

2023年3月19日12時&17時30分公演(前編後編通し)
今年で営業終了と聞く「ステージアラウンド東京」にて上演。
(近くにあるteamLabプラネッツも今年いっぱいらしいので、この辺りまとめて再開発でもするのかしら)
原作…というか元コンテンツは著名すぎるゲーム「ファイナルファンタジー」その第10作目。30年ほど前から始まってるこのシリーズ、国を越えた人気を誇っているそうです。初日には外国の方もかなり見かけたと友人が言っておりました。
本当は前編と後編、別の日に見たかったのですけど、スケジュール的にどうにも難しく…。通し公演にチャレンジすることに。
しかし、12時に始まって、大休憩挟むとはいえ終了は21時ですよ…大丈夫か、私。
前日は大劇場から夜帰ってきて午前中には到着してなくては、というスケジュール。自分の体力心配しつつ、ゆりかもめ「市場前」に降り立った…。
が、いやいや、思いのほか長く感じられず、楽しく見られました。自分でも不思議。
だって、このゲームしたことないし、いつものように予習せず。原作ものって知識あるかないかで全然違いますよね。でもなんだか納得した。
細かいことはわからないなれど…以下印象。
①とにかく、いつもの「歌舞伎」は言うに及ばず、全ての(私が行きがちな)エンタメと全く客層が違う、違いすぎる!
若い男性率高し!女子もめちゃ若い!
②幕間で聞いた、コーフン気味女子二人連れの感想
「もう素晴らしすぎる!」「これ、永遠に残してほしい傑作」「ユウナがどんな女の子より可愛い❣️」…そ、そうなんだ。
③アフターで友人から聞いた若い男子の感想
「再現度がすごい」「ユウナ可愛い」「もう、感動!」
おそらくですが、本作品はもともとの歌舞伎ファンはどうでもよく(すみません)、ゲームファンを取り込み、歌舞伎へいざなうことだったのは自明。それならこれ、成功なんではないでしょうか?
いえもちろん、ファンの相互送客がコラボ作品の狙いなのは当たり前。だけど実現できるかはまた別の話で、これ、かなり達成できてるんじゃない?と肌感で思いました。
なにしろ、歌舞伎客とほぼ被らない人たちが来場して感動してる(←ここ大切)なんだもの。
(見てないけど、ワンピースとかナウシカもそうだったのかな)
内容に優越して、作品の戦略的意味が心に残った感じでした。海外展開もありかもしれませんね。
とはいえ舞台鑑賞記録なので多少は内容も…。
キャストは、
・菊ちゃんがニンじゃなかったなー、とか
・ユウナ役の米吉うますぎるだろう、とか
・丑之助の将来そら恐ろしい、とか
・獅童こういうの似合う、とか
・松也もよかった!まあいつもの彼だが、とか
そんな感じ。
菊ちゃんはこういう役をやるには持ち味優等生過ぎと思うし、それは本人もわかっていそうな(笑)。とりあえず彼が企画・演出なのだから自分でやってみて次回(←あれば)は…ってことと想像しました。いや、妄想か。
脚本や演出でいうと、
・「召還」という言葉の多発…5回目くらいに漢字は浮かんだが、正確な意味が結局分かんなかった。集める、ってことですかね?
ゲームでは一番大切なワードなんだろうなあ。それがあやふやなのは辛い、というか残念。
・物語世界の多層構造が複雑で、一度には理解できなかった…しかし、イメージは伝わってきました。
・360度回転の舞台機構をどこまで生かせてるのか?は疑問なきにしもあらず。ですが、客席を含めた全体を宇宙船?飛行船?に見立てて進む場面などは、なかなか臨場感あったように思う。回転というより映像処理だけど。
・前編の最初に「見得を切る」の説明とトライがあり、これはよかった。
初めて歌舞伎を見たひとが興味を持ち、1割でも2割でも歌舞伎座や国立劇場に足を運んでくれるとよいですよね…ほんとは次回歌舞伎座公演の割引とかできればよいのだろうが、ハコが違うと無理なのかな。
宝塚歌劇もこうした試みはしているし、これからもどんどんやらないといけないなーと思いました。
ただねー宝塚は表向きいつも完売だし、新客でもトライできそうな貸切も、かなりファンが占有している感じ(想像です)。
ハイローファンがなんとかツテを駆使して宝塚を観て「次のも観てみたい」と思っても、果たしてどれだけ連続してチケットを手にすることができるものか…。
ファンクラブや友の会に入れよ、ってことなのかもしれないけど、敷居が、ねえ。
歌舞伎は売り切れてないことが多いので、余計に切迫感があるのだと思いますが、宝塚歌劇はなまじファンが支えてるから、なかなか実態を掴みにくい気がする。
客層の世代交代はいつの日にも課題だろうし、それは商品とて同じ。いま現在の売上と将来の顧客の確保のバランスは難しくて、手をうち損ねているうちにブランドが古びたり、無理な若返りを図って大失敗したり。お客の考えも世代でどんどん変わるし、他に娯楽はたくさんあるし。
そんなことを嘆いても仕方がなく、できることを考えてやるしかない!観客である私たちも、できる限り応援したいです…劇場に足を運ぶことによって、ね。