BELSTAFF ベルスタッフ のライダーズジャケット:トライアルマスターの今昔 <第3話> | motoguzzi な おじさんの趣味とこだわりについて・・

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かつてヤフブロでUPした内容の備忘録としてここに引っ越してきました。気が向いた時には新規の投稿もする予定です。よろしくお願いします。

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<第3話:袖付けの設計と型紙について:その2>
前回は主に袖山や肩のことについて検証した訳だが、袖は身頃、詳しくは、前身ごろと後身頃を縫い合わせた両脇に付くわけで、腕が通るような構造になっている。その袖パーツを接合する部分を「アームホール」という。

 前回の説明で言及したが、身頃のアームホールの上の部分(肩の部分)に縫い合わされる部分が袖パーツのいわゆる袖山という部分になり、それに対して下の部分(下袖)が縫われる部分は脇の下になる。

 実は、トップス類の着心地はこのアームホールの形状、袖付けの角度や方法、下袖の形状で決まってしまうといっても過言ではない。

新しいモデルのように袖山が低い方が袖が上げやすいということは、解説済みだが、それは、あくまでも肩線の角度までの話、つまり、袖を左右に水平に伸ばしたところまでだ。そこから上は、脇の下の部分がジャバラの様に余裕というか、余りを作っておかないと袖と一緒に、脇がずり上がってしまうことになってしまう。通常ジャケット類のアームホールは、上下に長い楕円状だが、このベルスタッフのアームホールは下部分が、脇線下方向に二等辺三角形の形状で伸びており、それに伴って、袖も下袖部分が極端に下に大きく引っ張られ、カーブした形になっている。(真ん中の画像を参照)また、袖を構成する2枚のパーツ(上袖:下袖)を内側に湾曲させたカットにするなど、これらの工夫が、ハンドルを握るライディング姿勢に有効なのだ。
今となっては、ライダージャケットの設計の常識だが、洋服の発祥の地イギリスならではの仕様である。

 余談だが、右肩にカーフスェードのガンパッチが付いた、本物のツィードのハンティング(シューティング)ジャケットは引き手側の右のアームホールがこのような仕様になっている。散弾銃を構えたカッコを想像してみてください。そうそう、社交ダンス用のフォーマルスーツも普通の礼服と全く異なる、このような特殊なアームホールと袖付けになっておるのですよ!皆さん知らなかったでしょう?

Shall We dance?なんて、すかして普通の燕尾服(テールコート)着ていっても、うまく踊れないですよ!うーん洋服は奥が深いなぁ・・・・

 さて、上の画像(左が新/右がビンテージ)を見ると、角度は違えど、新旧同じような形状をしているが、裏から見ると、縫製仕様や始末が全く違うことが判る。→真ん中の画像参照
 ビンテージモデルは、袖パーツを裏地とともにすべて作ってしまってから、身頃にダブルステッチで縫い合わせているのに対し、新しいモデルは普通の裏地付きのブルゾンと同じように、表地と裏地を別々に作ってから、縫い合わせるいわゆる、「ドンデン」という方法を取っている。作り方としてはやはり、ビンテージの方が、ステッチもすべてダブルステッチで丁寧に作られていることが判るだろう。→下の画像参照

上の画像(右がビンテージ/左が新)と真ん中の画像(左がビンテージ/右が新)を比較すると、新しいモデルはベンチレーションの鳩目が裏まで貫通していないのが、悲しい。

他の裏側の仕様に関しては後で、ゆっくり検証する予定である。