絵画BLOG-フランス印象派 知得雑話 -269ページ目

雑話10「印象派と鉄道」

美しい自然と眩しい光で埋め尽くされた印象派のキャンバスと、黒煙を撒き散らしながら進む人工的な鉄道のイメージとは全く相反するもののように思えますが、印象派と鉄道は様々な繋がりがありました。


まず、鉄道は印象派の画家たちに好まれた画題でした。当時の鉄道は近代生活の象徴であり、当時の都市部の華やかな生活を描こうとしていた彼らにとって理想的なテーマだったのです。

ですから、モネもマネもピサロも、汽車や駅、線路を描いています。


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クロード・モネ「アルジャントゥイユの鉄道橋」


また、鉄道は都会に住む画家たちに重要な画題の供給源である地方へのアクセスを容易にさせました。


例えば、パリの北西約10キロの所に、一時期、モネが熱狂的になり、実際に住んでいたこともあるアルジャントィユという田舎町があります。ここは別名「印象派のゆりかご」と呼ばれ、他の印象派の作家も制作のために頻繁に訪れていました。


ここは、パリ-ルアーブルを結ぶ幹線沿いにあり、パリに実際に住まなくても、パリとの接触は失いたくない芸術家にとって理想的な位置にありました。当時でも、鉄道を使えば、15分でパリに着けたそうです。


さらに、当時の鉄道の発達は莫大な富も生み出しました。そうして、1880年代初頭のフランスが迎えた好景気が美術市場にも大きな金をもたらし、印象派絵画に対する需要も押し上げたのです。


ちなみに、印象派の一員でもあるメアリー・カサットの兄のアレクサンダーは、ペンシルヴァニア鉄道会社の社長であり、印象派の初期のコレクターでもあったのです。