アフター 第六話 | ワンラン日記

ワンラン日記

愛知県岩倉市八剱町「ワン学習塾」の日記。
さらに、代表・犬童の「ラン日記」の二本立て。
2017年は記録足踏みも2018年こそ目指せサブ3!
BEST:10km…40:01 ハーフ…1:26:45 フル…3:10:55

 

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韓国が入場してきた。前回の五輪の開催国である。羽生結弦が躍動した平昌オリンピックがはるか昔のように感じられる。

 

日本と同様に韓国はコロナによる死亡者をあまり出さなかったという点では成功したと言える。しかしながら将来を悲観しての自殺やクラスター源となった人への中傷など、やはり社会の暗部が露呈された。北朝鮮の混乱も相まってGPSによる国の管理などはより厳しくなっている。死者は少ないが幸福度は高くない。結局極東の国同士、同じムジナなのかもしれない。

 

韓国ほどコロナ対策に対して、政権への毀誉褒貶が激しかった国は無いだろう。長期のコロナ禍を通して言えるのは、ロングスパンで評価しないと見誤るということだ。感染が広がった時期にシンガポールは評価された。しかしバングラデシュからの出稼ぎ労働者がタコ部屋で暮らす場で大流行が発生した。ロシアは当初感染がゆっくりだった。しかし平均気温が10℃を迎える頃、アメリカに並ぶ大流行地になってしまった。オーストラリアやニュージーランドも上手くコントロールした。しかし2020年の7月頃からの冬場の流行はまだウイルスの正体が分からない中での暗中模索の戦いとなった。

 

S先生が言う。

「真実は極論と極論の間にある。0か100で考えるのは危険だ」

 

東京は2週間後イタリアになる。ニューヨークになる。そう言われた。しかし欧米諸国とは明らかに違った。どこの国とも違うグラフを描いたのが日本だった。レムデシビルやアビガンの薬に対して大きな期待が寄せられた。しかし前者は期待されたような効き目は無く、後者は重篤な副作用が無視できない割合で発生し、期待はしぼんでしまった。2020年の10月。思いのほか感染の拡大が抑えられていた時期。楽観論が世に広がったが、11月からの流行は春からのものと違って、アジアでも死亡率がやや高くなった。知事への評価でもそうだ。スタンドプレーで人気を博した知事が思わぬ所でチョンボをしてしまい、世論からそっぽを向かれた事例がある。逆に人気のなかった知事の県では感染が収まっているときに地味な改革をいくつも進め、医療崩壊を防いで支持されている。

 

人々の意識もそうだ。マスクの着用率の高さが日本の感染の広がりを防いだという論が広がった。しかしそれは同時に着用しない人への憎悪の形となった。しかし夏場に悲劇が起こる。外出自粛しているにも関わらず、児童の熱中症の数が例年の3倍になったのだ。命を失った事例もあった。「コロナでは小学生は1人も死ななかったのに」一気に子どもたちのマスクを外す動きが広がった。しかし秋が深まるとある学校でクラスターが発生した。また一気に「マスク着用は必須」0から100に振れる世論だった。

 

せっかくの開会式で考え事にふけってしまっている。客席のザワザワ感で正気に戻った。その正体は当然分かっている。中国が入場してきた。歓声は小さくなりどういう態度を取るべきか観衆の戸惑いが伝わってくる。