれども、こんなに味のある歌を届けてくれようとは…。

④これから 
確かに、れいこちゃんが2番手羽を背負ってる。だけど、トップオブトップたる明日海りおと、劇団が死んでも成功させようと思ってる珠城りょう、二人のトップに望まれた彼女。
類いなきスタイルに恵まれ、スキルも充分に身につけて、この上なく頼もしく、宝塚男役テイスト満載で脇を固める鳳月杏。
彼女はどこに向かうのだろうか。

一度、とあるお店で彼女を見かけたことがあります。鳳月杏はひっそりとオーラを消してカウンターに座っていました。その姿はガツガツしたところが微塵もなくて、ただ静謐。
これが彼女、鳳月杏なんだろう。
このときの彼女を忘れることができません。