映画が始まるまでのアレコレは前回のブログで
知覧特攻平和会館の駐車場で今は亡き祖母と焼き芋食べた記憶が蘇りました
映画自体は想像していた通りのお約束な展開でした。
・現代の高校生がタイムスリップすること
・特攻隊員と出会って恋に落ちること
・主演が福原遥と水上恒司であること
・主題歌が福山雅治の想望である(前夜の紅白の時に知った)こと
これくらいの予備知識で行きましたが、驚くような場面は無かったこともあって素直にストーリーに入り込めました。若い世代に「戦争」を伝えるのはこれくらいのシンプルさが適切と思います。
予定調和の映画を直前に襲った災害によって予定外の気持ちで見たそんな2時間余りでした。
以下雑多に思ったことを並べていきます。
彰が最後まで殊勝なのですが、もう少し取り乱すような場面や揺らぐ心境が描かれていてもよいかと思った反面、知覧特攻平和会館で読んだ特攻兵たちの文面を思い出したときに、現代の高校生からはあのように映るだろうなと考えなおしました。
百合の現代人としての思いも分かるのですけれども、あれは後世から戦後の繁栄を知っているからこそ取れる態度であって、当時の人たちは敗戦=平和ではなく、敗戦=さらなる蹂躙を恐れていたのだなと理解しましたね。これはコロナ禍で正に可視化された所で決して特攻を美化してはいけませんが、今の感覚で間違いと断ずるのも乱暴だと感じました。
空襲の場面は現実に引き戻されました。「今、まさにこうやって燃えている北陸の街があるのではないか?劇中のように焼けている子はいないか、瓦礫の下で挟まって動けない子がいるのではないか?」実際に輪島の中心街はその頃燃えていたわけで何とも言えない感情がずっとあります。
百合が現代に戻ったのはあの瞬間に父への鬱屈とした思いにケリをつけた瞬間だったのでしょうね。実母に会えたのは嬉しかっただろうし、彰と別れたのは悲しかったのは分かりますが、ツルや千代と永遠の別れになったのにはケリをつけられたのかという部分は想像しましたね。
また主人公たちのカップルよりも石丸と千代の二人の方が共感できるのは上手な演出でしたね。やはり戦時中のあの空気の中にふさわしい男女関係の空気感を出せるのはあの時代に最初から生きた人なんでしょうね。何だかんだ伊藤健太郎は存在感のあるすごい役者ですし、出口夏希は今回初めて知りましたが国民的女優までなりそうな透明感がありますね。
塾講師としてこのタイミングで見て良かったです。進路に悩む描写もありましたし今の高校生らしさが出ていました。ある強烈なメッセージをこの映画から受け取ったのですが今は黙っておきます。数年後に書くかもしれませんし20年後かもしれませんし墓にもっていくかもしれませんが。
映画の後に原作が汐見夏衛さんの小説と知り少し彼女について調べてみると、鹿児島出身で大阪の大学に通い愛知の高校で国語教師をしていた経歴なんですね。名古屋の西区に住んでいたこともあるとか。私とルーツも似ていますし多分同じ景色も見たことがあるでしょうから妙に親近感が湧きました。今の子の描写が鋭いのも生の経験があるからなんでしょうね。
主題歌の想望が正にエピローグで、この曲を聴いてこの映画は完結しますね。前夜の紅白ではYOASOBIとMISIAの間であまりピンとこなかった福山雅治のステージでしたが、映画とセットで聴くと一気に名曲になりましたw
劇場を出た後にトイレでざっとニュースを確認して、ロビーの窓の所に戻りました。目の前には滑走路があってほんの十数分前に滑走路のシーンがあったものですから再度ジーンときて、また自衛隊員の今後の労苦も想像してグッと来ました。
そしてご存じの通り翌日に羽田空港で悲惨な事故がありました。海保の輸送機が燃える様子が艦船に突っ込む戦闘機を想起してなかなか辛いものがありました。また6人のうち5人が亡くなったことが映画のストーリーと重なる部分があり、なかなかなタイミングでドンピシャな映画を見たという思いがあります。この2日間の色々な感情は長く忘れないでしょうね。
小学校高学年~高校生には見てもらいたい作品ですね。そうでなければ読んでほしいですね。塾にも購入決定です。外国でも戦禍が広がっている時代。私たちの世代も伝えていかなければならないテーマだと思います。