題名が誤解招きそうですけど、これはメアリ・ステュアートの物語。毀誉褒貶なかなかの人物ですが、この映画では果敢で誇り高かったが故に破滅した悲劇の女王、というスタンスが貫かれています。
引き立て役?のエリザベスは、少し気の毒な外観での描かれ方。天然痘ってあんな感じになるんだとショックでした。
しかし…日本人たるわたしは、スコットランド王位を継いでるのにフランス王太子と婚約してフランスで育つ、というのがすでに理解できない。
継承権があるのに、じゃなくて既に即位してるのに、ですよ?あの~国にいなくていいんですか?
まあ、スコットランド女王にしてフランス王妃ともなれば2つの国を支配できる…なのかもしれないし、どっかの誰かの(フェリペ2世?)の陰謀で婚約させられるんだったら、いずれ破談にしてやるとりあえず…ってことなのかもしれないけど。
きっと今のように『くに』が堅固じゃなくて、いろいろぐにゃぐにゃだったんですよね。いかようにでもなる、というか。
そんなメアリとエリザベスの葛藤はもはや歴史に描かれて久しいし、いまさら目新しくない。この映画の見せ場は、史実にはないとされている二人の女王の邂逅です。幾重にも吊られた布?で迷路のようにしつらえられたどっかのコテージ?で、二人は近づいたり離れたり、お互いをさがします。それはまるで女同士の腹の探りあい。木漏れ日みたいな優しい光が降り注ぐ中、彼女たちは相手を見出だす。
シアーシャ・ローナンは、アイルランド風色素薄い系美貌がメアリにぴったり。よく知られた肖像画の面影もありますね。
エリザベス(マーゴット・ロビー)は、若くて美しく息子もあり血筋もよくて気質も強いメアリにコンプレックスをもっていて、それがこの迷路に表されている。そしてメアリの『わたしはステュアートよ!』でブチ切れる(笑)それは一番踏んではいけない地雷だったのに。
エリザベスはかつらを取り、『あなたの美点、私が羨んだ美点があなたを破滅させる』と看破して去る。
国民を幸せにする女王に相応しいのは、エリザベスなのです。やれ子どもがない、たいして綺麗じゃなかったとかケチをつける男どもが何と言おうと…ね。家庭的に恵まれなかった、平凡な容姿だった王者などいくらでもいるというのにどうして女王はそこまで採点されるのか(笑)
そしてまあ、エリザベスもメアリも、曲者ばっかの男たちに囲まれてるのですが、私にはあまり顔の区別がつかず😓なんか、どいつもこいつも陰謀企んでそうで、ほんと、落ち着いて眠れないですねー。
結局エリザベスの血は断絶して、メアリの息子がスコットランドとイングランドを統一し王位につくのですが、どちらがどれだけ幸せだったかなぞ本人のみが知る。
それにしても、16人も子どもを産みながら国を運営していたマリア・テレジアってほんと、すごいのですね。