雑話247「発見されたピカソの絵」
今年の6月、ピカソの傑作が新たに発見されました。
それは、頬杖をつき、蝶ネクタイをした男性の肖像画で、ピカソが故郷のスペインから初めてパリに出てきた青の時代の作品と思われます。
さて、この失われた作品が発見されたのは、ピカソの別の絵画の下でした。
ワシントンDCにあるフィリップス・コレクションという美術館にて、科学者や管理者で構成されたチームが、赤外線テクノロジーを使って、この失われた傑作の存在を明らかにしました。
フィリップス・コレクションが、この作品の上に描かれた「青い部屋」を入手したのは1927年のことでした。
パブロ・ピカソ「青い部屋」1901年
「青い部屋」の下に別の絵画が描かれている可能性が最初に疑われたのは、1954年に遡ります。身体を洗う女性の像と筆づかいが合わず、不自然だったからです。
1990年代には、レントゲンによって「青い部屋」の下に別の絵があることが確認されましたが、浮かび上がってきたイメージはぼやけていて、何が描かれているのかはっきり判りませんでした。
2008年からは、フィリップスの研究チームに、ワシントンDCのナショナルギャラリー・オブ・アート、コーネル大学、デラウェア州にあるウインタートウル美術館の専門家たちが加わり、研究を続けてきました。
今年に入り、技術的な進歩のお蔭で、元々画面に描かれていた縦長の構図が110年という歳月を経てようやく明らかになったのです。
何故、ピカソは完成された作品の上から別の絵を描いたのでしょう?
美術館の学芸員は、ピカソが追及していたアイディアを実践するたびに新たなキャンバスを買う余裕がなかったからではないかといっています。
実際、当時の彼は時々遥かに高価なキャンバスの代わりに、厚紙の上に作品を描いていました。
「青い部屋」はさらに分析される予定ですから、今後この秘められた作品に描かれた人物の特定を含めて、更なる謎が解明されるかもしれませんね。



