(観劇記録ではありません)
「こだま」の停車駅に、仕事で出掛けた。
帰途、10分かそこらホームで待ってるだけで、3本くらいの「のぞみ」だか「ひかり」が物凄い勢いで通りすぎていく。その、あたり憚らぬ轟音と速さよ…(←自分だって乗るくせに)。
16もの車両が、真剣に見ていると目眩を引き起こすような速度で駆け抜ける。
こんなに…こんなにたくさんの席を連ねた列車がこんなにめちゃくちゃなスピードで、こんなにしょっちゅう走らねばならない必然が、これからの日本にはあるんだろうか。
もちろんリモート会議ってものを知ってしまったのもあるけど…。
遠くない未来、もはやこんなに大量の日本人は動くまい。
誇らしげに爆音をとどろかせて、どこか知らない素敵なところを目指して疾走する列車たち。次から次へと発車ベルを響かせながら、目の回るようなダイヤグラムが優雅に操られる…私たちの国の得意技を披露したこの場所。
いずれは間引きされ車両を減らし、駅を足早に交差する人たちの混雑も、やがて嘘のように消えていく…蜃気楼みたいに。
今の過剰なまでの便利さは、今の人口をベースに算出、計画されたものだから、私たちはいろいろなことを諦めねばならないだろう。
このくには、ゆっくりと昏れていく。
混雑して騒々しくて汗だくで、見るからに競争が激しくて、みんなで坂道を登っていた時代は、もう来ない。
ああでも、ダメだ。そんなセンチメンタルになっても仕方ないの。
今は亡き安倍さんとて、これを見越して海外からの観光客三千万人だか四千万人だか(すみません、忘れました)を目標に掲げて、いろんなものの衰退を減速しようと思ったのだろう。
死んだ後のことは知らないよと思うのは簡単だけど、何かできることをせねばと思う。
私たちの生きている場所は、先祖から譲り受けたものではなく、未来のひとたちからの借りもの、なんだから。