待ちに待った!
とは言いがたい最近のコーンウェル作品ですが、出ればやっぱり買ってしまう。
ところが250ページにも満たない薄っぺらい本なので、上下巻なのかと思わずきょろきょろしてしまった^^;。
「捜査官ガラーノ」という邦題は語呂が悪くていただけないなあ。(新シリーズの宣伝も兼ねて???)
原題は「AT RISK」
この方が格好いいけど、「リスク」とかにしてしまうと、スカーペッタシリーズと紛らわしいからかしら?
新シリーズのヒーローは、ウィンストン(ウィン)・ガラーノ。
帯びにある文章は<秀麗、明敏、謎に包まれた生い立ち>
黒人の父親とイタリア人の母親を持つ美貌の混血児。
いくら美貌でも、中古のブランド物ばかりを身につけている、見栄っ張りで劣等感の塊である主人公のどこに魅力があるのか釈然としない。
まず、生い立ち不明の州警察捜査官などあり得るのかという疑問。(そんな人物を雇うわけないよね)
洒落たジョークを言うわけでもなし、性格的にも魅力がないし、まったく明敏にも感じられない。
ところが、だらだらした物語中盤になってから、取って付けたようにIQが異常に高いということが判明。(大笑)
スカーペッタとコーンウェルのエッセンスたっぷりの、美貌のパワー・ウーマン、フランス系アメリカ人のモニーク。
陰になり、ガラーノを助けるのは、母親ほどの年齢のサイクス捜査官。
仄かにガラーノに恋心を寄せるサイクスの年齢設定には無理があり、どうして若い娘にしなかったのか疑問。
今回は生活や感情の断片の寄せ集めで、散漫で手抜きというか、プロットがよく決まっていないで、その時々の気分に任せて書き上げた感が否めない。ストーリ展開も初めからコーンウェルの脳内だけで展開していたらしくて、解りにくいことこの上ない。
あとがきを読めば納得。
ニューヨークタイムスに15週間に亘り連載されていたそうだ。
今回のコーンウェル作品は特に、燃えるような正義感はあるくせに、人間としての平等という概念はまったくない。
富、名声、美貌、学歴、育ち、才能、優秀な者のみが生きる価値があるような書き方は、あまりにもあからさまで読者の共感を呼べなかった点に気がついていない。それだけ傲慢になってしまったのだ。
<心の空洞を埋めるための何かが必要なんだよね、モニーク。だから全てを手に入れたい。
権力、名声。さらなる権力。美貌。気に入った男。みんなもろいものばかり。
あなたのガラスのコレクションのように、すこしでも傷ついたり、ぐらついたりするとこわれてしまう。>
ここまで自分で言い切っているのにねえ。(笑)
鋭い感性と社会性のある作品で一躍脚光を浴びたものの、有名になればなるほど、自我が出てきて作品を私物化してしまう。よくある流行作家の末路です。
あの理知的でかっこいいコーンウェルがこんなになってしまうなんて、とても哀しい。
これじゃ、ただのオバサンの欲望と怒りの捌け口じゃん、コーンウェルさま。。。
- P. コーンウェル, 相原 真理子
- 捜査官ガラーノ (講談社文庫)
追記:
そういえば、全盛期に書いた「女性署長ハマー」や「スズメバチの巣」もまったく面白くなかったことを思い出した。結局、スカーペッタシリーズを超える作品は出てきませんわねえ、残念ながら。












