女王と、伸び盛りの若木と、続けている人と。全日本フィギュア女子シングル | Gwenhwyval(グウェンフウィファル)の舞台日記

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鑑賞は生中心主義。自分の眼でライブで見たことを中心に、語ろうと思います。

女王はさすがだった。

フィギュアスケート界隆盛のためには若手の台頭は必須だろうけど、女王は女王であっさり王座を譲ることなんてできない。そのプレッシャーたるや凄かろう。

…なのだが、彼女の力強いスケーティングは迷いなど感じさせず、ただ前に前に行く。風を切りながら、彼女の心を語るかのように。

私の後ろの席の女性は、スタオベしながら「かっこいいねー」と感極まる口調で言っていた。そう、かっこいいのだ、坂本花織は。男前な滑り。気迫に溢れて実に頼もしい。

 

他方、伸び盛りのキラキラは、見ていて楽しい。

千葉百音ちゃんは昨年から認識できていたけれども、明らかにうまくなったと思う。ポーズとポーズの間が切れ目なくなめらかに移り変わっていき、そこだけスロー動画を見ているように美しい。長い脚がすっと伸びたスパイラルも長いし、シットスピンの途中から加速するのにはっとさせられた。ジャンプも(←ここ、私の目は節穴だが)きれい。

島田麻央ちゃん、本人とても悔しそうだったけど、彼女は天性のスポーツパーソンという雰囲気満載なので、絶対いけると思う。まだまだこれからだ。今泣いて、いずれ笑うんだよ!

上薗恋奈ちゃんにも期待。あんなに若いのにショートのときの叙情性には驚いた。これから大人の身体になっていく時期を上手く乗り越えられますように。

 

と、書きながらなのだが、全ての滑走者の1番最初に滑った、大庭雅さんの演技にぐっと来たのを思い出さずにはいられない。

私は不勉強にして知らなかったが、よく知る友人によると「まだ滑ってるんだね、本当にスケートが本当に好きなんだなー」だそう。以前は、ジャンプが売り物で期待の逸材だったという。プロにならず、社会人として会社に所属しながら競技生活を続ける彼女。

フリーの「情熱大陸」では、若い人にはない熱く静かな想いがストレートに伝わってきて、ぴったり。拍手を送らずにはいられなかった。会場も沸きに沸いた。


スケートに向き合う姿は人それぞれだ。…というか対象はスケートに限らない。仕事に対しても、人間関係の構築についても、自分のヒストリーや好み、ほんとうの気持ちの行く先を見て、決めていけばいいのよね。

私が「こんなふうにはなるまい」と思うのは、自分が理解できないからといってその生き方を排斥すること。


舞台やってる息子をもつ友人が

「役者はとにかく続けることだと言われてる。歳を取ると他のひとにない味が出てくる。それまでいかに辞めないで、続けるか」

と言っていた…。

体力勝負であるスポーツとは完全に同列には語れないだろうけど、年月が生み出す風合い…そういう面も確かにあると思う。


そんなこんなで3日間楽しませていただきました。帰りの新幹線(最終)にも、長野駅まで猛スピードで歩いてなんとか間に合った!車内販売なくなったと思っていたけど、あれは東海道新幹線だったのねwwwちゃんと回ってきました。


世界選手権や4大陸(だっけ?)選手権などの出場者も決まったようで、真剣に眺めると連盟の思惑もあーだこーだと想像できるのでしょうが、もはやそういうの、どっかの劇団で飽きてるのでもういいやwwwという心境。

ただ、この美しいスポーツに青春を賭けてるひとたちに悔いなきことを祈るのみ、です。