2021年4月23日17時公演
トートみりおさま、フランツみっちゃん、ルキーニのぞみさん、というどこにも穴のない組み合わせの、14年花version。
観て気づいたのですが(事前チェック不足の私)、フルコスチューム版でしたので、やはり本番の衣装はいいなーと思いました。
しかし、しかしですよ、私が一番感銘したのはなんと、シシィ役かのちゃんこと「花乃まりあ」さんでした。
彼女は新公の主演と、本公演の女官&エトワールをやっていたはず…。でも、こんなだったっけ?
かのちゃん、魅惑のキャンディボイス。きらきらひかるセロファンに包まれた、パステルカラーのキャンディを思わせる声でした。ほんの少しだけハスキーで、でもしゃがれてるとかでは全然なくて、ときどきファジーに動くときにそのハスキーさが実にここちよい。
いやもう、うっとりして聞いてました。とにかく愛らしい声なので、後半の熟年はやや可愛すぎたかもしれないけど、「夜のボート」も危なげなく…。
フィナーレでは目が赤かった。緊張していたのかな?それとも感動していた?「私だけに」への拍手は凄くて、まぎれもなく彼女への称賛でした。
主要男役3人は、本当によかったと思います。
宝塚時代は上背のなさがやや気になりがちだったみりおさま&のぞみさんも、このガラコンサートは「スタイル自慢さん」じゃなくて「シンガーさん」がキャスティングされているので、そこまで目立たず。
みりおさま、以前より人間ぽかったかも。私にとって現役時代の彼女はとにかく「この世のものでない」「浮世離れ感」が凄かったので…。
のぞみさんは、最初1幕ちょっと緊張していたかな?でも物語が進行するに連れてのってきた感じ。それでも、現役時代よりはなんというか、ナチュラルな、頑張りすぎてないルキーニでした。
14年、いったいこのエリザベートを何回見たことか。
このあとみっちゃんはトップになり、のぞみさんも組替してセンターへの道を歩んだ。みりおさまは4人相手を変えて5年トップを務めた。
それぞれに歴史があるから、変化するのは当然です。
…でもつくづく、ルキーニは出世役ではあるけれど、3番手役なんだなと思ったのもまた事実。
よくのぞみさんが「ルキーニは孤独な役」と言っていたけど、それを改めて認識しました。歌より少し多いくらい語りがあるし、人とほとんど絡まない。歌はもちろんそこそこあるけど、じっくり聞かせるメロディアスなものは少なくて…。
舞台の中心となって息づいているのは、トート閣下からナイフを受け取ってからですね…ひどく短いけど。
みりおさまのマイクは音量大きかったし、エコーも利いていた。
正直に告白すると、センターじゃないのぞみさんを久しぶりに見たので、ちょっと複雑だったのも事実です。(みっちゃんファンも同じでしょう)
贅沢ごめんさない…トップスターになってくれた時にはそれだけでありがたかったのに…人間とはなんとわがままで環境にすぐ慣れてしまうんだろう…。
でも、本人が楽しければそれでいい。ガラとはすなわち祝祭で、お祭り騒ぎ。
それに、宝塚を卒業するということは、「センターとは限らない」という現実を受け止めることなのだと私にもわかっています。
そうやって、いろいろなことに慣れていくのだと。本人もファンたる私たちも。
タカラジェンヌは「終わりがあるから美しく」それ故応援には苦しさも付きまとうのだけれど、「終わりのない舞台人」を応援するという新しい道は、どんな道なのだろうか。